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誰が為の力?  作者: 渋谷 啓介
17/30

17話

ガヤガヤと騒がしい店内の隅っこのテーブルに一皿の山盛りパスタが置かれる。まだ日が沈みかけの時間だというのに50席程あろう広めの1フロアに冒険者やら商人やらでごった返してるこの酒場は安くて旨いと評判だ。


山盛りパスタに眼を輝かせ、待ってましたとばかりにフォークを突き立てる俺とダートだが1皿に同時にフォークを差し込んだ為お互いのフォークがかち合う。お互い引かない。力を込めフォークがギチギチと迫合う。


「おい、ダート。譲れ」

「.....ルーク。お前が譲れ」


俺たちは睨み合う。だが全くお互い引く気がない。


「なぁー、ダート君。こういう場合年長者である俺が優先されるべきだと思うだよねぇ」

「あん?何が年長者だ馬鹿野郎。1ヶ月早く生まれたからって年上面してんちゃうぞコラ。この猫耳」

「んだとコラ。テメーこそ熊耳のくせに金色の眼しやがって中途半端なハーフ野郎が」

「ハーフはテメーもやろがルーク、コラ」

「やんのかコラ!」

「やってやんよタコ!コラ!」


喧騒の満ちた店内の隅っこで睨み合い火花散らす俺たちだか、そんな俺たちの前にいつのまにか男が立っていた。


「依頼の件、確認した。報酬を持って来た」


灰色の薄汚れたローブをまといフードを深くかぶった男の表情は見えない。

しかしそんな事はお構いなく俺とダートはお互い睨み合いを続ける。

小さな袋がテーブルに置かれ中のものがチャリと音をだす。男はそれ以上何もせず静かに背を向け店の出口に向かう。


その男の背を俺たち2人は眼だけで追う。そして再度眼を合わせる。

情報通り本当に来た。


「どうする?」

「どうするって、追う一択」

「ですよねー。あーあ、ダートの所為でパスタ食えなかったじゃん」

「そりゃこっちのセリフやっちゅーねん。いくぞ」


俺たちは男の後を追うように店を出る。夜は大分深くなってるってゆーのに街の中は賑やかで立ち並ぶ酒場や娼館やらから漏れる光で道を明るく照らす。

俺もおねーさんがいる店であそびたいよ。

前を行くローブの男に気取られないように慎重に、行き交う人達を抜いながら追っていく。


暫くすると街の灯りからどんどん遠ざかり暗くなってきたが夜目の効く俺達には関係ない。静まり返った住宅地を抜け、ローブの男が何処へ向かっているか段々予想出来て来た。そこは絶壁の岩をくり抜いて作られた教会。ローブの男は灯りひとつないその教会の中へ入っていった。


「あーあ、やっぱりヤオド教絡みじゃん。めんどくさいなぁ」


こんなの碌でもないに決まってるじゃねーか


「黙れルーク。嫌なら来なくていいぞ」


へいへい、行きますよ。行けばいいんでしょ。


俺達は忍び足で教会に入った。

真っ暗な教会の中は質素な作りだが、岩に掘られた空間は広く、これ作るの大変だったろーなと高い天井を仰いで感心した。


「おい、何やってんだ早く先進むぞ」


ローブの男の姿はないが、教会には奥の祭壇の横にひとつだけ扉がありそこを進んだに違いないと思い、扉を静かにあけ、真っ直ぐの廊下の先にはもう一つ扉があった。廊下を渡りその先の扉の前で扉の先の人の気配を探るが何の気配もなく、入ってみる事にした。


小さな部屋にはベッドと机があるのみで、他には何もない。


「ありゃ?何処いったんだあの男」


2人で物音を立てないように慎重に探って見たが何もない。暫く部屋の様子を探った後ダートが何かに気が付いた。


「何か...聞こえる」


俺も耳に注力した。

すると確かに微かに声の様なものが聞こえた。その微かな音を辿るとどうやら部屋の壁から聞こえてきているみたいだ。壁をペタペタ触るとカチッと音がなり動いた。

隠し扉かよ。

下へ続く階段が現れた。

下にいくにつれ緩やかに弧を描くようなその階段を降りていく。微かだったその声がはっきり聞こえて来るようになり、それが何人かの呻き声だと分かった。


階段の終わりには部屋があるようで隙間から光が漏れている。


まじかよ。


隙間から二人でその先の部屋を覗くと胸くそ悪い光景が広がっていた。何人もの裸の男女が両手を杭に打たれて壁に掛けられている。傷だらけの人、頭を割られ中身が飛び出ている人、体にたくさんの金属片が刺さっている人などなど見るも無残な姿の人達ばかりだ。半数以上は死んでるっぽくて、残りの半数がさっきから聞こえてきてた呻き声を上げてたみたいだ。


あっ、ダートがキレそう。


ダートが扉をぶっ壊す勢いで蹴り開け灰色のローブの男がこっちに振り返った。

やる事は決まってる。

ダートが一瞬で距離を詰めて足をナイフで切りつけるのと同時に俺は背後に回って上半身に飛びつきしがみつき首にナイフを当てる。背中向けに床に倒れて仰向けに俺が下、ローブの男が上になるいつものパターン。


「3秒以内で答えろ。じゃないと殺す。ここで何やってた?3.2.1...」

「わ、私は召喚魔法の研究をさせられているんだ」

「他には3.2...」

「そ、それだけだ」


よし、どんどん質問って思ったらダートが男をナイフで滅多刺し。

どうでもいいけど俺下敷きになってるからね?貫通したら俺にも刺さっちゃうからね?


「ダート、召喚魔法って知ってる?」

「ああ、なんか色々召喚する魔法やろ。有名なのはアルムヘイム大陸で大昔めっちゃ強い奴召喚したってゆーやつやな。最近もやったらしいで」


アルムヘイムって海渡ったとこにある大陸だったっけ?てか、色々召喚する魔法って、そのまま過ぎて説明になってないんだけど。


「それよりダートさぁ、誰が首謀者か吐かせる前に殺しちゃったらダメだろ」

「ああ、すまん。我慢できへんかった」


まぁ気持ちはわかりますけど。


「それよりどうするよ、これ」拷問っぽい事されてる人達。

「全員殺すしかないやろ。見たところ助かりそうな奴一人もおらんみたいやし。...これ以上苦しませる必要ないやろ」


まぁ、そうだよなぁ。俺たちは二人で全員痛みのない様に命をたった。教会からでたら夜が明けそうななってた。腹減ったー。


「これからどうするよ?」

「そうやなぁ、取り敢えず報告しに帰らなあかんやろ。ヤオダ教会絡みやから早い方がいいやろうし」


だよなぁ。教会絡み本当めんどくせえ。てな訳で今回のお仕事はここまでで本拠地に帰還する事になりました。


「そういえばルーク。お前に貸した金、帰ったら返してもらうからな。忘れんなや」


げっ!覚えてたか!帰りたくねぇ。

でも帰らねぇとな。あーあ、やっぱ教会絡み嫌いだわ。


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