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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
邪之章
90/112

強くてニューゲーム

アルディーアスに案内された場所は墓場だった。

無数の墓場が並んでおり、どれも十字架らしきものが刺さっている。

空気が重く冷たい、まるで廃墟だ。

その再現度は拘りを感じるほどのものだった。

一つ一つ名前が彫られている。


「結構な拘りだなアイツ。データ量で言ったらどれくらいになるんだろ?まあ宇宙何個分になるかだな」


そんな独り言を言っていた。

すると家が見えてきた。こんな場所に待つような奴だったか?と俺は疑問に思う。


「ここで間違いありませんね」

「この魔力…近い!」

「魔力?」


俺だけその邪神とやらの魔力に気づいてないらしい。そういうムービーにでも入ったのだろうか?

邪神と聞いたから禍々しいオーラみらいなものが出てくるエフェクトを用意していると思ったのだが…


「俺には光属性のような眩しさしか感じないが」

「えっ!?この邪神の魔力で眩しさを感じる?あり得ない…」

「光ですか~へー…」


緊張感の高まるジレスとは違いアルディーアスは落ち着いている。そういえばこの女、邪神に敬意を示してるような気がする。

悪魔だから強者に従うのが当然なのだろう。そうなってくるとこの先にいるやつって言ったらルーシーくらいしか…


そう考えていると、背後から肩を叩かれた。


「ん?なんか最初に見たやつと同じだな…ククラだったか」

「我が家へようこそ」

「「?!?!」」


ジレスとアルディーアスが反射的にバックステップで離れた。

さっきまで落ち着いていたアルディーアスさえも見るからに心拍数が羽上がってる。死を恐れる目だ。ジレスも同じで冷や汗も出ていた。


異様な緊張感が二人から出ている。

だが俺には目の前の女は輝いて見えた。


「ここが拠点になるのか?あれ?ククラは敵キャラで操作中か?」

「ククラちゃんは~観客席で応援中なのです!」

「ん?シュアだったのか…だから光ってるのか」

「シュアちゃんは~夕飯を作ってるのです!」

「いや待て待て…じゃあルーシーしかいねぇじゃん。なんだそのキャラ」


目の前の女は何故か超絶ぶりっ子キャラで喋っていた。


「ルーシーちゃんは~もう少しで来るね!」

「NPC…そういうことだったか…はよいえ」

「そしてサキアちゃんは~………」

「早く離れろサキア!!」

「え?」


遠くにいたはずのジレスが俺の腕を掴んでいた。

引っ張られる腕、崩れる体勢、俺が元いた地面から黒い針が突き出ていた。

さっきまで笑顔で話していたぶりっ子キャラが一変して無表情になっている。

ジレスに連れられるがままに走り続けていた。

後ろを振り返ると女は動いていない。


「サキア!本当にやれるの!?」

「は!?あれ受付嬢じゃないの?」

「邪神が受付嬢って全くバカやるのもいい加減にしてってば!」

「いやでもルーシーがもう少しで来るっぽいし合流が優先だ!たぶんこれはターン経過でイベントが進むやつ!」

「ワケわかんないこと言ってないで倒す手段を考えて!」


ジレスはパニックになっている。対する悟も何がなんだか分かっていない。

だが彼は「ルーシーが来る」という言葉を信じた。ジレスが掴む手を振りほどく…


「自滅だけは許せない。サキアじゃないアンタにこのまま死なれるのは…」

「大丈夫だ。避ければいい」


悟は邪神に向かって走った。邪神は変わらず動きを見せないままボーッと立っていた。




そう思っていた。


「うっげぼぉっ……?!あっ………ラマ……ン……様…」


邪神の頭上で串刺しになったアルディーアスがそこにはいた。

地面から突き出ていた黒い針はアルディーアスを捕らえていたようだ。


「……………。」

「いやープレイアブルキャラクターが急にやられるかよ…」


アルディーアスから降り注ぐ赤い鮮血をシャワーでも浴びるかのように邪神はそこに立っていた。

凄まじい出血量にエフェクト盛りすぎだろ!とククラに言いたくなったが先ほどからアルディーアスが定期的に光ってるように見えた。


「あぁ……これが…ラマン様の求めたモノ…」


アルディーアスは笑顔だった。そして定期的に光ってるエフェクト。あれはたぶん回復魔法を持続的に受けてるに違いない。だから出血量が凄まじいのか?


「……………。」


邪神は未だに動かない。

全身はアルディーアスの血に染まっている。


「なにもこない…のか?」


先ほど邪神が「サキアちゃんは~……」と何かを言おうとしたが聞き取れなかった。もし殺害予告であればきてもいいはず…


「サキア……」


俺の後ろでジレスが心配しているがこれは何かの合図だろうか?この間、実に面倒である。


「ちょっと待てよ……ラマン?」


俺は何かを思い出しかけた。しかし明確な答えに辿り着けないまま降り注ぐ槍を避けるしかなかった。

アルディーアスのハハハハッといった高笑いが聞こえる。毒の槍だ。


「はぁ…気持ぢいぃ……ごれがラマンしゃまのヂカラッ…!」


アルディーアスの様子が次第におかしくなっている。初対面からの印象とは大きく異なる洗脳でも受けたかのような表情。

そして次々に追加オーダーの毒槍が俺を狙ってくる。


「あれじゃ生体ユニットだな…」

「アハハハハハッ!」


アルディーアスの猛攻は止まらない。俺は回避にだけ集中していた。ルーシーが来るのを待ち続ける。



そんな戦闘が数時間続いた。

というのも邪神が飽きたのかアルディーアスの口から触手が出て以降、攻撃もなければ喋ることもなかった。


「ふぅー……ルーシーまだかな」

「………………。」


血まみれの邪神は動かない。

頭上のアルディーアスも口から生えた触手がウネウネと動いてる以外に変化なし。


「これは何か条件を達成しないと進まないやつかな…」


俺は少し考えていた。


「仕掛けるしかないのか…」


ひのきのぼうを構えながら邪神に向かって突進する。途中で何かしらのカウンターを予想しながら進んだが何もなかった。

ひのきのぼうが邪神の身体を突き刺していた。

これほど装甲が低いあたり、「チュートリアルまだ続いてたんかーい!!」と言わずにはいられなかった。


「やったの…?」


遠くで見ていたジレスが一番驚いていたであろう。まさか邪神にひのきのぼうが刺さってるのだから


「おっと…?」

「………………。」


邪神が動いていた。その手には剣があった。


「あっ……?!やべ!」

「サキア!?」


勇者の剣が盗られていた。反撃にくるとしか思えないので急いで後ろへ下がった。


「…………………。」


パキンッ!


勇者の剣を容易く折られてしまった。しかも刺したはずの傷痕など一切ない。力の差を見せつけられている。


「そうじゃない…」

「あ?」

「違う」

「何がだ?」


邪神は折れた剣を投げ捨てる。そして頭上のアルディーアスも針が地面へと消えていくと同時に落下した。

倒れているアルディーアスの頭を持ち邪神は告げる。


「やはり完璧でないとダメだ」


ブヂィィィイッ!!


触手を引きちぎっていた。すると意識が戻ったのかアルディーアスが起き上がる。

そんな悪魔を俺は眺めていた。だが一瞬にしてそれは塗り替えられた。


「空………?」


首から下の感覚はなく、俺は何故か空を飛んでいる。


「サキア!サキア!サキア!!!」


ジレスの声を最後に目の前が真っ暗になった。




……………………。


「………き……」

「………きろ」


聞き慣れた声がした。


「起きろ!」

「はっ……!」


黒髪ロングで堕天使なツンだけどデレなツンデレお姉さんの胸のなかで俺は目が覚めていた。

起きて早速、身体が戻ってることに気づく。


「ルーシーここは?」


返事がなかった。

俺はルーシーにあれこれして反応を待つ。

だが無反応のまま堕天使は動かなかった。


背後から聞こえたあの声


「おはよう悟きゅん!」

「あ、受付嬢…」

「さあさあ諦めないで何度でもニューゲームできるよぉ!」

「ログアウトでいいか?」

「ログアウト?なにそれ美味しいの?」


意識が薄れて周囲が歪んでいく。

俺の言葉などガン無視で勇者と表示されたクリスタルが迫ってくる。


「マジかよ……」


とりあえず悟は受付嬢が一番バグってると今すぐククラに言いつけたい気持ちであった。

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