方向音痴自覚しても地図は持たない!
親子共に串刺し状態となり倒れる。
ジレスは膝から崩れ涙を流す。その涙は喜びからだった。
少女の笑顔が美しいのだ。とても幸せそうな笑顔であった。
ラマンが剣を引き抜き血溜まりができる。
「もういいだろ?そろそろ起きたらどうだ」
「ふふふ…悪魔になった気分だね♪」
「猿芝居にも程があるぞ全く」
全て演技だった。だが剣で貫いたのは本当である。
少女の肉体はリリスを喰らうことで人ではなくなっていた。少女の想いを受け入れラマンも少し芝居に付き合うことになった。そんなこと知るはずもないジレスだけ慌てる。
「あ、あれ?えーっと…お父さんが娘さんと再開してサンドイッチして串揚げパーティーでワイワイして~」
「ん?腹でも減ったか」
「えっとラマン様、何がどうなっているんですか?」
「ゲソでパーティーして凧上げ失敗したら親子丼を串揚げで頂いたんだろ?」
「お腹空きましたね」
「リリスはもう残ってないからな…何か探そう」
液状の何かが落ちる音がした。何故だろうか?その音は騎士の方からするのだった。
「おい飼い主ならしっかり面倒見ておけよ」
「申し訳ありません。私の下僕は結構自立型なのです」
「なるほど、つまりアレは敵になることもあるんだな?」
「そうですね~脳ミソ小さいですからね」
「何故、あんな出来損ないに仕上げた?」
「ラマン様、アレは立派な珍味ですよ」
「そうかそうか、酒は何処だ?」
「代わりに私の体液で作りましょう!」
「血液か、でもお前不味いだろ…」
「いえ、血液ではなくて」
「はい、黙ろうか良い子が見てますよ」
「良い子がお父さんと串揚げパーティーなんてしません!」
「そろそろ止めないか…」
「ですね…」
くだらない会話をラマンとジレスがする間に少女は既に騎士の首から生えたゲソを採っていた。そして噛む…
「んっ…もぐもぐ」
「ジレス、何も言うなよ?」
「はい…」
そこからは国中に拡散していったジレスの下僕と化した人々から触手を切り取る作業となった。何百人の犠牲者がいたのだろうか大小様々なゲソと首のない遺体が散乱した。少女は食べながら、ジレスは糸で何体か操りながら、ラマンは最初の一口を味わってから「不味い」と首斬り作業となった。
全てを処理した後もゲソ調理等もラマンの仕事となった。本人からしたら不味いゲソを何とか美味しく自分で食べたい一心でもあるが全て少女とジレスに美味しく食べてもらった。相変わらず自分の舌に合う食料に中々、出会えないラマンだった。ジレスにリリスの種族を問うが「正確な種族は不明だが天使の性質を持つのは確か」と返ってきた。同族を喰らうことが目的で美味しくなるのならば魔物全てが美味しいはずなのに、そうではなかった。リリスが特別な可能性も否定できなかった。
「よく食べるな、お前の胃袋は何人分なのだ?」
「8人分は余裕で入りますよ!」
「やはりか…」
ジレスの食欲は異常だったが原因なんて直ぐに解るので気にしないことにした。むしろラマンからしたら残飯処理で助かる。騎士との戦いを見たあたりから確信したからだ。全て繋がり警戒をする必要がないと判断できるようになってきたのだ。敵ではあるが、倒す理由もない。あくまでも倒す必要性が今ではないと思うからだ。
そしてラマンは思い出した。
「そういえば俺を呼んだのは何だったのだろうか…」
来たのはいいがゲソと遺体が散乱しただけのこの国で本当に俺を待っていたのは誰なのか?とラマンはゲソを焼きながら考え込む。
そして…
「まあいいや…」
いつも通り虚無感に戻る。
そんなラマンに届かないが囁くものがいた
「龍………」
「光よ……」
とてもとても長い時間の先になるが
そのものは復活を待ち望んでいる
「「闇よ……」」
対の化身は互いに引き寄せられる
「お前は何処向かってるんや…」
「すまん、よくわかんないけど…こっちだと思うんや」
「おかえり、どうした?」
「あれ?こっちなのか…」
「おーい」
「すまん、よくわかんないけど…こっちだと思うんや」
「お、おう…」




