第一悪魔女王アルディーアス
俺はマキア、この国の王やってまーす。
ひょんなことから欲望のまま生きてきた俺に悪魔の嫁が何十体もいるんだ。
皆と冒険していたが、気づいたら城に戻ってたんだ。
魔力が有り余ったルデンが気絶すると自動で発動する転移魔法があるというのを後から知ったんだ。参ったな~嫁達の多大な誘惑に理性が追いつかないや!
明日は俺とマテラの双子の誕生日パーティーをするんだ。
この俺マキアは26030歳になる。とても長い人生だな、そのほとんどが女に流されていった酷いものだ。俺の豹変と悪魔との結婚をしていった辺りから国民の特に女性からの態度も変わり果てた。
というのも全て悪魔の仕業であり嫁の計らいだった。お陰様で我が弟マテラが爆発したのは良い思い出だった……いや、やっぱ最悪だった。流石にあれは反省するしかないし嫁も皆が反省して大人しくなった。嫁が1体、マテラに消されてしまった。その後、マテラとの一騎討ちになりかけたがルデンが黙っていなかった。簡単に封じられてしまったな、だがお互い助かったようなものだ。俺の嫁の内、数体ほどズバ抜けて能力の高い悪魔がルデンと契約していたのだ。いや本当にあの女は恐ろしい、女として見れない!たぶん何かしら手を出せないような魔術があるのだろう。
そんな騒がしい日々もアンユが戻って落ち着いたものだ。
久しぶりに三人の笑顔が見れたんだ。俺は満足だ。あくまでも理性だけなら……
不思議なことにアンユから一定の距離を離れると理性が保てなくなるんだ。あぁ…そうさ
俺がアンユにしたプロポーズは本当にありのままの自分なんだ。忘れることなどない、唯一俺を理解して苦しみから解放してくれた女だ。そんな俺の想いも願いもルデンにバキバキに折られてしまったが、まあ悪くない!そんなことよりもパーティーを楽しんでいこうと思う。
「あんたのだけ他より美味しそうね~貰っちゃおう!」
「俺のだけマテラの手作り料理なんだ絶品だぞ」
「王権か何かで?」
「今夜の為にとマテラが振る舞ってくれたんだ」
「ふーん……なるほどね~」
彼女はルデンとの契約をしている悪魔女王の中でも最も強いアルディーアスだ。勿論、俺の最初の妻となる。
彼女は俺から手料理を全て奪い貪る。その美しい食べ方は何年見てきても飽きないものだ。マテラが俺の為に作ってくれた料理を奪われた気持ちなど、どうでもいいくらいに彼女は魅了してくれる。ルデンの転移魔法は各自の拠点へ戻るようなのでアンユは実家に里帰りしてしまった。今の俺は俺じゃない欲望に溺れたケダモノでしかないが、そんな俺をルデンと嫁達が魔術で抑制してくれているらしいんだ。とても素晴らしい仲間と妻を手に入れたものだ。そうでなければ俺の身体は燃え尽きている。
「やあ兄さん、料理の味はどうだった?」
「あら勇者ぼっちゃま~ごめんねぇ、私が食べちゃった♪」
「そっか……」
「まあまあ、あっちで話しましょうか~」
「そうだな!双子の昔話でも聞いてくか?」
「マキア、あんたは座ってなさい……他の娘にも色々とあるんだから~」
「そ、そうだな」
アルディーアスはマテラを連れて何処かへ行ってしまった。
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王室から遠く離れたアルディーアスの部屋となる地下まで来ていた。石の扉を抜けると中央に見える赤き玉座にアルディーアスは足を組み座る。そして彼女は指をパチンと鳴らした。すると石の扉は、それに合わせて閉じられる。不審に感じたマテラが問う。
「話しとは何だ?」
「随分と凝った毒を仕込んだわね~でもね、この毒を開発したのは私なのよ?」
「気づいていたか」
「当たり前よ~城に帰還してからアナタに不思議な何かを感じるわ、冒険で何があったのかしら?とっても素敵な邪悪なもののような~それとも呪いかしら~?」
「何だっていいだろ、それより俺と殺りあうのか?」
「うーん、違うわ……私ね、今のアナタが気に入ってるの」
「そんな誘惑などマキアにしてろ……」
「ふふふ……いいわぁ~♪勇者とあろうものが実の兄を毒殺だなんてね、アナタをそこまで変えた何かがスッゴく気になっちゃうわね~」
マテラは何も言わずに石の扉を押し開ける。アルディーアスは、それをただニヤニヤ笑いながら見送った。
「チッ………」
階段を登る途中でマテラは舌打ちをして王室に戻った。
「ようマテラ、あれ?アルディーアスは一緒じゃないのか?」
「あの悪魔なら部屋に戻ったよ」
「珍しいなアイツが部屋に戻るなんて……」
「そうなのか?」
「あぁ……何でも俺とルデン以外は部屋に入れないくらい自分の領域に入るのを毛嫌いしていると他の悪魔達も言っていたんだ。自分で戻るのも稀なんだぜ?」
「そうか……」
「まあ女にも色々、悪魔も色々いるもんだ!まあ飲め飲め!」
酒を飲みまくり、マテラは忘れることにした。
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玉座の前に浮かぶ巨大なクリスタル
そこにマテラの姿が映っていた
「絶対に私のモノにするわ……勇者ぼっちゃま……ふふふ」
アルディーアスは部屋で独り、不気味に笑っていた。




