監禁
目を覚ますと見知らぬ部屋にある鉄格子の中にいた。
部屋の中には窓がなく、床も壁も灰色に包まれていた。
天井だけが白く囲まれた部屋はなぜか私の起き上がった辺り一面に血液が黒く固まったような跡があった。
「うれしい!目覚めてくれた。」
女性の声が聞こえそちらを振り返る。
そこには牢屋越しに私を覗き込む少女生垣とその後ろにまるで護衛のように立つ男がいた。
男は全身紺色のスーツを身にまといサングラスを掛けた高身長であり、見覚えのあるような大きな手を携えていた。
「すぐ蘇生しないと命の危険があったんだけど、目の前で起きられたら反撃されちゃうかもしれなかったし。」
彼女が何を言ってるかさっぱり理解できなかった。
そんな私のことなどお構いなく彼女は言葉を続ける。
「背中の傷もものの5分で塞げたんだもの。これも私の愛が強かった証明よね。」
これだけは理解できた。
彼女に刺され、後ろの男に首を締められ、この部屋に監禁された事実だけは。
「でも狭間さんは許せないですよね。私がこんなにも愛しているのに!他の女に乗り換えようとしてるんだから!!」
乗り換える?
他の女?
これがメンヘラというやつだろうか。
なんとかして誤解を解こうと画策する。
「落ち着いて。そもそも私に彼女はいない…」
「彼女がいないですって!!そもそも相手にすらされてなかったんだ私!」
私の発言が感に触ったのか彼女は激昂する。
「ま、いいよ。これからは私がいなきゃ生きられない体にしてあげるんだから。」
ゾットする。
先程までは気づけなかったのだが、生垣とサングラスの男の後ろには機械にくくりつけられたような人間が大量にいた。
正確には人間ではなかった。
彼らの皮膚や体にはトカゲや獅子、猿といった様々な生物のパーツが取り付けられていた。
彼らはキメラであった。
これらの事実と誘拐前に彼女に言われた言葉とがこれから私が何をされるのか予兆させていた。
「でもその前に、私を裏切ったバツを与えなきゃ。でも安心して。こんなに優しくしてくれたのは狭間さんだけだったからたーっぷり時間掛けてから改造してあげる。」
そう宣言した彼女は奥にある扉へと立ち去ろうとする。
「ちょっとどこ行くんだ。」
立ち去ろうとする彼女に言葉をかける。
そんな私に彼女は言葉をかける。
「とりあえず狭間さんには動けなくなるまで飢えてもらいますね。」
そう言うと彼女は奥の扉を開いて消えていった。