9話
俺たち兄弟がシトリア峡谷都市なんてとこに連れて来られてもうすぐ2年が経つ。
まぁ兄弟といっても血は半分しか繋がっていないし歳も19で一緒だし2年前まで別々に生活してたわけだから家族って感じよりも友達って感じの方が近い気がする。
大体、ルークとは見た目も全然違うし、性格も全くって言っていいほど似てない。
だからって嫌いじゃないし、むしろ好ましいくらいだがそれが血の繋がりの所為だとは思わない。2年も一緒にいれば、しかもお互い助け合って生きる道しかなさそうだったからそんな感じの間柄になっても不思議じゃないと思う。
因みに俺の方が1ヶ月早く生まれてるみたいだから兄貴って事になるんだろうけど、ルークが俺を兄貴なんて呼ぶこともないし、呼ばれても気持ち悪いから、お互いが考えて自分に付けた名前で呼びあってる。最初の頃はお互い気まずい感じだったから遠慮だったり、気遣い?なんかもしてたけど今じゃ喧嘩もするし遠慮もなくなってきた。
それにしてもこっちに来たばっかの時は大変だった。だだっ広い草原にいきなり放り出されて、魔物はでるわ、盗賊はでるわ、飲み物食い物も満足に手に入んないわで、詰んだって何回思わされた事か。
しかもここらへんにはなんか呪いの魔女なんてもんもいるらしぃ。あぁ、怖っ。
「おい、ダート。どうした?」
「ん?ああ、いや今日まで生きてこれたのもルークのお陰だなぁーって、思っちゃったりしてさ」
「.....気持ち悪い事言ってんじゃねーよ。
てか交代しろよ」
照れちゃった?んなわけないか。
まあ何だかんだ色々あっての新生活。
何とか生きてこれました。
そしてこれからも生きていきます。
その為にも仕事はきっちりこなさなきゃいけないからな。
「おっけ。代わるわ。剣かして」
ルークが無造作に投げた剣を片手で受け取ってもう片方の手で刃をなぞる。
なぞる端から刃が薄っすら光を帯び淡く神秘的な造形になる。
振り向くと、ルークの奴、もうねっ転がって鼾かいてる。
図太いやっちゃなぁ。
俺は正面をむく。
ゆっくりと魔法をかけた剣の刃を正面のものに刺しこむ。
じわりじわりと苦痛と恐怖と絶望が剣先、剣の腹、柄から手に伝わってくる。
「おっと。解除してなかった」
パチンと指を弾き鳴らすと瞬間、耳を塞ぎたくなるような絶叫。
うるさっ!
身体の後ろに回した両腕を縛り座らせた男に沈黙で縛る魔法を解除したのは話が聞きたいから。
「話す気になったか?話すまで剣は刺し続ける。安心していい。死ぬ事はないから。刃に強力な回復魔法付与してっから、刺しても、刺しても傷は刺しこむと同時に回復するから。ただ、話してくれるまで痛みはずっと続くからね?」
ルークからボコボコに殴られた顔は腫れ上がっていて、それでも腫れで塞がりかけてる、こちらを睨む男の眼には強い意志を感じる。
...へへっ。甚振りがいありそうじゃん。
こりゃ、今夜は長くなりそうだわ。
さてと、今日も明日を生きる為、お仕事頑張りますか。残業、残業。




