拷問
監禁されてから7日ほど経った。
飢えによる空腹からほとんど動くことができなくなった。
視界にはノイズが入り体を少し動かすだけで激しい激痛や息切れが起こる。
それは傍から見ても明らかだっただろう。
「やっと動けなくなってくれましたね、狭間さん。私は嬉しいですよ。これで拷問ができますね。」
そこには生垣とカートを引くスーツの男がいた。
生垣は普段来ているエプロンのポケットから鍵を取り出し、牢屋の錠を開けて入ってきた。
「この7日間、狭間さんにどんな罰を与えようか私必死に考えてきたんです。それでいろいろ考えてきた結果、狭間さんには私のものだったっていう自覚が足りなかったと思うんですよね。だからこういう罰なんてどうですか?」
そう言うと生垣はカートの中から先端の赤く染まった棒状のものを取り出した。
その先端には鏡文字で生垣由貴と掘られていた。
「最初は焼き御手で額にでも入れましょうか。それ以外にもホッチキスを名前の形に打ち込んだり、彫刻刀で肉をえぐったり、安全ピンを差し込んで名札に名前書いたり。ね!最高でしょ!?一つずつ一つずつ異なる痛みとともに私の名前を刻み込んでいくの。」
そう叫ぶと彼女は動けない私に焼き御手を押し込んできた。
―――
今私の体には生垣由貴という狂人の名前が至るところに刻み込まれていた。
叫ぶことはできなかった。
一週間にも及ぶ飢えで声を出すことすらできなくなっていたようだ。
もう私の苦しむ姿を見飽きたのか生垣が牢屋の鍵を外からかける。
そしてカートの中からお皿のようなものを取り出し牢獄の下の隙間から牢の中へと差し出す。
「狭間さんを改造するにはあと1週間ほど準備がいるんですよ。だから、それまで死なないでくださいね。」
それだけ言い残すと彼女はスーツの男とともに部屋をあとにするのだった。
私は悟ってしまった。
あと1週間で人として生きていくことをやめさせられることを。