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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
復之章
45/112

フェイの授業その四:水属性

湖に戻るとアラクネは起きていた。


「おはようございます魔王様、夜中に散歩でしたか?」

「ちょっと実験していたのだ。おかげで剣が鞘に収まらない」


仕方なく俺は、手にもって歩いていた。その剣の変化にアラクネは興味津々だった。


アラクネは黒い剣をじっと見つめる。

そんなアラクネを俺は、じっと見つめる。


「触ってみるか?」

「是非…」


黒い剣を手にしたアラクネは少し驚いていた。思ったより重かったようだ。そして何故か付いた剣の装飾を撫でる。


「この剣にも糸がある…」

「そうか、生きているんだな…」

「持ち主を殺された憎しみ、家族や友人を殺された憎しみ、そんな大切な人達を殺した魔王様の所有物になっている悲しみ…」

「…………………。」


俺は何も感じることがなかった。それでも、この剣を使っていくことになるのだろうか?戦利品として何も考えないで持ってきた剣を俺は使っていても良いのだろうか?


「その剣、アラクネが使うといい…」

「よろしいのでしょうか?」

「鞘に収まらないんじゃ不便でな」

「感謝…」


いつまでも寝ているモーガンを叩き起こして授業を再開する。

モーガンの寝起きの第一声は


「夢じゃなかった……はぁ…」


少し腹が立ったので軽く腹を殴ってやった。

寝起きだというのにモーガンは胃液を吐いた。


「いつまでも寝ぼけていないで授業を始めろ…」

「はい、すみません…」


今日も授業が始まる。静かな湖でフェイと魔王と蜘蛛女が魔法について話し合っているのだ。今さらだが何だか変だ。昨日の口論で控えめになっているモーガンに少しイライラしてもいた。


「で…では、今日は魔法の難易度を順番に覚えていきたいと思います…はい…」

「もっとハッキリ喋ってくれないか?最初に会った時の威勢は何処に行った?」

「は、はい!難易度を順番に覚えていきたいと思います!」


魔法には、その属性のイメージに加えて法則を定める魔術難度というものが存在するらしい。属性付与もその一種なんだとか…

だが…


「それは、少し検証しているな…」

「ですよね…」


俺が先走って経験している。そして属性の混合なども先にやってしまった。というより…


「属性の説明がまだ終わっていないが、やらないのか?」

「だ…だって魔王様の方が詳しいじゃないですか…」

「何を言う…俺は知らないことばかりなのだ。お前が詳しいだろう?それが正しいのか、そうでないのか、その違いだろう?」

「恥ずかしいです…」

「恥ずかしがる必要などない、俺が求めるのは知識だ。答えなど自分で探すつもりでいる。さっさと教えろ…」

「はい…」


再び属性についての説明に戻った。

というより俺の質問攻めが始まった。


「水属性の説明に移りますね」

「H2Oは何処から生み出したり操作するのだ?」

「H2Oって何ですか?」

「水だが…」

「魔力を源に変換したり、操作してます」

「変換ってH2Oに変換した場合に限り水属性になるな…他の元素だと違うのか?」

「げ…元素?」

「あぁ、エレメントだ…つまりこのエレメントへ変換した際の種類が第一属性の大半となるだろ?魔力を源に変換できるのならそうなるが変換だけだと火も雷も理解に苦しむな…昨日、俺が言ったように何かしらの循環器のようなものが無ければ世界の魔力を使いきった時にエレメントのみになるぞ?エレメントを魔力に変換するものがいるのか?」

「エレメントですか…主に大自然から採り入れることが多いですね」

「つまり環境破壊ってことで良いかな?それを神が許すんだな?神を呼べ!文句言ってやる!」

「えぇっ!?」


俺は納得できない、そんなファンタジーな解釈をされても俺は納得できない、何故だ!何故、神はこんなふざけた世界を作ったのだ?循環器は何処だ!大自然が何とかしますとか意味不明だ馬鹿野郎!やはり魔法とは、本来の意味を元にするはずが夢物語から生まれた善人、いや脳ミソお花畑のアホが考えた幻想!そんなものあってたまるか!子供騙しにも程がある恥を知れ恥を!


俺は次々と出てくる怒りを心の中で叫びながら抑えようと努力した。その怒りに影響されたのか俺の身体は禍々しい邪悪なオーラを放出していた。周囲にそれが見えなくても恐怖で伝わる。モーガンは、恐怖に耐えきれずチビった。

アラクネは、慣れているのか知らないが、あくびをしていた。


「そういえばアラクネ、お前も何か意見は無いか?」

「ふあぁ…?モテるには、どうしたらいいですかぁ…?」

「おい、今は魔法の授業だ!」

「催眠術や洗脳の魔法を試してみますか?」

「そんなのあるの!?やってみたい!」

「ちょちょ…」


アラクネは気になる蜘蛛の所までモーガンを案内しに行った。俺は完全に無視された。それを止めることが出来なかった…


「この感じ前世と変わらないな…」


魔王のはずなのに何かしらのスイッチが入ると何も出来なくなってしまう。これも全て彼の意志なのだろう…

俺は、そう思うことにした。そうでなければ狂ってしまいそうだから…

待つだけなのだろう…何も起きないのをずっと見ているのも慣れているが、そうでない場合で待たされるのが苦痛でしかない。俺にとって凄くどうでもいいことになるほど苦痛となり狂ってしまう。それに耐えようと固まっている俺を周囲は不思議に思っていたであろう。何度も目の前で手を振られたな…


それも含め、耐えようと固まっていた。今の俺は、それに近いだろう。



――――――――――――――――



あれから何時間経ったのだろうか?女は何故あんなにクソつまらない話題で盛り上がるのだ?解せぬ爆発しろ…


俺は湖を眺めていた。水面に写る自分の姿に驚く、今さら驚く。


「黒い皮膚に覆われているのか…何だこれ?角まであるのか…」


初代魔王の強さを感じさせるその姿に少し喜びを感じる。

自分がその肉体を手に入れた事実が写り自覚する。


「身体、洗っておこうかな…」


湖に飛び込みボーっとする。空を眺めていた。


「………………………。」


いつまでそうしていただろうか?


「平和だ…………」


とても興味深いこと謎多き世界だが、正直つまらない…


「………………………。」


寝ることができなくても、せめて目を閉じて時間を忘れようとしていた。


「……………ぃ……!!」


何か聞こえた。その光を遮断した俺だけの世界に何か聞こえた。現実なのか幻なのか妄想なのか…


「………じぃ……!!」


段々、その声は近づいているような…

そんな気がした。


「じぃじ!!!」

「うるせぇええええっ!!」


俺は閉じていた目を開け声のする方へ勢い良く怒鳴った。

そこには誰かいた。知らない誰かがいた。

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