最初の探索
荒々しい運転を続けるスケルトンとスライム。
スケルトンがハンドルを左右に回すために全く前に進まない。全く同じ場所を八の字に進んでいる。
「邪神様…見つからない…」
見つかるはずもない、見つかるとしたらアチラ側から来ない限り接触することなどない。
「どうしたらいいんだろうね~同じ景色しか見えないね~?でも面白いね~♪」
「そうだね…」
ゴトンッ…
何かが落ちる音
その音と同時に船の動きが止まる
あれから何日経過したのだろう…
「ガソリン無くなった…」
「ガソリン?この乗り物のエネルギーか何かなのかい?」
スライムは頷く。知っている情報、知っていた情報、作った情報だからだ。
「そっか~面白かったのに残念だねぇ…」
「別の方法を探そう…何か唱えてみたり…」
スライムの提案にスケルトンが笑う。
「おお!それも良いねぇ…ファンシーだねぇ…」
「ファンシー…?」
またしても創造と認識が異なるためスライムは首を傾げる。
「呪文…一個だけ思い出した…」
「ファンシーだねぇ…試してみよう!」
記憶の片隅に浮かび上がった謎の言葉、それが何を意味するのか不明だが、その言葉に対して「呪文」と言われた記憶も出てきた。試す他にない…
「古の魔王万歳…絶対なる闇よ万歳…」
「イヤイヤ何てファンシーなんだ♪」
カチャ…
そんな音がした
――――――――――――――――――――――――
人間は理解し難い者や行為といった場合に恐怖を抱く。それは逆に興味にも繋がる。だからこそ見えない闇に人間は魅了され続ける。何故なら自身の光を届ける闇…光を求め吸い寄せる闇…だからこそ追い求め続ける。故に哀れなり…
「んっ………………」
あれから一夜が過ぎた。寝ぼけた脳を叩き起こすために洗面所へ歩こうと立ち上がる。
カチャ…
何かが首に当たる。それが何か判明した時には、寝ぼけた脳も綺麗に目覚めた。
「主人をどうした?魂がまるで違う…貴方が主人だと言ったとしても、この魂は危険だ。絶対に認めない…」
「何の話だ…」
夢じゃなかった。俺は、あのあと夢オチを期待して寝ていた。もしかしたらアイツのところまで行けるかもしれない…そんな気もしていたが全く違った。起きれば尋問を受けている。そう…今の俺は拘束されている。
「とぼけるな…!その主人と瓜二つのボディに全く異なる魂を見れば全てお見通しだ!答えろ!」
尋問と言ったが違った。拷問だ。
黒い剣が俺の胸の中心に刺さる…
それを引き抜こうとしたのだろう。相手は、焦っていた。
「くぅ…やはり主人のボディ…」
剣が抜けなかった。俺が痛みに構えたら…ハマったと言うのだろうか?抜けなかった。
鋭い金属音が響く
「そういえば魔王になったんだ…」
拘束していた器具が砕ける
「夢…そう思っておく」
刺さった剣を引き抜く
「だから…」
前世のゲームを思い出す
「死ぬがよい」
……………………
思っていた以上に簡単に相手は死んでしまった。本当に夢なんじゃ?そう思うほどに手応えがなかった。どうして?何故こんな状況?その全てを夢だからなんだと結論付ける。
「面白くない…それに、女か」
俺は遺体を眺めて何か持っていないか触り始めた。
だが何も持っていない…
不自然でしかない…
「魔王を拷問するのに剣一本だけだと…」
そんなはずがない、身体の中に隠しているんじゃないのか?そう思い衣服を脱がすのは、面倒くさいので衣服ごと切り裂いた。
「美人では、あるな…俺からしたらだけど…」
言うのが少し遅くないか?一人で、つぶやき一人でツッコむ。
「この身体の持ち主を主人と言っていたな…初代魔王なんだっけ?どうでもいいや、RPGゲーム買わないもん…」
買わない、本当に買うのは稀だった。買ったとしても、やり込まなかった。そして魔王とかそういうの全然知らない…もちろんモンスターとかもだ。まず、そういったエネミーが出る作品じゃなかった。
「種族が判別できない…肉片と赤い血液しか出ない…」
この女が何なのか全く判別できない。鎧を着ていない、剣だけ、女…
………………
すまない相棒、俺は勉強不足のようだ。盲点が多いのかもしれないが、どうだっていいさ。
「死人に口なし」
使い方あってるだろうか?調べる術がない、剣しか持ってないから…
………………………
「変だ…この女だけなのか?この女は人間じゃないだろうな…魔王が主人だと、ならば悪魔でいいのか?」
いや、そうじゃない…これが夢じゃないのが問題なんだ。
そして誰も来ないのだ。不思議でしかない。この世界は何だ?見落としがないか遺体を再度調べることにした。
決して暇だからというわけではない…
「ん?今の状況で暇って言葉が思い浮かぶことが変だろうか…」
ぱっくりと切り裂いた腹部に腕を入れて探る。
「何もないな、温かい…血の匂い…ハッ!?何をしているんだ俺は…」
(そんなことしている場合じゃない、それより自分の身体を調べるべきだろう!)心で叫んだ。
だが、興味ない…
チラチラと遺体の方に目が行ってしまう。今更
「俺が…やったのか…」
などと、つぶやいてしまう。
そして再び遺体に触れる…
決して暇だからというわけではない
決して…
――――――――――――――――――――――
スライムの呪文も効果はなかった…
「ん~使う場所が合ってないのかもしれないねぇ~」
止まった船の上でスライムとスケルトンは、ただボーッと何かを待っていた。時間が掛かるのかもしれない…
そう思ったからだ。
「何も起きないね…」
「ファンシーだねぇ…」
夜の海を眺めてスケルトンは笑う。




