フィーバータイム
ドスッ
何かが落ちてきた。
だが何なのかぐらい直ぐに判る。
「おい、そこの駄天使!私とゲームしようぜ!」
アイツだ。あのムカつく笑顔、それでいて心の底では何も考えちゃいない邪神…
の頭部が落ちていた。
「俺から聞いていいか? 首から下はどうしたんだ?」
鼻歌と笑顔でシカトされた。
すると隣にいたルーシーが駆け出していた。
宙に飛ぶ邪神の生首。何があったのだろうか?
まさか首から下をルーシーが消し飛ばしたとでも言うのか?
いや、そんなわけではなさそうな表情でコチラをじっと見ているな。勝負にならなかったって、具体的に何があったんだよ…
「いやんルーシーったら饅頭でサッカーでもするつもり!私はそんな子に育てた覚えはないわ!」
「育てられた覚えもない!消え失せろ!」
圧縮された軽い魔弾が邪神を討つ。はずもなく…
「どうしたルシ姉、らしくないぞ…」
「どうやら時間を戻されても勝負は続行中のようだ。あれを見ろ…」
俺は目を疑った。アイツの大量の生首がコチラに迫ってきている!
その一つ一つの表情は違っており、共通する部分で言えば全部血塗れであること。
「どんなゲームだ!どんなルール!?」
「そこまで焦ることでもない。私が処理している間も攻撃してくる感じも無かった。ただ…」
「おーけーおーけーとりあえずSAN値直葬なんだけど!!」
「全くだ…悪趣味にも程がある!」
邪神の頭部達が何かしらの関係があるのか、歪んでペアを見つけて引っ付いた。
その歪みっぷりに更にSAN値が危うい!
そんなおぞましい同じ顔が無数に並ぶ列をイライラしていたはずのルシ姉が抱えていた。
「天使様…優しくしてくださいね♪」
「きゃー!ラマンったら甘酸っぱいわね!」
「そういうラマンこそ本当は天使様が好きなんでしょ」
「ははは…ラマンには敵わないねぇー」
なんだかこのやり取りに似たものを何処かで見たことがある。
それよりルシ姉は何をしているんだ?
歪み引っ付いた生首を引き剥がし。何かを見つけるかのようにそれを別の生首にくっつけていた。
「悟。このムカつく頭部を拾って見つけるんだ!」
「どれも同じ顔だが何を見つけるんだ?
本物探しなら勘弁だぜ?」
「まず、この同じ表情をしているやつ。これを…」
そういうと同じ表情の生首四つを揃えた。
その揃えた表情は一変して白目を向いた。そして、膨れて破裂。飛び散る鮮血。
消えた生首のスペースに出来上がった血溜まりに向かって舌を伸ばす生首。とても気持ち悪い。
美人になってるとはいえ、そんな癖がないことくらい承知の上での嫌がらせである。とても気持ち悪い。
と見せるのが早いという訳で閲覧注意な邪神の生首花火を見たわけだが…
「まさかこれって…」
「そういうことだ。勝負にならないであろう?」
「あぁ、しかも俺はそんなに触れてないジャンルできてる辺りアイツらしい…」
「こんな調子で汚れるんだ。そして生首は喋るから腹が立つ!そしてペースが遅いと増える。」
「そしてばたんきゅ~しちゃうんですね」
相変わらず狂ったセンスだから一瞬リアクションに困った。本当に頭おかしい
「頭おかしいのはククラもだ。向こうで一人、笑い続けてコチラは極限状態だと言うのに」
「これに笑えるようになったんかアイツ…」
どんな笑いなのかは大草原不可避であってほしいと願う。SAN値直葬の一時的狂気でないことを心から願おう。
そしてこのバカゲーパズルをやらなきゃいけないのかと思うとククラはこの際どうでもいい。
問題なのは俺の魂がこの異世界に監禁されてるという事実だ。
目の前に並ぶ生首のように俺も生首になって消し飛んでも死ねない世界。
死と隣り合わせなんてよくある話だったが、それがない今…
俺に隣り合わせとなっているのは何なのか?
「そんなの【邪】一択ジャマイカ」
「はぁ!?違うわよラマン。【神】よ」
「神なんて虚像よ。【真】よ悟きゅん」
「騙されないで!【友】よ。思い出して」
「ばーか!【災】に決まってるだろ」
「「「なるほど~流石ラマン」」」
やっぱ俺のSAN値が減る一方だ。せめて黙っていてほしいな…
「やーん悟きゅんのえっちぃ」
「………………。」
無駄に美人で黒髪ロングな邪神の持ち方に困る。血塗れで生首で最も…ダチじゃなかったらエロスを感じたであろう。
首の断面を抱えるように触れてしまう度に邪神は唾液を垂らしながらトロ顔で何かを言ってくるのであった。
「いったーい!!」
「はぁ……」
まあシダならやりかねないなと自分に言い聞かせながら「最高の嫌がらせ」と俺も中々の歪んだ解釈をしながらパズルを組み立てて消し飛ばす。
真っ赤な誓いを繰り返しますとさ。
「「どこまーでぶぼぉっ?!」」
「汚ねぇ花火だ」
これじゃ真っ赤な血舞い。




