表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
邪之章
83/112

朽ち果てる不死鳥と注がれる毒!噛めば噛むほど美味しいゲソの珍味♪

それは一瞬だった。


「もっと力を―――」


朽ち果てる肉体など気にもせず、男は力を求めて目に映るものを喰らい尽くす。


「俺によこせ!」


バハムートの脳天を喰らいながらブチ抜き、血濡れの男は騎乗している女に襲い掛かる。


「旨そうな肉――」


男の理性など何処にも無かった。あるのは食欲というなの本能のみ、その姿はただの獣でしかない。


「ぎぃあああああああっ!?」


魔方陣から槍で突撃する女の腕を即座に喰いちぎる。痛みにもがき苦しみながら落下していく女を血濡れの男は逃がさない。


「旨い――女の肉!もっとだ!」


一直線に女の顔に目掛けて拳が迫る。


「この悪魔め……!」


そのまま喰われてたまるかと言わんばかりに女は槍を投げる。

確実に男の腹部に刺さったが怯むことなど無かった。


「そんなっ……うっ!」


地面と拳でサンドされた顔面は、見るも無惨な砕け方となる。

動けるはずもない肉体を餓えた獣のように男は貪る。


「な…何があったんだ!?」

「あ、あれは悪魔っ!?」

「誰かが食べられているぞ、あの白衣は……そんな…」


響く爆音と荒れた天候から村の人々が集まっていた。

悲劇の連鎖だった。だが餓えた男には新たな獲物を見つけただけでもある。


「に――くぅううううっ!!!」

「に…逃げろ皆っ!」


手遅れだった。

次々と人々は喰われていき村は血で染まる。


「もっと肉を―――」


満たされることのない餓えと朽ち果てる肉体で男は限界がきていた。

フラフラと歩き続けたが力尽きてしまう。

差し伸べる手も無意味に……


「も――っと―――」


そう思っていた。

その手を誰かが握っていた。


「素敵よ……ふふふ」


それは女の声だった。

女の口からドス黒い液が垂れて男の手に注がれる。男の朽ち果てて渇いた肉体を潤すように注がれる液は、不思議なことに男の肉体を蘇らせる。


「お帰りなさい勇者ぼっちゃま♪」

「あ……あがっ!俺は何を……」

「思う出す必要はないわ~」

「そうか……」


女に膝枕されていた男は、そのまま眠る。

男の頬には炎の亀裂が残っていた。

それを女は撫でる。


「ずっと燃えているのね……おやすみなさい」


それは男の肉体が今も朽ち果てようと燃え続けていることを意味していた。

今のマテラに天照の力も不死鳥の力も残っていない。

その赤い炎の亀裂は彼のものではない、異質なものであった。


パキッ……パキッ……


何かが割れるような音が血で染まった大地の中心で鳴り響く。

その不自然な音の正体が気になったアルディーアスは、ゆっくりと立ち上がる。


びゅるるるるるうぅ!


何か水気のあるものが吹き出た音がする。


「あら?やっぱりあの小娘も呪われていたのね~」


それは無惨な姿で倒れていたルベラからだった。

ルベラの砕けた生首は転がり、断面から幾つもの目玉が産み出される。身体の生首があった部分からは黒い触手が生えていた。

その触手の先端には口のようなものまで見える。それを見たアルディーアスは何かを思い出す。


「ははは!その姿は懐かしいわねぇ~♪へぇ……やはり来てるのね、ラマン様が」


触手の化け物となったルベラはフラフラと歩き、マテラが食い散らかした村の人々の遺体に触手の口を挿し込み体液を注ぐ。

遺体は痙攣を起こしたかのように震えて首が吹き飛ぶ。

そして同じように触手が生えてきたのだ。


「王国の倉庫にあったわね、おとぎ話だとも思っていたのだけど本当みたいね…」


王国の倉庫には今までの経歴などが記された書物が置かれていた。マテラとマキアの先祖と言えるほど昔の話である。



『それは国民全員が勇者の素質を持つ偉大な国であった』


『あらゆる剣術と聖なる力で竜を葬る』


『それも伝説やおとぎ話となっていた』


『そんな勇敢で屈強な国は一夜で滅んだ』


『それは悪魔の襲撃である』


『無数の矢を容易く弾き』


『勇者の剣術と互角の剣術』


『恐ろしい魔法』


『倒れた仲間は触手の化け物にされ』


『王は魔の誘惑に騙され化け物に』


『悪魔は化け物にした人々を喰らい尽くし』


『何食わぬ顔で立ち去った』


『私はあの悪魔を許さない』


『魔王ラマンを決して』


まだラマンが魔王として君臨するよりも前のものであった本は当時の生き残りが書き記したんだとか……

だがアルディーアスはジレスの悪趣味な魔法を知っている。

魔王の右腕として偵察をしていたジレスに対してアルディーアスは魔王の左腕のような存在だった。魔界で悪魔達の指揮をしている上位悪魔だ。

ジレスの裏切りにいち早く気づいて悪魔の軍勢を送り込んだ張本人でもある。勿論、ジレスとマキアの力が入れ替わっていることも把握していた。その為、彼女が真っ先に思い付く目の前の光景の元凶は魔王ラマンただ一人。


「でも当時のあの御方は魔法をほとんど使っていなかった……」


ラマンの戦闘スタイルは力こそ全てであることを象徴するべく魔法は使わないで、あえて物理で殴っていた。そう……

今、目の前の光景と今までの惨劇は魔王ラマンらしくない悪趣味なやり方であった。


「ジレスが裏切った理由、なーんか判ってきちゃったかも~」


初代魔王パズーラと同じで魔王ラマンも己の正義というものがある。アルディーアスは過去のジレスとの会話を思い返していく。


そして考えがまとまった彼女はマテラを叩き起こした。


「勇者ぼっちゃま~食事の時間ですよ」

「ん……?なっなんだコイツら!?」

「伝説は本当だったということですよ、アレが勇者の宿敵とも言える雑魚?でしょうかね~♪」

「食事?宿敵?」

「そうですよ♪さあ……お食べ」


そっと近づきマテラの耳元で囁くアルディーアスの口からは黒い液が垂れる。その黒い液がマテラの肩に落ちた時だった。


「うぅううううううっ?!ニ……」

「いってらっしゃい…」

「ニク!クワセロ!モットチカラヲ――」


マテラの姿は再び黒い皮膚に覆われた魔人となり、触手の化け物達に飛びつき触手を食いちぎる。


それを見送ったアルディーアスは軽い笑みをこぼし立ち去った。


歩く道中


「何もない故に何でもアリか……」


謎の独り言を呟いていた。

後書き:なんか物足りないのでサブタイトルも変更しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ