5話 いざ街へいかん
あさー おはおはー おハヨー 朝が来たー わはー
ゲホッ……なんかここって空気悪い?
のどがピリピリする
「朝からうるさいよ」
「はーい」
今日こそ街へ行こう
いやその前に家をあさ……探検したい。
わーい ドラ○エ勇者だ!
にしてもここは何が起こったんだ?モンスターとかが来てみんな避難したとか?でもその割には慌ててる感じはないんだよなぁ。どの家もめぼしいものは持ち去られてるっぽいし。
倉庫らしき建物はっけーん。中はー?
ほぼなーし そんな気はしたー
あるのは桶に空の樽に傷んだロープ、棚は崩れて倒れている。
ん?樽の中に何かある テッテレー 武器発見
少し錆びたナタ……ハチェット?
コレをマイ武器にしようかな、ああでもスプラッタになりそう。まぁいいか。
私が思うに異世界物の登場人物は初期装備にナタを使うべきだよ。剣よりも取り回しが楽だし、草木を払うのにも向いてるし。ショートソードだって振り回せば体持ってかれるしな。
良くない点はスプラッタなこと?いや剣だって十分スプラッタだよ。
閑話休題
あれから色々探したけど私が使えそうなものは残っていなかった。
さて、もう出ようかな?
あ、あの教会の中探してない。いそいそと戻って再び家探しを始める。
2階の奥に書庫らしき場所を見つけた。いくつか抜き取られた後があるが、ほとんどの本が残っている。外の崩れた建物を見るに人がいなくなってから数十年は経っていそうだが、妙に綺麗なままの本が多くある。魔法でもかかってたりするのかなぁ
題名を見る限り翻訳はきちんと成されてるようだ。
綺麗なままの本を手に取って読んでみると、驚いたことに植物紙っぽい手触りの紙に、しかも印刷されていた。活版印刷なんかもあるのか。裏表紙には丸い魔法陣らしきものが刻まれていてテンションが上がる。
綺麗な本は図鑑や資料集がほとんどだった。劣化した本をそっと開いて見ると、手書きの本やバラバラの紙を纏めて綴じたものが多かった。
最奥に、装飾や魔法陣が多く刻まれたなんだか高そうな机が設置されていた。万年筆のようなものが鎖でつながれていて、机の上には布?を張った板がはめ込まれていた。
何の気なしにその布に書いてみるとインクが残っていたようで、試しに『ハロー 滅びた村より』と書いてみた。別の方を向こうと、机を指でなぞって、その指が縁にあった魔法陣に触れた。
シュッ
指が消えた
その後本を手に取ろうとして手が目に入り、
「えぇぇっ?!指ががががが」
「落ち着けって、気づくの遅いって」
「なんでそんな冷静なの?!」
「エネルギー体の身体がその程度欠けただけでダメージ無いだろ」
「あそうか」
足を生やした時の要領で指も生やせた。
「あれ?文字がない」
布に書いたはずの文字が消えてる。
ま、まさかコレはかいたものをどこかに送れる道具では?!
カッコイー!ファンタジーだー
Let’sラクガキ
キメラ状態の私を描いてみる。よし、そうしーん
ってどうやるんだ?
机をあちこち撫で回してたらいつの間にか絵が消えていた。
送れたのかな?
「……今更送んなきゃよかった、絵そんな上手くないし」
その場のノリで行動するのヨクナイ
何かもらってこうかな。
選んだのは採取のススメ(森)、題名のないフレスを祀る宗教の本のふたつだ。いいもん、人居ないし。ぬす……貰ったって悪い気は…………するなぁ。このまま置いてくのももったいない。
「放棄されてから長く経つみたいだし持ってっちゃえば?既にナタを貰ってるんだしさ。
いい加減街へ出発したいんだけど」
「わかった、もってく。 出発しんこー」
教会跡から出て空へ浮かぶ
「なーレイ 街の方向はコッチでいいのか?」
「大体はね」
「りょーかい」
森の上を道にそって飛びながら進む。
出来ればこのまま本を読みたいんだけど、本2冊にナタ・ランタンを抱えた状態では到底読めない。
そういえば体は元々不定形なんだし中に入れられないかな。
結果 入った
でもナタをどうに入れると腰をまげた時に背中から突き出そうになるのはどうにかしたいな、今は方法が思いつかないけど。
ランタンはどうしても持っていたいからつり輪部分を腕にかけて本を読む。
読むのは採取のススメ(森)
名前の割に結構分厚く読み終わるにはそこそこかかりそうだ。
森で採れる植物類を中心にその特徴や採取の注意点などが細かくかかれていてなかなか面白い。
昔から本の虫で学校の行き帰りとかずーっと本読みながらあるってたなー
おかげでほとんど前を見ずに人や障害物を避けながら歩けるようになったんだっけ
──────────
ふぅ、長く飛んでるけどまだ森が続いている。本も半分以上読み進めた。
うーん、ちょっと高く飛んだら森の切れ目見えないかな?
…………あ、見えた!
「レイ!道をたどれば街に行けるんだよね?」
「森の中までではね。その後は道が分からなくなってるから、川にそって下っていけば街に着くよ。」
「川?そんなのは見えないけど」
「森の木に隠れてるんだよ、とにかく森を抜けたらわかるさ」
「おお、川も見えたよ! かなりの高さに来たなぁ」
街らしき影はまだ見えない
腕と足、足の間に飛膜をつくる。
「おいおいウソだろ……」
「レイ、ウイングスーツって知ってる?一度やって見たかったんだよね」
「あ、ちょ待って ああああぁ?!ちぎれるっ、ちぎれるぅ!!」
空をすべりだす
後ろでレイが風にあおられてはためいている。
そのせいかなにを言っているのか聞こえない。
めっちゃ楽しーぃ 何より命の危険がない所がー
川原に降り立つとレイがぐったりのびてた、気絶とかじゃなく文字通りのびてた。
「……っ、君ってヤツはあ!」
キュッ
レイにぐるぐる巻きにされた。
「もう少し他人に配慮とか出来ないワケ?ねぇ!」
「かっふ」
首がっ首がキマってます。
絞られたらホントにカハッとかなるんだーとか思ってる場合じゃない。返事もできない。
てか何でダメージがあるの?!
「君の体は僕の体でもあるんだからわけ無いだろ?」
ぐええぇぇぇ、なっ、中身がでちゃうよ中身がっ
モザイクかかっちゃうから
ごめんなさいもうしませんと言いたくても言えないぃー何故なら首がっキマってるからーらららー
「ねぇ?馬鹿なこと考えてたりしないよね?」
「ひゅっ」
わぁいさらにキツくなってるぅ
あれからどれくらい経ったか分からないが、レイが「飽きた」と言ってようやく解放してくれた。
この体で死にかけるとは思わなかった。
──────────
とにかくこの川を下れば街に着くらしい。
そろそろ他の人に会ってもおかしくないとの事。この姿のままだと、魔物のレイスやバンシーに間違われて攻撃されかねないようなので、気に入ってる鳥足を生やしてみる。これならば獣人に見えなくもない、ステータスも亜人になるし大丈夫なハズ。
レイが言うにはキメラの獣人も少ないながらも居るようだ。
はっ、そういえばその辺の常識まったく知らない?!
「獣人の扱いって?!あ、あと街ってどんな様子?!ギルドみたいのあるん?物価とか戦争とかは??」
「落ち着きなよ。そんな一度に聞かれたって答えられないから」
色々質問したことをまとめると
・獣人は人間より少ないくらい
・獣人差別は基本的に無いがやはりアホはいる
・獣人のケモ度合は好きなように変えられる(要訓練)
・街はいわゆる中世ファンタジーで王都ほどでは無いがかなり大きい。また、スラムは他と比べて小さい
・お約束のギルドは存在し、冒険者ギルド商人ギルド等に分かれている
・戦争は魔物の脅威のおかげで起こりにくいがやはりアホはいる
なんというか本当に理想的な所だなぁ
アホが気になるところだけど
ただ歩いているだけというのも飽きてくるので、生やした鳥足を変えて遊んでみる。
スズメやカラスは歩きにくい
猛禽類はカッコイイし攻撃力も高そうだけど歩きやすくはない
ニワトリはかなり歩きやすく蹴りも強いので普段使いにいいかも
歩く……走るといえばダチョウなんてどうかな?
……軽く走っただけでかなりのスピードが出た、さすがダチョウ。
蹴りの威力はどんなもんかな
せいっ
ゴッ
地面がかけたよ
つおい、めっさつおい
ダチョウの蹴りがこんな強いとは…
このまま街まで走ってこ
街のもんが見えてきた。大きな城壁だなぁ
やっぱり大きな街ともなると規則とかも厳しい………きびしい?検問なんてあるんじゃあ?!
人が見えるくらいまで近づくと立ち止まった。
検問あるっぽいです。人が並んで何かしてるのが遠目でわかる。
私の持ち物 ナタ、本2冊、ランタンのみ。旅の荷物無し、身分証無し。かと言って賊に身ぐるみ剥がれた風でもなし。
うわぁ怪しいヤツ
「ん?急に立ち止まってどうしたのさ。もう少しで街なんだけど?」
「検問を無事に通り抜けられる気がしないです。」
「そりゃあしょうがないよ。訳アリでも犯罪歴とかがなければ通れるけど?」
「それを調べるのはどうやって?」
「嘘発見器みたいな魔道具が有るからそれで確かめるらしいよ」
「それで種族とか聞かれたら?……私はなんかの亜人だと思ってると答えれば嘘ではないか……うーん。ゔぁー街行きたくなくなってきたー」
「えぇぇっ?!行こうよ!僕は文明的な生活がしたいんだけど」
「その前に起こるであろうゴタゴタが目に見えるぅ〜」
「ソレはどうしようもないんじゃ」
「それでもやなのー
帰る!」
「どこに?!ここまで来て帰っちゃうの?!」
「帰るの!」
「ああもう」
ダチョウ足で全速力で逃げ帰った
以前頑張って描いた絵を載せてたけど
見る度に目に入る絶妙な下手さに耐えられなくなって消してしまいました
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