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橋の下の少女  作者: Mch.9
8/15

異変

「いやー参った参った。」

 さも疲れたかのように中年小太りの男がつぶやく。

上はワイシャツ、下は黒いスラックスを身にまとっている。


「どうしたんですか?草薙さん。また難事件ですか?」

 私の質問に嬉しそうに答える。


「そうだよ。大事件も大事件だよ。久しぶりにべっぴんさんが相談に来たかと思ったら男の所在を探してほしいなんて言ってきやがったよ。ああ、うらやましいね。」

 いつもの調子の草薙さんにいつものとおりに言葉を返す。

 

「べっぴんさんの彼氏さんはどうしていなくなったんですか?」

 少し真面目な様相を取り繕って草薙は答える。


「それが急にいなくなったらしい。仕事と別に居酒屋でのアルバイトをしているらしいんだが、ある日連絡もなくバイトを休んだかと思ったら連絡も取れず、心配になって部屋にも訪れたがいなかったって話だ。」

 その話を聞いてある事件を思い浮かべた私は草薙にさらに問いかける。

 

「もしかしてその男は一人暮らし?」

「どうやらそうみたいだ。もしかして最近の事件と関連性でも考えてんのか。」

 最近この近辺では一人暮らしの男が行方不明になっている事件が数件発生していた。

 

「やめとけ。日本での年間の行方不明者なんて10万近くいるんだから。たまたま、重なったにすぎんよ。考え過ぎだ。」

 そう言って草薙はデスクの方へと向かっていく。

 

 年間の行方不明者数が10万近くいるのは確かなことだ。

だがその実際は家族関係の悩みで家出をしたり、痴呆症やボケといいった病気の関連で外に出ていったりと、それを心配した家族からの連絡などがほとんどである。

その他にも事業を失敗した人間や恋愛関係のほつれが原因というものがあるが、他者による誘拐や殺人などが原因というものは案外少ない。

98%近くが事なきを得ているのが行方不明の実態である。


 だが、今回の事件は病気持ちでもなく事業を起こしてたわけでもない。

恋愛関係のほつれという線もあるが一人暮らしの男ばかりであるため、浮気して駆け落ちしたといったわけでもなさそうだ。

そのため、今回の件も含め集団による事件性というのが私個人の見解である。

 

『何かそこ知れぬ嫌な予感がする。』

 そんな気がして仕方がなかった。

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