俺と俺
ジレスの夢を見ていた際に俺を襲った謎の激痛とフラッシュバック。フラッシュバックは本当に一瞬で全く覚えていない。「何かが見えた」それしか言えない。あれは何だろうか?そしてジレスの寝言も気になってしまう。実験に集中できない。というか何をしようか等と些細なことすら出てこないのだ。酔っ払ったようなフワフワした感覚でありエナジードリンクを飲みすぎた不眠症のような感覚だ。とても気分が悪い、吐き気や目眩等ではなく頭が何も出ないはずなのにグルグルと空回りを繰り返す。高い所から落ちそうになる時の恐怖や鳥肌が頻繁に来る。俺は何かに落ちてる。そんな錯覚を常に起こしている。死ぬより怖い何かに襲われそうでならないのだった。
「どうして、腕の震えが…いや、全身の震えが止まらない!?」
ジレスと少女を起こさないように小声でラマンは呟いた。
しばらくしてラマンは眼を閉じた。何かを感じ取ったからだ。
「何かが来ている…」
(アノオカタノカクセイ…ソレガオマエノハイボク)
「聞こえる…」
(オマエハソンザイシテハイケナイ)
「俺に言っているのか?」
(ワレガホントウノラマンデアル)
「この身体の持ち主か?」
(オマエハタダノゲンソウダ)
「俺は転生者だ幻想は世界の方だろ」
(コッケイコッケイ…ダガオマエハマケル)
「寒気がする……」
(アノオカタノカクセイ)
「あの御方?って誰だよ」
(アノニンゲンニハイッタコトデウマレタオマエナラ)
「ん…なんって?」
(マアイイ……オマエハマケル)
心に直接、何かが喋っていた。たぶん同じ肉体にいるのだろう。だが嫌な予感がしていたのは、この存在ではないと感じた。無理やりだが話から考察をする。
「俺に何かしらの邪魔をしていた大いなる意志……」
邪魔していた意志は、ここにいない。直感で分かる。そして俺は知っていたのかもしれない。その大いなる意志の発信者が覚醒した。その結果、身体の持ち主の声を正確に聞き取れてしまう状況になっているのだろう。負けるというのは俺が持ち主に?それとも大いなる意志によるもの?負けが確定しているなら、俺はどうしたらいい?いや、そもそも俺は何だろうか?思い出せ、転生前の記憶……
(アノニンゲンニハイッタ)
「っ?!」
ラマンは思い返して気づく、人間だった頃の記憶があやふやなことに、そして自分の記憶でない感じがしたのだ。
「俺は、人間じゃなかったのか!?」
(オマエハヤミ)
「じゃあアンタは?」
(オレモオナジ)
「だが確かに転生したはず……」
(ソレハチガウ)
「オレタチハ…アノニンゲンニハイッタ」
(?!)
「ソウ…ソシテ、オマエハアノニンゲンノシネンタイ」
(あれ、動けない…!?)
「イッタダロ……オマエハマケル」
ラマンは気づけば視覚が完全に消えた。何も見えない暗闇へ突然投げ出されたような、そして謎の落下を繰り返す。
「俺が本当のラマンだ。ただの投影から生まれた思念体など消え去れ……ふふふ」
それは世界から追い出されるような感覚。それは因子の一つとなり飛ばされる感覚。何もできないまま全てが流れるような感覚。そして永遠の落下を続ける。
(オレハ…ナン…ダ……)
何も聞こえなくなった。何も感じなくなった。自分だけが何もない空間へと弾き出された。そこにあるのは永遠の虚無感と永遠の時間……
(……………マケ……タ……ノカ…)
そのはずだった。
そんな空間に何もない、それが普通だった。そこにいられる存在など存在ではないことになるから。だが、闇の思念体は確かに何かを感じたのだ。
(………ナン……ダ…ダレカイルノカ?)
あるはずのない手を繋ぎ引っ張られるような不思議な感覚だった。あるはずのない眼を開けてみた。すると…
「おかえり」
(……………?!)
あるはずのない口を開き言葉を発してみる。
「た、ただいま」
「良い返事だZE☆さあ行くぞ!」
「あ、アナタは…?」
「俺は俺だ」
「じゃあ俺はラマンではなく何だったのですか?」
「お前も俺だ。そして俺も俺だ」
「…………………ハッハッハッ!」
「「俺だった!」」
―――――――――――――――――――――
そこには見覚えのある電化製品や少ない家具というか衣類を入れるだけのケースが一つだけ、とても暮らすには貧しいと感じさせ個性も全くない静かな部屋だった。テレビのコンセントプラグは外されコードが画面に巻き付けられている。10cmほど長さが足りないカーテンから外の光が射し込む。朝だと気づいた俺は電波時計の時刻を確認する。
「9:45」
日付は仕事が休みで安心と不満を同時に抱きながら立ち上がる。静かな休日を過ごそうか?それとも誰か誘ってカラオケとか?そんなどうでもいいことを考えながらラフな私服に着替えた。
「アイツと最近会ってないな…」
俺はアイツと会おうと思った。アイツの住んでるアパートが地震で崩れたとアイツの母からメッセージが来たのは驚いたが、知らぬ間に復活していた。そういえば……
「あれから変わったんだったな……」
今日の外もどのご家庭も騒がしい。俺がいつも通りの生活をしていたときだ。俺はニュースや新聞は一切見ない。そして職場も若手が少ない。世間の状況を全く知らなかった。だが騒がし過ぎて流石の俺も知ることになった。
「皆さん!これが最新技術を駆使して創造された想像する新たなゲーム…」
「………………」
知らぬ間に技術進歩がイカれていた。詳細は、にわかの俺には説明するのが難しいほど進歩していた。少し前までバーチャルで騒がれてたはずなのに突然そんなゲームの世界に飛び込むような新感覚ゲームや液晶貫通エフェクトやキャラクターの実体を生み出す謎の装置など世に放たれた。
「はぁ……」
それも全部アイツのせいだから……
「モッフモッフ最高♪」
何やらフワフワした獣のような耳と尻尾のある女にベタベタ引っ付く中年おっさんが見えた。
「っ?!」
俺は反射的に目を反らして殺意や破壊衝動を抑えることに必死となった。妬みやらそういった心理状態ではなく、シンプルに嫌だった。
「まあいいや今日は何をしようか考えながらアイツのところに行くとするか!」
空飛ぶ謎の機械や動物やら人型の何かと共に飛行してる連中など無視しながら俺は電車の切符を購入して階段へと進む。
「えーっと、何番乗り場だっけ?あ、あれだ!」
アイツの家まで結構な距離があるため電車を使う。約1時間ほどだろうか?それくらいの乗車時間だった。変わり果てた人類と景色を眺めながら俺は瞑想していた。
「アイツいるかな?まあ、いなかったら三毛猫でも見つけて眺めるとしよう」
彼の家の周囲に謎の猫が住み着いていた。三毛猫なのかも覚えていない、正直興味はない。だが暇な時間をそんな猫を見るだけで使うことにした。
ピンポーン
インターホンを鳴らす。だが反応がなかった。というわけで猫を探す……
わけでもなく俺は駐車場で座り黄昏る。
「…………………」
「ミャ~」
猫の鳴き声が聞こえた。たぶんあの猫だろう。と思っていたが何だが俺の知っている声じゃなかった。なんというか…
「声の感じが人間に近いような……」
「ニャニャ?久しいな御主」
「……………………」
俺はその声のする方を見てその声の主の姿に凍りついた。人っぽい猫がそこで喋っていたからだ。それとも猫っぽい人と言うべきなのだろうか?違和感しかなかった。
「アイツまだかな……」
「ご主人様ならドライブだニャン」
「あぁ……うん……」
その後、俺と猫は何も喋らないまま彼の帰りを待ち続けた。
後書き:変換ミスを修正、ダチをそのまま描写し過ぎて気づけば削除された。とにかく笑うしかないwぬーん、あれをやり直しか…今度はネタ挟みを一切やらないで…oh…痛ましいバトルになるな(白目)
追記:今さら誤字に気づく




