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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
邪之章
93/112

反逆のイデア

「アンユ。次はこのドレスを着てくれ」


ククラは撮影を終えるとチャイナドレスを取り出しアンユに着せる。

黒をベースに金色の龍が舞うデザインだった。


「これがドレスですか?」

「この世界のとある衣装だ」


ククラの無茶振りに慣れてきたアンユは直ぐに着替えて深呼吸をする。

林田龍斗の身体でメイド服を渡された時は困惑していたが、鏡で容姿を確認するとククラの気持ちに納得してしまった。

撮影内容は、と言うと全く進展のない棒立ちの二人で終わったようだ。


「来たか」


ククラの発言に首を傾げるアンユ。

だが何が来たのか身体が教えてくれた。


「おはよう林田君。いやリュート…と呼ぶべきか?」

「【え?誰?】え?もしかして」


彼が目覚めた。

周囲を見渡して自分のチャイナドレス姿に気づいて口が開いたままとなった。

同じ身体で男性の声と女性の声が個々で喋っている。


「初めましてリュート。私はククラそして」

「【悟が寝てる…ここアイツの家?】私黙った方が良いですか?」

「ご名答!突然だけど力を貸してくれないか?」

「【さっき喋ったの誰?口が勝手にうご】アンユです【いた】」

「そうだね、アンユは一旦黙ろう」


彼は困惑している。目が覚めたらココにいたのだから…


「手っ取り早く説明するならそうだな悟だ。これ魂が抜けている」

「【また死んだのかコイツ】え?また?」

「悟は異世界転生によりその力で全てを手にした。あらゆる別世界の自分を含め」

「【重なったのね】」

「そういうこと。だが必ずそこには不可抗力のようなアンチが出現する」

「【それ俺だよな?】」

「そうでもあるしそうでもない」

「【まだ重なってないから…だな?】」

「そゆこと」

「ドユコト?【アンユは俺ってこと】はい!?」


ククラのぶっ飛んだ説明に直ぐに理解する彼に対してアンユは全く分からないままであった。

そんなアンユに彼は解説する。


「【別世界、異世界と言うべきか…そのそれぞれ違う世界だが本質が同じ存在となった者が一点に集中して俺のダチは全てを手にした。それと同じ現象がアンユにも俺にも起きたんだ】」

「やっぱり本物オリジナルは他の邪神と一味違うな…これが絶対的アブソリュート想起イデアと」


ククラは悟から読み取った情報を元に邪神の正体を探っていたがアンユに出会うまで処理ができないでいた。だが今この瞬間に全てのピースは揃いククラは邪神を理解する。


「【全を欲するより他を求めた総称だが何だよリュートって…】」

「君をそう呼ぶのが適切と判断したまでだ。まあ私の[勝手]なんだが」

「【ククラさんもしかしてアンタはアイツの基点トリガーか?】」

「リュートにとっての基点トリガーはアンユで確定だな」

「【龍斗だ】」

「さて本題に移ろうか」

「【無視かよ】」


彼の指摘など聞く耳を持たないままククラは異界のゲートを作っていた。

そして彼の肩に手を起き笑顔で語る。


「重なることを善しとしなかった君なら悟を救えるかもしれない」

「【いやアンユが重なってるんだが】確かに」

基点トリガーだから仕方ないだろ?私もそうだった」

「【いや知るかよ】ククラさんも悟さんの身体に?」

「私は、いや私達は逆だったがな…」

「【俺がアンチだからそりゃ逆だわ】ククラさんの身体に悟さんが…なるほど」


相反する存在故に基点トリガーの方向も逆となる。だが龍斗は反逆の道を絶った。重なることはなく己すら重なることを絶った絶対性の開拓者へ散ったのだった。

唯一アンユという回復馬鹿がそれを戻したのかもしれない。


「【さて行くか】」


異界のゲートへ彼の姿は消えていった。


「――もし私と悟が敵対関係で互いに葬る関係だったら――――それと同等の鬼畜を彼は歩むんだな…真似できそうにない。詰みだ」


ククラはそんな独り言を呟いた後、ルシ姉に伝言を送る。


『彼をそちらに送った。私達の勝利は確定した。』


勝利を宣言していた。


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