いきなりの襲撃と程度の能力
いやぁ、中々モチベーションが上がらないものですw
…どうも静か過ぎる…何だか人の気配どころか自身すらも認識出来ないぐらいの静かさだ…
八雲紫のスキマに落とされてから目を開けていない。まぁ、目を開けてそこに友人の亡骸が転がってるなんて光景は見たかないからな。って言っても現状、何も感じれないからアレ何だがな。
…うーむ、こりゃ目を開けて確認した方が良いか?でも嫌なもん見たかないしなぁ…
何て考えていたら思いっ切り揺さぶられた。
「うぉお!?」
「お、ようやく目を覚ましたか。全く、こちとら必死こいて護ってやってたってのによ〜。呑気に寝やがってなぁ。ま、朝までゲームとかしてりゃこんな状況でも寝るかw」
無理矢理起こされたので頭が一瞬回らなかったが、周りに何か良く分からない謎の人の形をした生物?みたいなのが転がっているのを見て察した。
「これお前一人でやったのか?」
「当たり前よ。何か俺はすぐに目が覚めたから良かったが、これ二人共目を覚まさなかったらこいつらの餌食になってたろうなぁ。」
「いや、てかその前に良くもまぁこいつらを一人で片付けられたな。」
「見掛けはヤバいけど結構耐久力無かったぞ。拳二発ぐらいで落とせた。」
そう言ってグッと拳を握って見せた。
「へぇ、でもコイツらは一体なんだろうな?何かゾンビ映画とかで出てきそうな感じだが。」
「んー、俺もそう思ったんだがよ…もしゾンビ映画と同じ感じなら拳で殴っただけなら倒せなくね?」
そんな感じで軽く話はしていたが、普通に嫌な予感はしていた。もちろん、その嫌な予感は的中してしまった。倒れていた化け物共はムクリと起き上がるとフラフラとした足取りでこちらに迫ってきた。
「あー、嫌な予感的中。」
「だなー…とりあえずどうするよ?こいつらまたぶん殴って片付けるか?」
「それも良いけどよ、そんなんしてたらずっとコイツらぶん殴り続ける事になるぞ?」
「あ、それはめんどくせぇ。そんじゃあ後は一つだけだな。」
「だな。」
そう言って二人は敵の少ない場所に突っ込んだ。
「「逃げるが勝ちだァァァァ!!」」
二人は邪魔になっている化け物を殴って吹っ飛ばしながら何とか化け物共の群れから抜け出せれた。幸い、敵の動きはかなり鈍いようで暫く走ったら完全に姿が見えなくなった。
「撒いたか?」
「みたいだな。」
俺と隼は化け物が来てない事を確認すると近くの岩の上に腰掛けた。
「いやぁ…何とか逃げれたな。」
「だなぁ…にしても、ここは何処だ?確か八雲紫に幻想郷に連れていくって言われてからの記憶が…」
「うーむ…とりあえずここら辺を歩いて見て回ろうか。じゃないとここの情報が何一つ掴めない。」
そう言って俺がさっさと行こうとしたら、隼が引き止めた。
「あ、ちょい待ち。」
「んあ?どうした?」
「いや、流石にこんな目にあって武器の一つも持ってないのはちょっと不味くないか?」
「いやまぁ…確かにヤバいだろうけど、武器なんて持ってなければ落ちてもないだろ?」
俺がそう聞くと、隼はどっから拾って来たのか小ぶりのナイフを二本取り出した。
「ナイフ?お前それどっから拾って来た?」
「いやな、さっきお前が眠っている間に少しだけ歩いてたんだよ。そしたらな、何か木にこのナイフを握りしめていた人形がぶら下がってたんだよ。」
「人形?」
「ああ。ついでにその人形も持って来てるぞ。何かどっかで見た事あるような気がしたからな。」
そう言うとこれまたどこにしまっていたのか、手作り感の漂う人形を取り出した。
「んー?何か確かに見た事あるような…って、これ上海人形じゃねぇか!」
「上海人形?確か、七色の人形遣いって奴が使ってた人形か?」
「ああ。でもなんでこんな森に?」
「さあ?ま、とりあえず探している人形かも知れないから持っていっとくか?」
「うーん、そうだな。上海のナイフ使わせてもらうんだし、持っていっとくのが良いだろうな。ってか、そのナイフあるんだったら最初から渡してくれよ…」
「いやぁ、さっき持ってたのを思い出したもんで。」
「お前なぁ…まあ良いか。とりあえず早くこっから離れようぜ。」
「だな。何か嫌な予感はまだまだするけどなー。」
「それフラグだからあんま言ってもらいたくねぇんたがなぁ…って言う俺も嫌な予感はビンビンに感じるけどなー。」
「あー、俺達二人そろってフラグ作っちまってるなー。」
「それな。」
そんな感じで滅茶苦茶フラグを建てまくりながら歩いていると、霧の立ち込めている大きな池?みたいな所に出てきた。
「んー?何か池みたいな所に出ちまったな。」
「お、本当だ。そーいやぁ、何か幻想郷に霧の立ち込める池ってのが確かあったよな?」
「おう。確かにあるな。えーと、霧の湖って呼ばれてるのがあったな。確か…二次創作やらなんやらだとあのおバカな妖精と大ちゃんが居たような…」
「あー、馬鹿な妖精って言ったら確か…氷精のチルノだっけ?」
「そうそう。んで、大体ここに来たやつは凍らされるって聞いた事が…あ。」
そこまで言ってさっきのフラグが見事に建ってしまった事に気付いた。
「…それってよぉ…今、目の前に降りてきたこのちっこい奴の事じゃねぇのか?」
「…おう。まさにその通りだ。」
「て事はよ…これってやべぇ事態って事で良いんじゃねぇのか?」
「おう…」
二人が話していると目の前に降りてきた青っぽい服を着た少女がいきなりこちらに攻撃を仕掛けてきた。
「うぉおお!?いきなり無言で攻撃ってアリかよ!?」
「そう言うのって大体漫画やらアニメやらであるだ…うぉぉぉお!?」
二人は何とか攻撃をかわして少女に対して戦闘の構えをとった。
「んで、どうするよ?無闇矢鱈に怪我負わすわけにゃいかんだろ?」
「そうなんだけどなぁ…あのおバカはこっちに対して完全に敵って認識してるみたいだからなぁ…」
「でも氷相手に戦うのって無謀じゃね?」
そう言われて俺は腕を組んで少しだけ考えた。
「…おう。確かに無謀だな。」
「だろ?という事は…」
二人はお互いに頷いてチルノに背を向けた。
「「逃げるが勝ちだぁ!!!」」
そう言って二人は全力でダッシュした。
「でも逃げるって言っても何処に逃げれば良いんだぁ!?」
「知るかァ!とりあえずこっから離れるぞ!!」
二人はまたなりふり構わずにそこから逃げようとした。だが、突然目の前を氷の壁で塞がれてしまった。
「何だと!?塞がれた!?」
「何がなんでも逃がさないってか!?問答無用かよ!」
二人は仕方なく逃げるのを諦めて少女へと向き直った。相変わらず少女は一言も喋ってはいないが…
「おいおい…どうすんだよこれ…」
「んなもん知らねぇよ…でもやる事はもう一つしかねぇだろ?」
「マジか…あんまり手ぇ上げたくないんだが…」
二人はナイフを構えると少女と睨み合った。
「てか、何で一言も喋らねぇんだ?」
「知らねぇよ。でも確かにおかしいな…本来なら「アタイは最強だー!」って言うはずなんだが…」
二人は目の前の少女に対して違和感を感じていた。だが、その違和感を感じさせる余裕すらも与えない様にか、問答無用で再び攻撃をこちらに仕掛けてきた。
「…」
「うお!?何だァ!?何かさっきまでと威力が桁違いなのが飛んできたァ!?」
(あれは…チルノのスペル「アイシクルフォール!?」何でスペル詠唱もしないで発動させれるんだ!?やっぱ何かおかしいぞ!?)
少女はなんと詠唱も無しでスペルカードを放ってきた。しかも人間相手に手加減無しの、本気でこちらを殺す気のを放ってきたのだ。
「隼!あれには絶対に当たるなよ!当たれば即死だと思え!」
「んな無理ゲーってもんじゃねぇのか!!」
隼はそんな事を言っていたが、それでも何とかすんでのところで全てかわしていた。
「くっそ!これじゃあさっきのバケモン共みたいにじり貧になっちまうじゃねぇか!」
「文句言う前に何としてでも逃げる事だけを今は考えろ!いくら幻想入りしたと言っても死んだらそれでゲームオーバーだ!」
「分かってる!だが、何か手はねぇのか!?確か幻想郷にゃ程度の能力ってのがあるんだろう!?もしかしたら俺達にも使えたりしねぇのか!?」
俺はそこまで言われてハッとした。何故今まで気付かなかったのだろうか。それすらも不思議に思えてしまう。そう、幻想郷の住人全てとは言わないが、名のある者達は全員「程度の能力」と言うのを持っている。もしかしたら俺達みたいな「常識の結界を越えた者達」なら使えるかもしれないと。
「…隼!」
「何だ!?」
「自分の中で何でも良いからイメージしろ!」
「はぁ!?こんな状況で何言ってんだ!?」
「良いから早くしろ!じゃねぇとホントに死ぬぞ!」
「…分かったよ!やってやるよ!」
隼は避けるのを止めるとその場で立ち止まって目をつぶった。少女はそれを見て隼に対して問答無用で弾幕の雨を降らせた。
「…成程な…何でイメージしろって言ったか分からんかったが…納得したわ。」
隼は弾幕が既に眼前へと迫っているのを気にしないで独り言のように呟いた。
「成程なァ…これが…」
隼は途中で言葉を切ると目を開けて手を前にかざした。
「俺の「能力」って事か!」
隼は腕に力を入れると翳した手のひらから雷を撃ち放った。
「うぉ!?雷!?これが隼の能力か…!」
俺が隼の雷に見入っていると、隼がこちらに振り向いた。
「詠!」
「何だ!」
「俺がこいつの弾幕防いでいる間にお前もなんかしらイメージして能力出してくれや!流石に一人はキツイし制御も難しい!」
「分かった!もう少しだけ耐えててくれ!」
俺はそう言うと隼と同じように目をつぶってイメージをしてみる。
(イメージしろ…俺の中にある「力」を…!)
すると暗闇の中の一点に「光」が見えた。それはイメージを強めるにつれてハッキリとしてきた。
(成程…これが俺の「能力」か。まあ、チルノ相手にゃ五分五分で渡り合えるって感じか…)
俺はそのイメージを掴むと目を開いた。
「…待たせたな!ちょいと離れてくれ!すぐにぶちかますぞ!」
「ちょっ!」
俺は有無を言わさずに問答無用で能力を放った。
「これが俺の能力…「氷を操る程度の能力」だ!」
俺はそう言うと氷の刃をチルノに向かって放った。
「…!」
流石に予測していなかったのか、もしくは隼に集中しすぎたせいか俺の攻撃をかわせずに被弾した。
「氷系の能力…こりゃ色々と応用の利きそうな能力だな。」
「お前の氷に俺の雷合わせりゃコイツも倒せるんじゃねぇか?」
「まあ、ここで倒してもいいけど…まだ加減も難しいからここは逃げるが勝ちってやつだな。」
「んー、正直後の禍根にならない様に叩き伏せた方が良いと思うが…まあ、確かに加減も難しいし今は逃げるか。」
二人はそう言うと未だに攻撃の余韻が残っていて動けないチルノを後にさっさと戦線離脱した。
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「んで、逃げて来たのはいいけどよ…ここって確かあれだろ?紅魔館って言う場所じゃなかったっけか?」
「おう。紅魔館だな。という事はだな、そろそろ来るかもぜ?」
二人は霧の湖から逃げてきた後、偶然にも紅魔館の方に出てこれた。まあ、あんまり状況的には先程と変わりは無いけれども。
「そこの二人!止まりなさい!」
何時から居たのか、二人の背後にチャイナ服を来ている女の人が立っていた。それだけならまあ、いきなり女の人が後ろに立っていたってだけで終わるのだが、どうもこの女の人はかなりこちらを警戒している様だった。
「はいはい。えーと、何用ですか?」
「それはこちらのセリフです!私のいない間に何をしようとしていたのです!」
「あー、チルノに襲われてここまで逃げてきた。」
「嘘をついても無駄です!ではあなた方が持っているナイフは何ですか!」
それを言われて自分達がずっとナイフを握りしめている事に気が付いた。
「あ、やべぇ。そう言えば戦いの時にナイフ握りしめてたのすっかり忘れてた。」
「これあれだな。詰みだな。」
二人が話しているとチャイナ服の女は有無を言わさずに攻撃を仕掛けてきた。
「うおおお!?」
「ちょっ!弁明させてくれ!」
「ナイフ握りしめたまま門の前で立っていたのに弁明ですか!それに見た所、あなた方は普通の人間なのに何故氷精から逃れられたのです!」
「うおおお!?まさかの正論言われて論破出来ねぇ!!」
「同じく言い返せねぇ!!」
「兎に角あなた方はここ最近の中でも特に異質な人間!何かしらの害を起こす前にここで徹底的に叩き伏せてあげます!」
そう言うと女はまたしても有無を言わさずに手加減無しの攻撃をこちらに叩き込んできた。
「ウェェェェェェェェェエエエエエエエエィィィィィィィィイイイイ!?」
「なんちゅう変な奇声あげるんだ!?てかそんな奇声よく出せたな…ってうおおお!?」
二人はチルノ戦と同じく攻撃を全てギリギリで躱しながら時々試しに攻撃を入れてみたりしていた。
「はっ!」
まあ、勿論ど素人の攻撃が達人に当たる訳もなく全て受け流されるかカウンターを入れられそうになったりしていた。
「チルノよりもジリ貧になりそうなんだが!?」
「と言うか人間が束になっても適わねぇんじゃねぇのかコレ!?」
「そう言えば、コイツの能力は「気を操る程度の能力」!外からの打撃系の攻撃はほとんど無効化されちまう!しかも、能力を応用したスペルカードはガードを貫通して内臓まで軽くボロボロにしちまう程のやべぇ攻撃だ!さっきのチルノの軽く10倍は強いと思えよ!」
「10倍ってもはや完全通り越して完璧に詰みじゃねぇか!?」
「後、能力の類も俺はあまり相性的に不利だからお前に任せるぜ!」
「おいおい!?マジかよ!!」
こっちが作戦会議(?)をしてると、女は好機と見たのか怒涛の勢いでこちらに迫ってきた。
「んなぁァァァァァァ!?」
「敵の前で悠長に話をするとは言語道断!それに、私の事も知っているみたいですからね!あなた達はみすみす逃す訳には行きません!」
女はそう言うと、カードを取りだし(何処からカードを取り出したかはあえて言わないでおこう…)スペルカードを放ってきた。
「光符「華光玉」!」
女は巨大な光の玉を出現させると、それをこちらに放ってきた。
「ちょっ!?」
「やべぇ!!」
二人はギリギリではあったが、何とか光の玉を躱した。しかし…
「隙ありです!」
「なっ!?」
女はこちらがスペルカードに気を取られている間に隼の真横へと接近していた。
「隼!避けろ!」
「遅い!」
俺は隼に避けるように言ったが、女の方が一歩早かった。女の拳は隼の脇腹を穿った。
「グハッ!!」
隼は女の拳を食らうと、その場に倒れ込んだ。
「隼!」
「だい…じょうぶ…だ…それより…も…お前…だけでも…」
「馬鹿野郎!お前残して逃げられるか!」
俺はナイフを構えると、女の方へと構えた。
「友を助ける為にこちらへと突撃してきますか…ですが、その優しさが仇になるのを思い知りなさい!」
言うが否やその直後、女の拳はこちらの体を吹き飛ばして…は、いなかった。拳は体の寸前の所で止まっていた。
「!?これは…!!」
「ああ、そうだ。これが俺の能力…「氷を操る程度の能力」だ!」
女の拳は俺の能力で地面から生えた氷によって完全に高速されていた。
「くっ!しかし、この程度の氷では私を完全に捕らえることは…!!」
「無駄さ。その氷はお前の能力を無効化させる為に作った特殊な氷だ。その氷の前ではどんなに能力を駆使した所で割れることは無い。」
「…確かに私の能力は完全に使えない様ですね…ですが、それなら何故私を殺さない?」
「は?」
「私は貴方の友人を倒したのですよ?それに、何故か貴方達は私の能力を知っているみたいでした。だとしたら、考えられる事は貴方達は幻想郷を攻撃しに来た敵とも考えられます。だとすれば、貴方の友人を倒した私はすぐに殺すべき対象とはなりませんか?」
女は冷静にそう言っていたが、どうも完全に勘違いをしている様だった。
「あー…やっぱあれか。その考えなんだがな?完全に勘違いしてるぞ?」
「え?」
「大体、幻想郷を攻撃して来たってんならここじゃなく博麗神社を襲撃した方が混乱を招けて、尚且つ博麗大結界を壊す事も容易くなりやすくなるだろう?」
「う…そう言われれば確かにそうでしたね…ではやはりこちらの…」
「おう。完全な勘違いだ。」
女はそれを聞くと凄い勢いで謝ってきた。
「大変…大変申し訳ありませんでした!」
「あ、いやそこまで勢い良く謝らなくても…隼もぶん殴られてはいるけど何か気付かねぇうちに復活してるみたいだしよ。」
「え?」
女は先程倒してしまった隼の方を見てみると、何時の間にか軽く腹部を抑えた状態で立っていた。
「いやぁ…あのパンチはめっちゃ痛かった…」
「そう言ってる割には案外早く復活したみたいじゃあねぇか。」
「まあな。正直姉貴との喧嘩の時にしょっちゅう腹殴られてたから耐性付いてたわw」
隼はそう言うと何故か爽やかな表情で笑っていた。
「何で損な爽やかに笑えるんだよ…っと、とりあえず誤解は解けたからその氷も解除するとしようか。」
俺はそう言うと指を鳴らした。すると、氷はいとも簡単に崩れて溶けていった。
「氷が…」
「まあ、色々とこっちも誤解しちまう様な武装してたんだからな。こいつぶん殴ったのとチャラって事にしといてくれや。」
「殴られ損にならなくて良かったぜ…」
三人はとりあえず近くの木陰に座ると、それぞれ自己紹介を始めた。
「とりあえず俺から先に自己紹介しとくか。俺の名前は詠 大地。能力は「氷を操る程度の能力」だ。」
「んじゃあ、次は俺だな。俺は凩 隼。能力は「雷を操る程度の能力」を持ってるぜ。一応俺は詠よりも戦闘は出来るタイプだ。まあ、さっき倒されたんだがなw」
「う…それについては申し訳ありません…」
「おっと、別に咎めてるつもりじゃないって。ただ、中々良い攻撃貰ったってだけさw」
凩はめちゃくちゃ笑っていたが、女の方はだいぶ反省しているのか、結構シュンとしていた。
「まあ、とりあえずその事は忘れて、そちらの自己紹介をしてもらっても良いか?まあ、俺達はある程度知ってはいるんだが、もし違ったら後々の俺たちの知識が役に立たなくなってしまうかもしれないからな。」
「分かりました。私の名前は紅美鈴と申します。能力は「気を操る程度の能力」です。戦闘は近距離しかしません。そして、ここ紅魔館の門番もしています。」
美鈴は自己紹介を終えると、こちらにお辞儀をした。
「名前は紅美鈴で気を操る程度の能力で紅魔館の門番っと…よし、俺たちの知っている知識で間違いは無いようだな。これならある程度の探索をする時でも問題は無いようだな。」
「だな。とりあえず、今からどうするよ?俺としては紅魔館が気にはなるが?」
凩はそう言ってはいたが、紅魔館にはあまり寄りたくはないと思っていた。
「まあ、確かに近場で言うと紅魔館を見るのもいいのかも知れないが…【完全で瀟洒な従者】と【悪魔の妹】、それに【永遠に紅い幼き月】も居るんだぜ?他にも【動かない大図書館】やその使い魔達も居る。そこに行くのは俺たちにゃまだ早すぎると思うぜ?」
「あー…そう言われりゃそれもそうか…なら別の場所にするか?つってもさっきチルノに襲われたばかりなんだぜ?下手に動くとまた襲われるかも分からんぜ?」
「あー、それもそうだなぁ。んじゃあどうすっかなぁ…」
と、俺たちが悩んでいると、美鈴は再びこちらに話しかけてきた。
「あのー…お嬢様たちの事が心配であるならば大丈夫ですよ?」
「え?」
「お嬢様たちは今は前に比べて無闇矢鱈に襲いかかって来る事はありませんからね。」
「ん?どうしてだ?一応俺たちの知っている知識としては、結構な戦闘大好き吸血鬼って感じではあるが?」
「えーと、今お嬢様たちには専属の執事がついていまして、その執事さんといつも弾幕ごっこをしているのでそこまで暴れる事は無いです。もし暴れたとしても執事さんが全力で止めてくれますので。あ、もちろんその執事さんは人間ですよ。」
「執事?んー、ちょっと待っててくれ。」
「分かりました。」
俺と凩は二人でその場からほんの少し離れて美鈴に聞こえないように話をした。
(確か紅魔館にはメイド妖精達は居たが、執事なんてのは居なかったよな?)
(ああ。紅魔館には人間はメイド長しか居ない。それは確かだ。)
(て事はあれか?俺たちの知っている知識とは何かが少しズレているのか?それとも、実は俺たちの知らない裏設定とかあったのか?)
(いや、それは無いはずだ。少なくとも人間はメイド長ただ一人だけだ。)
(んー…じゃあどういう事だ?)
(分からん…が、もし本当にその執事とやらが人間であるならば、それはイレギュラーの存在か、もしくは俺たちみたいに幻想入りをしてからその紅魔館の執事になった可能性が高い。)
(まあ、ここでヒソヒソ話していても埒が明かねぇ。とりあえず、ここは紅魔館に入ってみるのが良いんじゃねぇのか?もし、他にも幻想入りしてる奴が居るのであればソイツらとも話してみてぇし。)
(そうだな。とりあえず入ってみるか。)
二人は話を終えると、美鈴の方に戻って行った。
「あー、とりあえず紅魔館に入ってみても良いか?ちょっとその執事さんってのが気になるからな。」
「分かりました。では少し待っていて下さい。」
美鈴はそう言うと紅魔館の方へと向いて大きな声で叫んだ。
「儚月さーん!お客様がいらっしゃいましたよー!!」
美鈴が叫んでからものの数十秒で俺たちの後ろに執事服を着た若い男が現れた。
「貴方達がお客人ですか?」
「うお!?いつの間に後ろに?!」
「全く気付かなかった…!」
俺たちが驚いていると、執事の人は少し笑った。
「ははは。驚かせてしまって申し訳ありません。もし貴方達が客人を装った敵であるかどうかを確認する為にわざと後ろに出てきました。が、貴方達の反応を見るに、敵では無いのが分かりました。故に、紅魔館へとご案内致しましょう。」
そう言うと執事服の男は、美鈴の後ろにある大きな門を簡単に開けると、中へ入っていった。と、思ったら何かを思い出したのか美鈴の方へと向き直った。
「ああ、そうだ美鈴さん。この後フランお嬢様が一緒に遊ぼうと仰っていましたので、後で遊んであげてください。」
「分かりました。では、この方達を案内した後に門番を代わってもらっても良いですか?」
「ええ。分かりました。それでは皆様、改めて紅魔館へとご案内致しましょう。」
執事服の男はそう言うと門をくぐって紅魔館へと続く整理された道を歩いて行った。
「さて、それじゃあ行くとするか。」
「だな。それじゃあ美鈴さん。また時間があればゆっくりと話でもしましょうや。」
「ええ。それでは皆様、行ってらっしゃいませ。」
俺達は美鈴に挨拶を済ますと、男の後を追って歩くのであった。
そこに俺達も想像していなかった壮絶な戦い(意味深)がある事を…
「うぉい!?何で最高シリアス的に(?)話を終えてんのにわざわざ意味深とか付けんだよ!?説明しろうp主ィ!!」
という事で詠君に呼ばれたのでうp主登場✩
とりあえず、詠君の質問の返答としては…ネタに走りまくる為です✩
だってネタが無いと始まらないですらかなぁ(確信)
「だからって本文の方にネタを入れるか普通!?」
いやぁ、十分君もメメタァな事を言うじゃあないか…
「はっ!?しまった…俺としたことが…!」
なんでそんな絶望みたいな感じに言うのかね!?
「気にするなってんだよ。まあ、とりあえずあまり長くなっても文句を言われそうだからここまでにしようや。」
おっとそうだな。それではかなりメメタァな事を最後に言っておりますが、こんなネタの塊の様なうp主をこれからもよろしくお願いしますm(*_ _)m