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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
邪之章
95/112

薬剤師の如く

ダメだ手掛かりがないまま一夜が来てしまう。

あの巨体ゲジゲジを豪快に吹っ飛ばして轟音が響き大地は割れ、とりあえずコミュニケーションができそうなゲジゲジの擬人化と出会えたが変だ。

何故これほど派手にやっておきながら誰も来ない?

周囲にゲジ以外の生き物がいなかった。本当にこの女強いのであろう。まさか捕食している内に喰らい尽くしたとでも言うのか?

あれほどの轟音が響けば驚いた小鳥の群れなどが危険から逃げ延びようと飛び立ってもいいくらいだが確認できていない。


「【ゲジは森林の長とでも言うのか?】」

「私強いんだってば」


これは非常事態だ。サバイバル生活で食料になりそうなものが雑草とかになりそう。

というか食えるのか?

異世界の植物だよな?

回復魔法をアンユが使えるらしいがゲームでいうMPのようなものが枯渇する未来しかない。

回復って言えばあれだよね?

体力が【戻る】と感じだし傷が癒えると言うが【戻る】が正しいよな。コピー&ペーストの強制でデバッグから【戻る】仕組みだよね。

それはコピーする為のエネルギー消費が必ずある。それが魔力とかで解釈された世界だろうな。

つまり…


「【ゲジは夕飯どうする?】私達を食べようとしたということは肉食ですよね?」

「身体が小さくなったから当分あれで過ごせる」


巨体ゲジゲジの亡骸を指差し答える。

孵化した幼虫が母体を喰らうことから始まる虫らしい回答。アンユが声には出さないが引いている。

そんなアンユなど気にもしないでリュートは亡骸に手を添えて質問。


「【俺の予想じゃゲジはこの森林一帯の生物を喰らい尽くしたと思う】」

「そうだね、久しぶりに人間見つけたんだけどね」

「【この虫ケラに詰まった肉はそれらで構成されてるはずだ。俺も食べていいか?】リュートさん本気ですか!?」

「それ断っても無駄だよね。私は食べないでよ?」

「【正直不安しかない。肉食の肉は不味いからな…】私は心の準備が…」


あのビッグサイズでこの森林一帯を喰らい尽くしたのが本当なら長旅一直線に進んで餓死である。勿論、このゲテモノを食べるのに抵抗はあるが贅沢できない。

巨体な断面を前に舌を伸ばす…


「自分が食べられるのを見ることになるなんて屈辱だな。でも何か目覚めそう…」

「【くっ…!】む…無理です!!雑草で我慢しましょ!」


ゲジが何かに目覚めそうになりモジモジするのを見てしまったリュートは吐き気。アンユは耐えきれず身体を後方に引っ張りバランスを崩して倒れる。

ゲジは少しキョトンとなりながらも自分の亡骸に這いつくばって貪り始めた。


「【そうだな…黙って草にしよう】これは試練です。耐えましょう一緒に【神は言っている。ここで死ぬ定めではないと…】」

「二人とみょ何びっべるもぉ?」

「【食いながら喋るな】」


雑草に関してアンユは詳しく。石で磨り潰した見事な緑色の薬液のような物が完成する。

アンユの調合は自身の魔法と練り合わせたファンタジー世界で魔女がやってそうな感じだった。

異様な煙を出しながら、しかし光ながら雑草は薬草に変わり抽出された液体は回復ポーション。

それは聖職者というより薬剤師にしか見えない。


「このゴライアスは魔力を糧に育つもので、こっちのサルモーラは熱するとベーコンみたいな味になるんですよ」


異世界の植物の名前を次々と紹介されながら抽出液を飲んでいく。


「【苦いな】」


何一つ、理解できなかったが空腹は満たされる。

主食が薬って大丈夫なのか不安しかないが雑草から僅かな魔力は補給可能なようで安心した。


「何度も驚かされるな~」


食事を終えたゲジは興味深くアンユの調合を眺めていた。

ゲジも抽出液の試食をするが苦味の強さに耐えきれず吐き出して口直しに再び亡骸を食べていた。

それもそのはずベーコンみたいな味とアンユが言っていたサルモーラをリュートが食べた感想は「【味覚障害でもあるのか?】」である。

アンユはそれを「あれ?ほんのり香ばしいベーコンきません?」と聖職者の苦行の末路を感じたリュートだった。

冒険仲間は美味しく食べていたと語るがアンユの食文化が26000年前から進歩無しなのを後に本人が気づいて綺麗なorzの形で凹んでいた。


「ルデンは再会しても美味しそうにしてたのに…【思い出の味ならそりゃな…】」

「お姉さんどうしたの?」


時代の波に流されてることを何度感じたであろうか?

自分が生きていた時代が昔になってることを再確認するアンユに何と言えばいいのか分からないので黙るしかないリュートだった。

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