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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
邪之章
97/112

手の平クルクル

前書き


全天録にハーレム要素あるならこちらもジャンルに含むのではないか?と小説情報を全体的に弄った。

一夜が来てしまった。

変わらず静かな森林にゲジと過ごしている。

枝と枯れ葉を集めて火を着けようと摩擦熱でやrっやつを現在実行中。焦げた臭いが漂うが熱いだけで着火にならない。回す動作がブレまくりで一点に集中した摩擦ができない。単純な技量不足だった。


「火なんて必要なの?お兄さん強いのに?」


何も返事などしないままリュートは擦る。魔法世界なら手から火の粉でも出せたらいいのにと思いながらも仕方なく擦る。アンユは勿論、摩擦熱でキャンプファイアーなど初耳だった。生前の冒険仲間が簡単に着火するとか語っている。何で聖女さん回復魔法しか無いんですか!


「回復魔法しかとは失礼ですね!錬金術だってありますよ!【火打ち石とか作ってよ】アクセサリーが基本です。信仰に必要な物を誰にでも配れるように【あーはいはい出来ないのね】」


とことん冒険者に向いてないスキルしか磨いてないアンユだった。具体的な緊急時に対策しようとしなかったのか問うと「助け合いましょう!」しか言ってなかった。間違ってないけど期待し過ぎてたみたいだった。


「【俺は俺でスキルを身につけないといけないのか】回復魔法でしたら任せてください!【それ光魔法って感じでいいの?相手を裁く魔法とかない?】ありますよ。己が間違った道に進まないように【セルフ!?自滅だと…】」


断罪の一撃みたいなニュアンスの攻撃魔法が誰かに向けて使うものではなく対象が全部自分だった。皆を癒し導く救済を怠らないバカ真面目、いや狂信者の成れの果てを見てる気分だった。本人曰く「破壊による救済なんて煩悩に甘えているだけ、私達の役目はそれを正しく導くこと」などの教えがあるそうです。


「【対象が自分…】そうですよ」


同じ身体で見えないけど微笑んでる。裏を返せば「調子に乗ってゲジちゃんみたいな酷いこと繰り返すならシバきますよ?」と言ってるような気がした。俺はゲジの頭を撫でて謝罪する。


「【ごめんな…こんなやつで…】」

「は?」


何言ってんだコイツみたいな反応されたので考えないことにした。第三者から見れば情緒不安定な危ないお兄さんだ。落ち着こうと下着の胸ポケットに手を入れて愛用の煙草とライターを取り出す。


「リュートさん…それ煙草ですよね?【そうだが……ふぅー】」


カチッと火を着けて一服。


「なんでそれ最初から使わなかったんですか…あるなら言ってくださいよ【あっ……】」


ライター持っているのにも関わらずリュートは原始的なやり方を体感で一時間ほど続けていた。


「【修行だよ…ほら、せっかくのサバイバ】忘れていたんですね?早く火を焚いてください【あっはい…】」


スキル以前の問題だった。

アンユから静かな怒りを感じる。

喉にガツンとくるはずのヤニが一切感じられない。毒薬と見なして状態異常回復をされているようだ。健康になっていくが身体にヤニ切れのストレスを感じる。セルフでの回復魔法にアンユが快感を混ぜないのも納得ではある。過度な快感や癒しは依存性に繋がり易い。攻撃魔法を自分に向けるのが基本の狂信者だからこそであろう。


「身体に毒ですよ?早く消してください【じゃあ変わりに癒しをください】ダメです。これは救済の為のものであって【俺が怪我した時だけと?】リュートさんが私なら治すだけで良いですよね?【うーん、この…】」


何も言い返せない悔しさはあるが本当にその通りであった。この聖女、俺がどういう人間なのか分かりきっていやがる。


「お兄さん手の平返しし過ぎてクルクルだもんね」


ゲジにすら図星を突かれた。

アンユが仮に「癒しましょう」なんて言おうものならリュートは「黙れ」と返していただろう。

基本的にやる気が無くて周囲の手助けを邪魔だと弾きフレンドリーファイアーしながら助け合うのが好きというのが彼だ。アンユはそれを理解し自分もまた同じ存在であると彼にフレンドリーファイアーしそうなのである。フレンドリーというか同じ【アンユ】なのだが…


「【フッ……バレてしまったからには更に裏手に】」


パチン!


リュートの顔を叩くのはアンユが動かしたリュート自身の右手だった。


「目が覚めました?【張り手だと…誰が上手いこと言えと】」


パチン!


張り手で内出血する勢いで叩きながら治療され続ける。痛いんだけど気持ちいいが繰り返される。


「お姉さんも中々の手の平返し…」


パチン!


ゲジは大きく吹き飛ばされる。身体が何回転したのか分からないほどのスピンしながら樹木に衝突。勿論、回復魔法を直に叩き込む強烈なビンタでありゲジは無傷。


「ちょ…イタ……え?なんで?」

「【何回でもやれるぞゲジ】癒されたい時は何時でも言ってくださいね」

「なにその無駄を極めたオプション…」


弱肉強食が基本だったゲジにとって二人の行動は理解に苦しむものだった。

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