小説練習 いつまでも待っています
「待って!お待ちください!」
私は走って彼の元へ行く。
彼の元についた時はクタクタで息が上がっていた。
「姫様!?どうしてここに。衛兵達には何も伝えてないはずなのに・・・」
彼は驚いた顔でそう言った。
「朝早くから城から出ていくとこを見たってザップが教えてくれたのです。そして、出発するとしたらここだと思いまして。」
「なるほど、そういうことでしたか。こっそり出ようと思ったのに、アイツのことをすっかり忘れてましたよ。」
はははと笑いながら彼は頭をかく
私は彼に1歩近づいて、彼の目を見て言う。
「もう行ってしまわれるのですね。」
「はい。ずっと此処にお世話になる訳にもいけませんからね。それに、俺は旅人です。旅人が旅しないで何をするんですか。」
ふっと笑いながら彼は言う。
でも私は・・・私は・・・!
「そんな危険な旅などしなくても、私の専属のナイトになってここに残っても良いと言ったではありませんか!なのに・・・きゃ!」
急に彼に頭を撫でられた・・・。
「はうぅ・・・。」
なでなでが、温かくて心地いい・・・
彼は私に目線が合うように少ししゃがんでこう言った
「いいかい姫様、前にも言ったけど、俺はここに長居しすぎました。本来俺は同じとこにずっといちゃいけないんです、そして・・・姫様みたいに俺のこと大切に思ってくれる人を作らない方がいいんですよ。詳しくは話せないけど、そういう事なんです・・・。」
少し悲しそうな笑顔で彼はそう言った。
私は知っている。彼は私達とは違う。見た目は人間でも、彼には亜人の力がある。だから彼の言うことも分かる。でも、でも・・・
「でも、私はあなた・・・あなたと一緒にいたいのです・・・。一緒の時を過ごしたいのです。それは、叶わぬ望みなのですか・・・。」
涙を堪えるために自然と体に力が入る。スカートをぎゅっと握ってしまうぐらいに・・・。そんな私を見て彼は、撫でるのを止め、私の瞳に指を差し出し、涙を拭ってくれた・・・。堪えていたはずが、出てしまっていたみたい。
「確かに、一緒の時を過ごすことはできない。でも、一生会えないって訳じゃないですよ。」
え?っと思い、彼の顔を見た。彼はにっこりと笑っていた。
「俺は長居をしちゃいけないだけで二度と来れないって訳じゃないですし、姫様みたいな人も作らない『方』がいいってだけですし。まぁ要するに!またいつか会えるって事ですよ。」
私は涙ぐみながら聞いた。
「また会えるのですか・・・?」
「もちろん、姫様が女王になった時ぐらいにでもまた会いに来ますよ。」
「約束してくれますか?」
「はい、約束します。」
「・・・約束しましたからね、忘れたら・・・承知しませんからね!!」
「はい、肝に銘じときます。」
ニコッと笑って彼はそう言った。
「さてと、俺はもう行きますね。」
彼は立ち上がり、フードをかぶった。私に背を向け彼は歩き出す。2、3歩歩いたあと、振り向き彼は、私にこう言った。
「それでは・・・また会いましょう、『リュリーラ姫』。」
私は驚いた。あんなに他人の名前を呼ぶのを『仲良くなる』と、ためらっていた彼が、私の事を、名前で・・・。
私はすごく嬉しくて泣きそうになったけど、涙をこらえ、叫んだ。
「待っていますからねー! 私のナイト、グラン様ー!」
彼は背を向けたまま数回手を振り、そのまま言ってしまった・・・。
おまけ
ちょっとしたキャラ紹介
○リュリーラ・パス・フリーデン
身長150cmぐらいの女の子
ある王国のお姫様
グランに助けられてから彼にゾッコンである
○グラン
身長180以上のオッドアイの青年
ある亜人のハーフで、かなりの長寿。
仲のいい人の老いてく姿を見たくないといい、あまり人は深く接しないようにしてる
皆さんこんにちはプじアん・ラクタです。二作目である「小説練習 いつまでも待っています」を読んでいただきありがとうございます。この作品は友達から「好きな人が遠くに行ってしまう」というお題シチュエーションをもらったので、それにそって作りました。中身の指定はなかったので、ほぼほぼオリジナルです。
やっと二作目です。この調子だと練習のみで終わるのではないでしょうか・・・。まぁゆっくりですけど、続けてはいこうとは思います。もし次を投稿した際は、ご覧になってください。
それでは改めて、二作目である「小説練習 いつまでも待っています」を読んでいただきありがとうございました。