あなたが落としたのは、この…
ザブーンッ!
豪快に放り投げられた箇所から波紋が広がる。
妖精のいる湖に申し訳ないが俺は魔王だ許せ…
せめてこの汚い俺の女を浄めてくれ…
俺、魔王なのに浄めてとか言っちゃった…
だが、何故か湖が光る。
放り投げた箇所から光の柱が出来上がる。
「え?いや浄めてくれとは願ったがレベルが違う…」
光の柱から誰かが出てくるのが見える。
めっちゃ眩しい女神様や…
その左右の手には、何故か金の斧と銀の斧がある。
もしや…
「あなたが落としたのは、この…」
「いいえ違います。人違いです。」
「えっ!?」
即答されて慌てる女神様…
「で…では、この…」
そこには、間違いなく俺が放り投げた女がいた。
だが…
「いえ、関係ありません。俺は、失礼します。」
「えぇっ!?ちょっと…」
「ご主人様~待ってくださーい」
は?誰がご主人様だ…俺は、そんな趣味ないぞ。なんだこの茶番…
「俺は洞窟に帰るから」
生け贄の女と女神様は口を開いてポカーンとしていた。
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洞窟に着いた。何だか落ち着く…
この狭さと暗さ、心地いいな…
くだらん茶番を見せられてしまったものだ。しかも女神様といきなり遭遇とは…
しかも魔王に対して親切に定番ネタをぶっ込んでくる。
いや、あれが女神だと確定したわけじゃないが…
違う浄め方をされてしまった生け贄の女とは、正直もう会いたくない。なんだあの豹変っぷり…気持ち悪い。女神様、何をしたんだ?知りたくはない。疑問に思うが答えは聞いちゃいけない気がした。
周囲も暗くなった。夜である。
女神様とも会話がまともに出来なかったな…
そんなこと思いながら眠りにつく。
「平和だ…」
光が見える。目を閉じていても眩しいほどに俺を照らす。
目を開けて夢じゃないかとキョロキョロしようと思ったが、目の前の光景に驚いた。やっぱり変だ。もう一度寝た方が良さそう…
「ちょっと!起きてください!あのー?」
女神様が目の前にいた。隣に生け贄の女まで…
無視した。俺は再び眠る。
「ん………」
霞んだ視界から、また女神様が見えた。アレ?可笑しいな、俺は寝ているのにこの角度だと…
「お目覚めですか?」
膝枕…、いやそういうのいらないから消えてくれ…
暑苦しい、なるほど…生け贄の女は俺の上か…って!
「おい、離れろ!」
「わわぁ!?」
「きゃっ!?」
二人を突き飛ばす。鳥肌レベルのストーカーを受けてる気分だ。聖なる湖じゃなく性なる湖にでも行ってたのか?と苦笑いする。そりゃ放り投げたら、あんなに変わるな!でも俺も浸かっていたが問題ないな…魔王だからか?
「あの、自己紹介が遅れました。女神です♪」
「うん、知ってる…いいから帰ってくれ」
「そ、そんなことをおっしゃらずにお茶でも…」
「何処に茶がある?てか、いらないから帰れ…ついでにその女も一緒に連れて帰れ」
(ヤバい腹立ってきた~!女神だけど殺っていい?いいのかな?)
二人は落ち込んだ表情で、わざわざ口で
「ショボン…」
など言う。ああうん…無視だ無視!
俺は再び眠る…二人が消えるまで
だが無理でした。起床と就寝を繰り返す毎に俺の寝る姿勢が勝手に変わるのが続いただけだった。
「お目覚めですか?」
もう嫌だこの世界…




