バグ検証開始
それに気づいたのは上からの襲来ではなく正面からの仕打ち。
俺の顔面目掛けてアレが飛んできた。
そして下剤ダイスアローの初見のように周囲の時間の流れが止まったように遅くなる。
身体ののけ反りだけでは飛び散りが被弾すると考えた俺は大きく左へ跳んでいた。
「ちょっと騎士さん。それはあんまりじゃないですかね?」
「大丈夫よサキア。私の身体に防御壁を展開しているわ。つまり私は触れていない判定よ。」
「いやーマジすか…それ普通に上から当てても判定無いってことっすよね?」
「言ったでしょ?本気でやるって」
「やだこのクソゲー!」
そう、急にボウガンを支給してきた目の前にいる綺麗な女騎士はあろうことかアレをぶん投げてきた。
「そうね…そろそろ身体も馴染んでるはずよね」
「てことはチュートリアルやっと終わりました?」
「あら?まだ頭の方は馴染んでいないのかしら?」
「接続は完璧だと思うぞ?そういう役割は得意だからなアイツ」
そういうと女騎士は再びアレをぶん投げてきた。
そして、ため息をついてから女騎士は真剣な眼差しで俺を見てきた。
「本当にサキアなの?答えて」
「あれ?そんな名前だったか…一応受付では【あ】って言ったんだがな」
「ふざけないで!」
再び周囲の時間の流れが遅くなる。
彼女は俺に拳銃を向けて撃っていた。
その弾丸は大豆ではなく本物の銃弾。
見て判るその魔力は魔弾と言ったところか、俺は二本の指で摘まんでいた。
ジュッ……
熱が水分を蒸発させる時によく聞く音だった。
どうやら指が少し溶けたようだ。防いではいるが装甲は人並み。と言っても超人が基準のゲームでよくある基準だが…
「痛みも感じるのか…ふむ、よくできてる」
「何者なの…サキアに憑依しているんでしょ?」
「憑依っつーかプレイアブルキャラクターで響きのいい勇者を選んだだけだが」
女騎士は少し弱みでも握られたかのような焦りを見せた。俺が何か変なことでも言ったのだろうか?テストプレイにしちゃ細かいストーリーにブッ込まれたのか?
「どうして勇者だと知っている…!それは一部の貴族と勇者しか知らない情報。記憶まで取り出せるとでも言うのか…」
「え?そういう流れ?そこに裏切り者がいるパターンか」
「…………?!」
またしても何か図星を突いてしまったようだ。攻略に支障がでないことを祈ろう。
というかククラがそういうストーリー用意するとは最近ゲーム開発のやり過ぎで影響を受けすぎたのか?
「あらあら随分と汚ない場所で訓練してるんですね~」
聞き覚えのある声だった。
「悪魔……!邪神の手先か?」
女騎士は知らないのか、いや見えてないのか。
彼女の周囲は毒霧のようなものが次第に充満していき幻覚を見てるように見えた。
「なるほど、やはり使いこなせないままなのですねジレス先輩」
「その雰囲気、まさか!」
「おーい、エンカウントでいいのか?」
悪魔が空中で浮いてる椅子に座って登場していた。たぶん敵だろうし速いとこ倒しておこうと思った俺は腰にある剣を構えてそれを…
「サキアか……なるほど」
「多段ヒットはあるのか試してみるよ」
「え?」
ブーメランのように投げていた。無論弱すぎるのか剣を弾かれ明後日の方向へ飛んでいった。
「ありゃ肉質が初期装備じゃ厳しいか」
「挨拶代わりにしては品のない剣だな」
「サキア!?勇者の剣を投げるなんて何を考えてるの!」
勇者の剣?あれが?嘘だろ?
と初期装備が勇者の剣と聞いて俺は少しショックを受ける。
直後にインフレが激しい世界観だと考えた。きっと神々が造りし神器さえも玩具みたいな世界なんだろう。ククラの作品ならこの程度許容範囲にあるはずだったが…
「じっくりいくタイプでもないか、ああそうか…つまりバグ探しがメインか?良いだろう」
と独り言を言っていた。そして俺は落ちてる棒を持った。
「おいおい勇者様は【ひのきのぼう】で戦うのが趣味なのかな?」
「勇者って言ったらこれじゃね?」
「サキア!いい加減にして!!」
隣から女騎士が殴ってきた。ムービー中という判定でよろしいでしょうか?HP減った?
「今はサキアじゃないかもしれないけど、相手はアルディーアスよ。毒を司る悪魔にして女王。誰なのか知らないけど!早くサキアの身体から出ていって!」
めっちゃ怒られた。スゲー痛い、なんか理不尽っていうか重い話なのねこれ…
「出ていってと言われてもだな…ログアウトどうやるかククラに聞かなきゃわかんねーし」
「ほう…サキアに誰かが入り込んでいると?」
アルディーアスがこちらに向かっていた。
(あれ?そういえばプレイアブルキャラクターの女王じゃね?別ルート?)
俺はやっと聞き覚えのある理由を思い出した。
別のプレイアブルキャラクターが敵になるパターンなのか味方になるパターンなのか今はわからないが俺に興味があるようだ。
「あの御方のような存在がもう一人いるとは…」
「アルディーアス、それって…」
「これは面白くなってきましたね~♪勇者と魔王」
魔王?そういえば他のやつらは誰を操作してるんだ?まさかルーシーが魔王を操作で最終的にぶつかるとなると何だか楽しみだな。
そんな妄想をしている悟だった。彼はずっとゲームだと思っている。
「でも今は【邪神】。サキアのような【誰か】が原因でこうなってしまったのは予想できるわ」
「なあ?そいつは何処に行ったら会える?早いとこ他のやつらと合流しておきたいな」
「ほほう、やはりあの御方の中にいた【邪神】とお知り合いでしたか~♪でも良いんですか?」
俺は少し違和感を感じた。【誰か】だとか【邪神】だとか名前が出ないままだ。
そういえば俺の名前も出ていない。サキアというキャラクターのこれじゃロールプレイングだ。
「まあ発売前のテストプレイだしな、早いとこ案内してくれ」
「……………。」
ジレスは黙っていた。アルディーアスの言うあの御方が誰なのか知っているからだ。
「で、サキア……」
「えーっとジレスだっけか?どうした?」
「ひのきのぼうで向かうんですか?」
「バグ検証まだまだだし色々と集めておきたいな、剣は大丈夫だ。なんか戻ってきてた!」
「え?えっ!?」
勇者の剣が意思を持つ魔剣であることなんぞ知らない悟は早速バグを発見できてラッキーといった調子であった。
全天録の邪神について:向こうじゃラマン・アンユの名前も林田龍斗という名前も一切でないんだとか。しかし開拓者とか邪神とか友人とかで登場する場面がある
向こうというのはダチの作品で全天録の方
つまり、全天録の方から読んでる人にはこの作品とことんネタバレがあるんじゃ
でも作者が違うと少し違った進行になりますね
その違いをお互い楽しんでるといったところか
こちらの作品は全天録の上木悟がやることやって帰還した後の話となります
なのでこの作品だけでは分かりにくい部分もあったり、逆にあちらの作品だけでは分かりにくい部分があったり




