対の正妻ククラ=ニーツ
暗転した世界から再び目を開くことで光を得る。
今度こそ目覚めの時だとアンユは思っていたが違った。
「あれ?ここは何処だろ」
まだ自分は眠っているものだと考えた。
目の前に建つ大きなアパートを見上げた。
アンユは特に驚くことはなかった。転生後の世界で見慣れていたようだ。
「アン…ユ…?」
背後から女性の声が聞こえた。
自分を呼んでいるがアンユは疑問を抱きながら振り返る。
「誰です?」
「どういうことだ…そんなことがあり得るのか!?」
振り返ると目の前の女性は化け物を見るような目でアンユに問う。
アンユには理解ができなかった。
「あの…私の名前を何故」
「おい!何をした!?答えろ!」
アンユには理解できなかった。
自分の姿が違う誰かであるのにアンユと呼ばれたこと。
今、目の前で自分の肩を掴んで謎の質問をする女性のこと。
「なるほど、知らないらしいな…しかし何をどうしたら…」
「あの…夢の中で何ですけど誰ですか?」
「夢?現実逃避と来たか…私もそうしたいくらいだ」
女性はアンユを理解した。
「だがな…そう上手くいかない相手と戦っている。彼の敗北は確定するが故に多発した失敗…絶望…それをねじ曲げたら思わぬ事故の誘発と奇跡の復活。アンユ、貴女はそういった当事者だ」
アンユは女性を理解できない。
「すみません…何を言ってるのかさっぱりなのですが」
「そりゃそうさ、言語の壁など通過済み!世界の壁など通過済み!論外だぞ?それを今まで見てきた傍観者と自覚のない当事者の違いだ。解るな?」
「わ…わからないです…」
「それはそれで結構大事だ…しかし問題は何故そんな復活をする?彼と面識は無いの?」
「彼って誰ですか?ラマンのこと?」
「あぁ…やっぱいいよ…こっちで調べる」
女性はアパートの中へアンユの手を引っぱりながら連れていく。
「では挨拶といこう。私はククラ=ニーツ。ククラとでも呼ぶといいゾ」
「ククラさんですか…私は」
「アンユだな、お互い頑張ろう」
「え?何をです?」
「作戦は、これから決める。私にとっての全てを取り戻す為に…そしてアンユの全てを戻す為に」
「つまり回復ということですか?」
「人の話を聞いてたのか…?回復馬鹿のままじゃこの先きちぃZE…」
「きちぃぜ?」
「んんっ!忘れろ…」
ピンポーン
インターホンが鳴り響く。誰か来たようだ。
ククラはニヤリと笑い扉に向かう。
アンユは座って待っていた。
「聞いて驚けルーシー!いや、聞かなくても驚け!」
「そのテンションは悟だけに……」
「……………」
ルーシーと呼ばれる女性とアンユは目があった。そして女性はククラに言おうとしていた言葉など忘れて絶句した。
「あのー私に何か付いてます?」
アンユは未だに状況を知らない。




