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誰が為の力?  作者: 渋谷 啓介
13/30

13話

森は何とか抜ける事が出来た。

途中、日が完全に落ち暗闇の中を魔法で灯した光で照らしながら進み、幸いにも森では一度も魔物に出くわさなかった為、無事に森を抜ける事が出来、馬も疲れてはいる様だったが休めば問題ない程度に思われた。


ここから街までの道のりには草原や荒地、浅い森を何度か超え、馬で9日程の距離を進まなくてはならないが荒野に接する森と比べて魔物は随分と少なくなる為、襲われ命に危険が及ぶ事も少なくなる。


しかし、警戒は怠れない。

森を抜け暫く暗闇の中を魔法で照らしながら馬をゆっくりと道なりに走らせ目的の場所に近づくと道から少し外れ馬から降りて手綱を持ちながら馬を引き歩いた。

近づくにつれ魔法の灯りに照らされた一本の木が夜の暗闇から姿を現した。


ここら一帯は平原で道以外の殆どがそれほど高くない膝下程の高さの雑草に覆われているのだが木を中心に雑草が不自然に刈り取られ広場になっていて、広場には所々焦げた跡がある。この場所は奴隷として荒地に連れてこられた際、森に入る手前で休憩所として使われた場所だ。


犯罪奴隷は定期的に荒野に運ばれていた様でその都度この場所で休憩していたようだ。その為だろうか、利用頻度の高い場所だという事でだと思うが此処には井戸が掘られていた。


それを思い出し此処で野営しようと考えた訳だが馬を引きながら井戸を見つけ横に置いてあった縄付きの桶を真っ暗な井戸に投げ込んだが水の気配はなく、どうやら干上がっているようだった。


息を一つつき、広場中央の木のそばでそこらに落ちていた、乾いた草や木の枝を集め魔法で火を付け、魔物除けの香を焚き、井戸の桶に付いていた縄を木に巻きそれと馬の手綱を結んで馬が逃げないように固定した。


井戸に水が無いのは困ったな。

俺は大丈夫だがこいつがなぁ。


馬の頭を撫でながら手に魔力を込めて両手一杯ほどの水を作り出して桶に張り馬に舐めさせ、馬は水を全て舐めとった後、もっとくれと催促するように頭を俺に擦り付けてくる。


「今夜はそれだけで我慢してくれ。明日には川に付けるから」


暫く頭を擦り付けてきていた馬だがこれ以上水が出てこないと悟ると俺から離れ地面に生える短い草をむしっていた。


魔物除けの香を焚いているとはいえ魔力は出来るだけ温存しておきたい。

水場以外で魔法を使い水を作り出す事は可能だが非常に多くの魔力を消費する。

作り出すと言うよりも土や植物に含まれている水分を魔力に寄って集めると言った方が正しい。魔力を一定量以上蓄える人間や魔物などからは出来ないそうだ。


昔、人間の水分、要は血を魔法で抜き取り敵を攻撃する方法が研究されたそうだが成功に至らなかったらしい。


俺は木を背に座り込み、荒野の砦から持ち出していた干し肉を齧り、目の前の焚き火をぼんやりと眺め、魔除けの香の漂う匂いを感じながら思い出していた。


父上の顔、母上の顔、家臣達の顔、そして許嫁であったマルティナの美しい顔。次第に眠気に誘われて瞼を閉じた。




何かの気配を感じると同時に馬が騒がしく動くのを感じ目を覚まし辺りを確認すると囲まれていた。


ブラックドッグと呼ばれる黒く短い毛並みに赤く光る目が特徴の犬型の魔物が6匹、俺を中心に前方から扇状に位置し、ゆっくりと近いていた。


日は高く登っていて昨夜漂っていた魔物除けの香の匂いがしない。どうやら香の効力が切れる程、長く寝てしまっていたようだ。俺が目を覚ましたのに気がついたのか一斉に距離を詰め正面のブラックドッグが飛びついてきた。


早い!躱す、剣を抜く、魔法を使う、それぞれ間に合わないと判断し目の前に迫る鋭い歯がびっしり生えた口を大きく開け噛み付こうと飛びついて来たブラックドッグの側頭部を間一髪で殴りつけ吹き飛ばし、前方に身を投げ出して最初に飛びついて来た一匹に少し遅れて飛びついて来た他のブラックドッグ達を躱した。


目標を失ったブラックドッグ達は飛びついた勢いのまま互いに空中でぶつかりその怯んだ隙に俺は素早く距離をとり土魔法を放ち地面から生える土の槍で串刺しにし5匹は絶命した。


殴りつけたブラックドッグは怯んだものの俺が魔法を放った隙に体制を立て直し俺との距離を詰る。俺は剣を抜き構え、飛びついて来た最後のブラックドッグを上から下に力を込めて剣をぶつけ、最後の1体を真っ二つにした。ふぅ、なんとか無傷で倒せたな。


血に他の魔物が近いて来る前にここから離れよう。


俺は興奮する馬に近づき宥め落ち付かせ馬と木を繋いだ縄を解きそれをまとめ荷袋へ積めて馬に跨りその場を後にした。


騎士を倒した時も感じたが確実に俺は強くなっているな。レベルとやらが上る影響はかなり大きい。やはり積極的に魔物は狩っていく必要があるな。


複数で群れるブラックドッグは単体での評価は低いが群れる場合は高ランクの魔物とその強さは遜色ないとされている。俺はレベルの存在の認知、それを上げる事、それらの優位性を改めて感じながら先へ進んだ。









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