元魔王様の降臨
誰だよ…こんな場所にバイクと自動車放置したのぉ…
ん?このナンバー…
あぁ~!またあの人かよぉ!勘弁してくれよ~
撤去しようにも出来ねぇじゃん…
しょうがねぇ…運ぶぞおめぇら
by ルデンチーム所属・夜間警備員
目が覚めると研究施設のベッドの上だった。
「あれ……夢…?」
あれだけ激しく殴ったはずなのに、そこに傷がなかった。
あれだけ大量の出血をしたのに気分が良い。
「目覚めたか……」
「っ…!?」
信じられなかった。そこには、邪神の姿になったアンユが立っていたのだ。
「アンユ!どうして邪神の姿になっているの!?」
「我は、ラマン……。アンユか?眠っている」
「どうして…その姿なんだ?何があったんだ!あの場所で!?」
「落ち着けウィザードの女……私も少々困惑しているんだ」
ラマンによると最高神を名乗る謎の化け物にアンユの能力とドゥバレン=レイの能力を打ち消されてしまい、そのまま魔法攻撃によりアンユは、仮死状態になったそうだ。能力を打ち消されても魂は残っているため主導権の交代が出来なかった。だがラマンは、近くに自分と共鳴する何かを感知し引っ張ろうとした。最高神の攻撃と同時に受け身をするように身体をその何かに向かって引っ張ることができたため命だけは、助かったんだとか…
ラマンと共鳴していたのは、何と私が見た黒い墓場だった。アレは、ラマンの墓場だった。あの時と同じ現象が起き今度は、ラマンの遺骨と融合。結果、今の状態に至る。
ラマン自身は、てっきり魔王の姿に戻るのかと期待していたそうだ。邪神としての姿、とても美しい女性の姿…ラマンの困惑は、外見のことだろう。
「私にも光が芽生えた…傷を癒したのは、この私だ…ありがたく思え」
「お、おう…」
経歴と言葉使いと外見と声のギャップが激しいため違和感しかない…殺した魔王と初めて会話している。しかも私は、あの時の夢を妄想を覗いている。
もう……
笑いを抑えるのに必死だ……
だが、そんなこと言っている場合じゃない!
最高神が殺しに来たんだ。
目的が何か知らないが………………
「そういえば、お前ら能力の共有ができるんだったな…アンユが眠っている状態じゃ…ある意味、覚醒しているようなものだな。これからお前は、どうするんだ?闇の化身だったが今は、慈悲があるんだろ?」
本当に最強になったのは、今のラマンなのかもしれない…
アンユは全てを回復に変えてしまう。共に冒険したからこそ知っている…回復だけじゃ守れないものもある。というかアンユは、敵味方関係ないから厄介だった。ラマンの場合、どうなるんだ…?かつての魔王じゃなくなった。光を手にした元魔王の考え…
「ん?それを聞いて貴様こそどうするのだ?私は、やりたいようにやる…」
「やっぱ元魔王だな…素直じゃない」
「元を付けるな!先程から貴様の態度にイライラしてきたぞ…邪神なんだぞ?死にたいのか?」
ラマンは、ルデンを睨み付ける。
だがルデンは怯まない。
「そうだな、一度死んで神にでも生まれ変わってみたいね~」
「ふん…!まあいい…それよりも私は、新種の魔王と神を軽くブッ飛ばそうと思うのだ。実は、ドゥバレン=レイも仮死状態なのだ…最高神には、かなり腹が立っている…!」
眉間にシワを寄せた…しかし何処かしら笑顔も感じられる表情でラマンは、部屋を出た。
「じゃあ同行しよう…仲間を傷つけられたのなら神だろうと許せないからな!」
ルデンは、倉庫から杖を取り出した。
かつてアース=マテラと冒険を始めた際に祖父から頂いた最初の杖。
「神に対抗できるのか?人間ごときが…」
「言っとくけど、私は、お前より年輩だからな?」
「ただの老いぼれババァの間違いだろう…?」
「うっさいなー!これでもウィザード最強なんだから!」
「好きにしろ…心配した私が馬鹿だったなぁ~貴様の命など正直どうでもいい…」
「素直じゃない元魔王様だな…」
「だから、止めないか?その元って言うの…」
ラマンは、翼を広げ飛び立ち
それをルデンは、バイクで追った。
「ちょっと!?は…速いよっ!」
しばらくしてラマンが地上に着地する。
遅れてルデンがバイクを停める。
「どうしたんだ?急に降りて…」
「…………。」
「おーい、もしもーし?」
「道が判らん…」
「おい……」
一応、異世界なんだと改めて実感した元魔王様だった。




