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回復依存の邪神様   作者: 災難な鳶
神之章
102/112

立ち上がる英雄候補

神之章に括る為に事前に

魂を異界に監禁されていたが最強の嫁達により救われ戻ることができた。だが戻って早々に【ヤツ】がいた。そう俺は逃げた。【コイツ】から逃げた。はずだった…


「なにやってんだ…」

「あ!ゼル~おかえり!お友達が来てるよー」

[うわーこのパターンなのね…]

「このパターンだな…」


邪神が料理していた。しかも俺の嫁と仲良く料理していた。帰ったら家にダチがいるなんて学生の頃から普通だったが、いや普通じゃねぇけど…


「【にゃんぱすー】」

「お、おう…」


どこでも使える万能挨拶からの再開。それよりも異界の門を先に潜った俺らより到着が早い上に飯まで用意している。先回りされたのか、だが最速でククラなら移動するはず…


「【シュアさんにざっと建物の案内は受けてる。整理しておいたから】」

「おい待て待て待て…!?」

「【どうしたの?あ、先月から代理として社員の整理もしておいたから被験者の予備なら再利用可能なエコロジーだよ】」

「先月…だと…?」

[はいっ!?]


内側でククラすらビビる。ルシ姉は帰還から何一つ喋っていない、まだ邪神の掌で踊らされてるのではないかと作戦を練ってる。過去と似た状況でしかない、シュアと邪神との距離が近すぎる。大人しく要件を聞くしかないのかもしれない…


「【壊れた世界から動いたやつと修復してから動いたやつとの差がこうなっただけだ。構える必要もないさ、ゼノムが植え付けた本来の邪神は死んだでしょ?】」

「じゃあお前は誰だと言う」

「【邪神ラマン・アンユという名に縛られてた元聖女、元人間、元女性、元男性、元魔王、元…】」

「あーはいはい、理解したからもういいよ…」

「【まだ半分なんだけど】」


途中で止められたのが嫌だったのか、それとも理解してほしいからなのか、邪神の影から黒い邪神が生えてきた。


「【そんでもってドゥバレンっていう】」

「ドッペルゲンガーか」

「【あの時から意のままに動く影でしかなくなった。つまり混じったのが2じゃなく3】」

「それで要件は?」

「【欲望が爆発した人間の末路なんて散々見てきたんじゃないかな?それを片っ端から沈めてたら代理から詐欺師になってるようでして】」

「ゼノムよ…」

[ヤベェ…滅茶苦茶だぜ]

「どうした?」


ルシ姉とククラが情報処理を終えたようで世界の状況が一言で滅茶苦茶と来た。この一ヶ月ほどで邪神が何をしたというのか?

本人が詐欺師になったと言うとこから変な話だ。世界改変くらいお手のものなのに何を仕掛けたと言うのか?


「魔法の力を得た英雄候補が恐ろしい数になっている。打倒邪神を目指して世界各地で実力者が増え続けている。邪神の拠点がこの家、各守護者に我々が所属となっている」

「タワーディフェンス系にしたんか…前線に俺らってポテンシャルをよく理解してらっしゃる」

「【開発者の帰りが遅いからユーザーの不満が溜まってきた。ストレス発散なら戦いが早いと思ったんですよね、それでですね、私とシュアさんや他のスタッフさんに協力してもらい被験者を集めて力を与えていきました。大成功ですよ社長!】」

「嫁をスタッフ呼びするな」

「【無い物ねだりな人間に魔法の概念を入れるシンプルなものです。えぇ勿論、第一守護者すら突破できない者ばかりですが英雄候補は無数に被験者の復帰は一瞬。あ、ゼノム社長は裏ボス担当ですので私が負けたら頼みますよ】」

「今のお前が負けるとこ想像できないんだけど」

[負けたふりとかしてそうだが]

(クリアおめでとうございます!と言いながら弾いてそうだよな)

[あーだから詐欺師ね]


一連の流れを理解して早速、挑戦者のお出ましのようだった。もはや家というより塔になっている。整理ってレベルじゃねぇ…


「さあ皆さん、お待たせしました本日の挑戦者です!」


階層別のコロシアムでの乱闘。観客と実況付き、全国生放送でカメラが回っている。雰囲気はスポーツの試合、熱狂的な声援の中で挑戦者の入場が行われた。


「打倒邪神を目指して早くも死神の力を使いこなしたダークサイドな闇の英雄…不知火智秋選手です!」

「俺に狩れない魂はない…」


白のパーカーの上に黒のコートで登場した大鎌を持つ男、見て直ぐに察する厨二病レベルが高い!というか死神の力?


「おいラマン…あれやったのお前だろ…」

「【彼は呪われた右手で何人もの人々をゾンビ化させ死神の鎌で魂を喰らい続けた闇の英雄…その実力はオークゥちゃんを越えたわね、今回がラストバトルなの】」

「えっ?既に守護者全滅?」

「【大丈夫、死んでないから】」


邪神は翼を広げて飛び立った。白く輝く全身と地面に写る黒い影にドゥバレンが登場、会場は邪神の登場に歓喜の叫びを響かせる。男の前に舞い降りた姿、邪神とは思えない美しさと輝きであった。


「やっと…アンタの前に立てた…」

「【………………。】」

「両者睨み合います!さあ戦いのゴングが今、鳴ります!」


会場に響いたゴングの音、それと同時に先手に出たのは不知火。黒い霧に包まれ消えた。


「不知火選手が消えた!邪神様は動かない!見失ってしまい打つ手無しか!?」


邪神の背後から鎌が襲いかかる。その攻撃は首を確実に捕らえた。姿を表した不知火は、ゆっくり離れる。


「ちょろいな…もう終わった」

「なんと!あの邪神様が何もできないまま魂を狩られてしまったぁっ!!」

[アホくさ]

「だな…」


会場から見届けるゼノムは、二人の実力差に呆れていた。

それもそのはず邪神に一切効いてないのがバレバレだからだ。


「【もう帰っちゃうの?そんなんじゃ社長と戦ってもらえないよ?】」

「なっ……!?嘘だろ!!」

「おっとぉー!?効いていない!効いていない!確実に狩られて終わったと思われていた邪神様に効いてない!余裕だ!お前に動く必要などないと言わんばかりの余裕だ!」

「そんなはずが…!クソ…!!」


再び不知火は闇に消えた。


「今度は一撃とは言わん…消え失せるまで斬り続ける!」

「不知火選手、続けて闇の中から連続攻撃!命を狩り取る形!凄まじい勢いです!ですが!我々には一切見えない!」

「【大丈夫?息があがってるよ?】」

「やはり効いてない!それどころか不知火選手の心配をしている!」

「なめやがってぇ…!!」

「【まだ足りない、ほら回復】」


邪神が消えていた不知火の鎌を掴んでいた。その手から光が伝って鎌が光に染まっていく。その行動を反撃と思ってしまった不知火は鎌を投げ捨て後方に逃げる。地面に落ちても鎌は輝き続けていた。


「【あれ?いらなかった?】」

「浄化するつもりか、俺の闇を…」

「【え?いやいや回復だよ回復、休憩しないと】」

「ふざけるな!」


もはや挑発にしか聞こえない邪神の発言にブチ切れた不知火は闇の波動を放つ。それを無抵抗で邪神は受ける。無傷だ。

怒りの猛攻が始まる。無数の魔法陣が展開され鎌が出てきた。その全てが不知火の意思で自在に動く。と同時に不知火から闇の波動が連射される。邪神は動くはずもなく受けきる。


「【ん~やっとダメージ】」

「効いてないのか…」

「【ほら君も回復しようよ、私もしてるから】」

「化け物が…!」


邪神の気づかいを完全に無視して突撃する不知火。だが、その背後に黒い手が迫っていた。ドゥバレンの手だった。


「しまった!」

「オマエ…ムシ…シタ……」

「【言うこと聞かないガキはお仕置きしなきゃ…】」

「不知火選手、不意を突かれた!」


ドゥバレンに足を捕まれた不知火は地面に叩きつけられる。ドゥバレンの顔が膨らんでいた。その顔が縦に裂けて大きな口となる。倒れている不知火を全身で抑えこみドゥバレンの口が近づいていく…


「や、やめてくれぇ…!誰か!誰か!」

「【ねぇ…回復しようよ…足りないんだから】」

「しますっ!命だけは…!助け…」


赤い飛沫が飛び散った。パキポキと砕ける音が鳴る。

不知火は頭を喰われ敗北してしまった。

その死体に邪神は蹴りを入れていた。不知火の死体が震える。


「敗北だ!不知火選手、完全敗北だ!」


震えた死体の首の断面が光っていた。生えてきた。黒い触手が生えてきたのだ。


「何が起きたのか!?不知火選手の顔が触手の化け物です!退場する邪神様に着いていきました。まるで奴隷にされたかのように!」


触手の生えた不知火を蹴り飛ばしてゼノムの元に戻ってきた邪神は笑顔だった。


「【どう?この被験者使えそうでしょ?】」

「ひでぇ扱い、野郎に興味無いんだが」

「【男の娘にしたら良かったか…とりあえず毎週こんな感じで被験者を集めてるの】」

「基準がオークゥを倒せる奴らばっかりなのか…」

「【判断基準が他に居なかったんだもん】」

「お前を倒せる奴が現れる気がしないが被験者集めて何をするんだ?」

「【開発費】」

「ひでぇw」

「これがゼノムと邪神か…」

[コイツら自分がいた元の世界を滅茶苦茶にしてやがる…]


不知火も元は魔法なんて無かった世界の平凡な厨二病のはずだった。とにかく二人の価値観において、この世界の命が軽い…


「【あとこれ私のグッズ】」

「それは意外…って俺の会社ー」

[オカズの提供!?]

「【今のところ被験者はこうして…】」

「闇が深い!玩具の闇が深い!」

[人のこと言えないだろ]

「おっとブーメラン刺さってたか」


不知火の身体が空っぽな人形にされていた。邪神の美貌をそのまま写し絵にされたかのような人形だった。


「【要領はサキュバスとかと差ほど変わりないのだけど】」

「これは業が極まってますねー」

「【ゼノムの分もあるよ!】」

「いらないです」


即答だった。

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