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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
復之章
47/112

初代魔王パズーラ

リリィの右手から炎が、左手から光が…

それは長い棒のように形をとり、まるで槍のようになる

翼が羽ばたき無数の魔法陣が背後に出現し炎の槍と光の槍が生み出される。

ラマンは全く構えていない、今の彼は何も考えていないが戦意喪失しているわけではない。

無数の槍が放たれる。その槍は全て一直線にラマンを狙う。だがラマンは動かない、そのまま槍はラマンの身体に刺さる。


「どうした?死ぬ覚悟ができたか息子よ……闇のものと言っておこう。貴様は闇で産まれたのだからな…だが闇がここまで強いとは私も驚いた。感情のない意志の貴様に人間の魂を呼び出したのが間違いだった。そんなことをしなければリリスを失うことなどなかった!私の楽園を壊されるわけにはいかない!死ね!」


ラマンに刺さった全ての槍がリリィに憑依した初代魔王の指の音と同時に爆発する。それは青い光を放ち周囲を吹き飛ばす。

湖の水は全て飛沫を上げ、ある程度の近さの樹木は灰となる。近くない樹木も燃え上がり周囲は火の海と言える。


「バ…馬鹿な!?私の肉体であれば死んでいるはずだ。なのに何故だ!何故、貴様は立っていられる!?」

「…………………。」


あの爆発をまともに受けたにも関わらず、身体の持ち主すら驚くほどの無傷だった。間違いなく槍は刺さっていたが、その傷すら見えないのだ。


「ならば、我が真名を解放した天の力を受けるがいい!」


その力は天使の力、元々は天使であったが罪を犯し天界を追放された堕天使と言っておこう。彼は、出来損ないを消し去る神々を嫌いになり新たな楽園を作ろうとした。それが魔界である。どんなに醜いものも自由なもう一つの楽園である。それが彼の理想郷、正義である。


「我が真名パズーラ…リリィの中に眠る天の力を解き放つ!」


リリィの種族は度重なる奇形児の連鎖によりサキュバスとなっていたが、パズーラの意志と遠い時間と異世界の先にいる彼の意志により天使となる。

そんな状況もラマンは全く構えることなく眺めている。

まるで何か待っているように眺めている。


「危険な闇だ。まさかリリィから…」

「魔王様!?これは、どういう状況ですか!?」

「うわぁ…火の海になってる」


このタイミングでアラクネとモーガンが戻ってきた。

そしてパズーラの様子が急変したのだった。


「あ…あれは、うぅ?!リリィ、落ち着くのだ…」

「あれは、天使?」

「魔王様、何があったのですか?あの女は誰です?」

「……………………。」


パズーラは誰かと話しているようだった。焦りと不安が同時に来ている。とても苦しそうに胸に手を当て落ち着こうとしていた。視線はチラチラとアラクネに向いている。

その目から涙が出ていた。


「ママ!ママ!なんで…どうして!?」

「落ち着こうリリィ…!これは一旦、退かねば…」


そして翼を広げ飛び去る。アラクネとモーガンは不思議そうに見送り、ラマンは未だに棒立ちだった。

そんなラマンをアラクネが揺さぶる。


「魔王様?魔王様~?あの女に何かされたのですか~?」

「湖が消えちゃってる。魔王に天使が挑んできたのかしら?」


動かないラマンを見て、モーガンは少し嬉しそうでもあった。



――――――――――――――――――――――


パズーラはリリィの身体で魔界に戻った。魔王の玉座にて皆を集める。


「リリィ戻ったんだね、パズーラ様とリリスは見つかったのかい?」


黒い天使のような翼を持った男が問う。


「ママ……嫌だよぉ…ひっく…」

「すまないマード、私だ。色々あってリリィの身体にいる。皆を集めてくれ、状況は深刻だ!私は、とんでもないヤツを産み出してしまった…」

「その声はパズーラ様!?す、直ぐに集めましょう!」


マードが玉座を離れてからパズーラは小さく呟く


「あれが本当の闇なのか……」


ラマンの存在が魔界に広まることとなる。

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