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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
復之章
43/112

フェイの授業その三:火属性

真夜中の湖で俺は、黒い剣に属性付与の練習をしていた。

いや、検証をしていた。モーガンの授業を受けていて納得のいかない部分が多いからだ。


「剣に火属性付与、熱量が上がり溶けるはずだが…」

「そんな簡単にころころと属性付与しちゃうなんて…」


モーガンは俺の検証を眺めていた。どうやら一度付与すると別の属性を付与して上書きするのは難しいらしい。だが俺には頭の中で流し込むイメージをするだけで切り替えが可能だった。それよりも剣に属性付与をした変化に納得できなかった。


「剣に水…意味不明だ。そして風、なんでこうなる…」


そして俺は、閃いた。属性を合わせてみたら、どうなるのだろうか?と気になって早速イメージした。


火と水なら熱湯か?それとも水蒸気?など色々妄想連鎖する。そして火が熱の変動を操作できるのではないかと考え逆に熱を抜き取ったイメージをする。すると…


「やはりか…」

「こ、凍った!?」


そして今度は熱を大量に送るイメージをする。

俺が生み出した氷の塊は、砕け散り水蒸気となった。


「きゃっ!」

「やはり火属性の概念が間違っているぞモーガン、他の属性と合わせて初めて爆発を生むのだ。水は魔力で生み出したと考えてしまうだろう…だが、この属性を世界中の魔法使いが使うと世界に存在する水の割合が爆発的に増えて洪水となる。問題点が多すぎるぞ属性に…」

「そうですね…気を付けます…」


何処かで、このバランスが保たれているはずだ。そう考えなければ大変なことになる。これじゃ誰が使っても悪だ。環境破壊も良いところだ。魔力も何処かで循環しなければ成り立たないバランスと言える。だが俺の魔力は枯れないのだ。謎だらけだ解せぬ。


「魔力の循環は人間も可能か?」

「魔力を含む水や食べ物を摂取したり眠ると補える…」

「魔力は見えるものなのか?」

「素質によるけど強大な魔力は共通で見える…」

「見えるものなのか、ならば俺の魔力はどう見える?」

「何も見えない…」

「強大な魔力は見えるんじゃなかったのか?」

「何故か見えない…」

「……………………。」


アラクネもそうだったが、俺の内に秘めたる何かは他人に見えていない。これが魔王なのか、それとも転生によるものなのか今は判明できそうにない。俺を転生者と当てたモーガンの姉は、もういないのだから…


「謎が深まるばかりだな…」


睡眠の不要な俺は眠るアラクネとモーガンを置いて湖を出た。


何か探しておきたい。夜は長いのだから、ただ待つだけでは時間が勿体ない。少しでも何か行動しなければ…

そう思い俺は街に戻った。ちゃんと俺が言ったようにアラクネは何人か残している。コイツらを使うとしよう。

だが、残っている人間が全て女なのが不思議だった。

もしかして店主らしき女の魂でも混じっているのでは?とも考えてしまったが今は置いておこう実験が先だ。


「全部で6人か、結構食べちゃったなアラクネのやつ」


糸に貼り付けられた女達は恐怖で声が出ていなかった。

いつ自分の番になるのか判らない恐怖は、さぞ怖いだろうな…同情するつもりなんてない、ただの材料なんだから。

しかし本当に店主らしき女の魂が混じってそうだ。皆、衣服を全て剥がされている。何だこれ?こだわりなのか?


「どーれーにーしーよーうーかーなー?」


一文字毎に俺の指差しが切り替わり、その度に女達は


「ひっ!?」


とリアクションをしてくれる。何だか楽しくなった。

そして俺の指先は一番左の女で止まる。


「お前だ。実験に付き合ってもらおう…」


糸から女を引き剥がす。つもりだった…

取れない。そういえばアラクネの糸は俺も取れない。


「あ、そうだ魔法なら取れそうだ!」


俺は黒い剣を抜刀し属性を付与する。まさか、ここで実際に応用することになるとは思っていなかった。


暑苦しい妄想を無理にして剣へ流し込む。実験をしたい熱意をそのまま剣へと流し込む。


俺は、うっかりしていた。些細な妄想で火の鳥が爆炎となり放たれる使い勝手の悪さを忘れていた。

俺の実験をしたい熱意が強すぎてしまった。


「やはり適していなかったか…」


黒い剣は大破した。溶けるのではなく蒸発した。

その熱に目の前の女は焼ける…

せっかくの材料が焼けてしまった。


「あああああああああああぁぁああああっ!!!」


焼ける女の断末魔、うむ心地好い…

あと5人は残っているんだ。この失敗を次に活かそう。

そう思っていた。女の様子が変だった。

燃えているはずなのに、焼けているはずなのに、動いている!?どういうことだろうか…


ふらふらと燃えている女は立ち上がる。


「お前、本当に人間なのか…?」


歩く炎が迫ってきたのだった。

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