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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
回之章
2/112

魔王も一緒に転生!?

「起きろ… 起きろ…女」


声が聞こえる。心に直接…


「起きろ… 女!」


その声の主は怒っているようだ。


「起きろ!」


そうか、私は目を閉じているんだ。ゆっくり目を開く。


「誰…だ…誰もいないのに」


周囲を見渡しても、見えるのは、豊かな自然だけだった。


「我は、貴様の中にいる。もう一つの魂だ…」

「!?」


何を言っているんだ。私は確か魔王に殺られて…それで…


「貴様は転生したのだ。私も貴様と同じく転生することで、この世界に新な生命を…受肉を果たした。」


ふむふむ…何処かで聞いたことのある言葉だな…なんだっけ?思い出せ! いや…ここは聞いたほうが早いな。


「転生って何ですか?」


心の声が聞こえていたら口に出す必要もない。だが聞こえていなかったら、また怒られそうだ。心に直接罵声を浴びると普段以上に恐怖を感じる。うん…頼むから喋らないでほしいな。あ…聞こえてない?聞こえてないよね?


「聞こえているぞ…」


うぅううう…!うぅうううう…ファッ!?((((;゜Д゜)))


「あわわわわわわわ…すみませんでした!」

「先ほどの質問の答えなのだが…」


あ…質問の答え~あぁ…転生について質問したんだった。


「貴様が私をどう思うか勝手だ。貴様の声が聞こえるように私の声も貴様は聞こえるのだからな…」


なるほど…私は今、この声の主にドン引きされている。


「転生…この場合は、正確に言うと異世界転生になるな。別の世界に新な生物として生まれ変わるのだ。その多くは記憶を失うが…稀に記憶どころか力さえも引き継ぐ者までいる」


なるほど… で、私は何者なのか?魂が二つもあるなんて、普通に転生したわけじゃなさそうだけど。


「ちなみに我と貴様、そうだな…私達と言っておこう。私達は、神になっている。喜べ…」


神?神とは支配者だ。その支配が何かで、神の呼ばれかたが決まる。つまり私達?は、何か支配して異世界に生まれたのか…しかし何を支配したんだ?


「ほう…気になるか?ハッハッハッ!教えてやるよ!それは、邪悪な力… 私達は邪神に転生したのだ!災いの神である。これほど素晴らしいものは他にない!」


うわー、なんか嬉しそう…

今度はアンユがドン引きしていた。あぁ~あれだ。この声の主は、前世で悪いことしてたんだきっと。


「アナタの名前は何かしら?」

「我の名か?その前に貴様からだ」


名乗ってほしいなら、まず自分からというやつか…


「私はアンユです。プリーストをしていたわ。」


そう言うと、何だが笑い声が聞こえる…


「フフフ…すまんな、予想通りの役職だったから…」


予想通りか…なんかナメられてる感じがして嫌だな。


「これでも一流の冒険者だったけどね。」


よほど自信があるのだろう…コイツ、しかし身体の主導権は、私にある。


「では…我の前世を教えてやる!魔王だ!名をラマンと言う…」

「ふーん…」


それっぽい態度だし、邪神で喜ぶし、予想通りだった。

いや…待てよ?まさか…


「フフフ…気づいたか?」


その反応やっぱり…!


「あの時の魔王か…!?」


コイツ、私を殺した魔王か!?

屈辱だが主導権は私にあるのだ。落ち着け…


「アナタも転生したってことは、マテラ達は…」


勝ったのだ。それだけで満足だ。


「貴様の光により、かなりの弱体化を受けたからな」


しかし、まさかこんな形で転生するなんて…


「それも過去の話だ。貴様は大人しく身体の主導権を我に譲れ!邪神の力など、元プリーストの貴様には、使いこなせない。」


やはり、私の承諾が無ければ主導権の交代は不可能みたいだ。だが、魔王に身体を譲るような冒険者がいるだろうか?答えはNOだ。


「誰がアナタなんかに…!邪神になったから、今度こそ世界の支配をするつもりでしょう?プリーストだった私が許すとでも?」


そんなこと勢いで言ったが実際不安しかないのだ。それは魔王も同じだろう…異世界転生をしたのだから、何が起こるか判らない。まだ自分の力量も計れない。プレートを渡される前の冒険者と同じ気持ちだった。

素朴な疑問だった。何故、邪神に転生したと魔王は判ったのか?


「今がダメでも、貴様の心が弱くなれば主導権など奪える…我は、ただ待つだけだ。邪神になるとは、どういうことなのか!フフフッ…苦しむこととなるだろうなぁ?」


そうなるかもしれない…

だからと言って魔王の行動を黙って見るのは、プリーストには、凄く辛い…

そして、魔王の声は聞こえなくなった。邪神であること。異世界転生したこと。そして魔王だったことを教えてくれたが、たぶん他にも知っていることがあるはずだ。教えないということは、知らない恐怖を私に与えることで主導権を狙っているのだろう…負けるわけには、いかない!

たとえ邪神になっても、私が出来ることは、たった一つだ…


(回復するしかない)


アンユは歩く…この異世界でも目的は変わらない。ただ、苦しむ人を癒すだけだ。そう決意したアンユだった。

苦しむ人々の声が聞こえる…悲しみの声が聞こえる…

これも邪神のスキルだろうか。声のする方向へ…



「そういえば回復魔法って使えるのかな?」


気になっていた、魔王の言葉に…

転生する者には、能力も引き継ぐ者だっている。

邪神の力は、使いこなせないとも言った。

アンユは、手のひらを天に向けて光を呼び出す。


「なんだ…使えるじゃん。魔王の自信と転生を把握した理由が何となく判った。魂が同じ邪神の肉体に入っているけど、引き継ぐ能力は、それぞれ別に持つのかも…」


でも、逆に都合が良いとも言える。使える…回復魔法!

邪神の力を使いこなせないと言っていたが、先ほどの光を見た限り、プリーストの時より強力だった。つまり使えないのは、邪神の能力である。力そのものを私は、光に変換することが出来る!

アンユは、笑顔で走る。彼女にとっての回復することは、好きを超えて依存とも言えるほどだからだ。

ここに回復依存の邪神が降臨した。

名は邪神アンユ

邪神にして光を操ることが可能。

それと同時に降臨した邪神。

名を邪神ラマン

闇を操る力と邪神の力を自在に操る


らしい…


邪神アンユの回復冒険が始まった。

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