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橋の下の少女  作者: Mch.9
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尋問

 半日かそれ以上経っただろうか。

扉の開く音が聞こえる。

そこには待望の相手がいた。

 

 生垣はサングラスの男とともにこの牢獄部屋へと足を運んでいた。

どうやら私のご飯を持ってきたようだ。

 

「ご飯の時間ですよ、狭間さん。」

 お粥を置きながら嬉しそうに微笑む女がいる。


「ねぇ、どうですか。私の看護は?私がつくそうと決めた人はどんな姿になっても最後まで面倒見るって決めてるんですよ。揺り籠から墓場までですよ。」

 

 これが重い女というものなのだろうか。

他人を不幸にしてるにもかかわらず自分は善行をしたと満足するさまは、人が離れていくには充分な悪性を持っているだろう。

だからおちょくることにした。

 

「ここから逃げ出したらお前を警察に突き出してやる。」

 これはある種の賭けだ。

うまく行けば脱出に必要な情報が引き出せるかもしれない。

 

 彼女の性格を考えてみる。

普段冷静を装っているが自分の思い通りにならないことを嫌悪し、激しく怒号する。

それが彼女への印象だ。

そこから彼女を挑発した際の行動を考えてみる。

挑発したら彼女は怒るだろう。

怒った彼女は私への虐待を強めるかもしれない。

もしこれ以上飯を抜かれたり、扱いを悪化されたりでもしたら私は死んでしまうだろう。

だがもし私の予想通りに事が運べば欲していた情報が手に入るかもしれない。

 

「逃げ出す?そんなことできるわけないじゃん。ねぇ、何言ってるの?」

 突如私が喋りだしたことや発言の意図を汲み取れないのか疑問を投げかけてくる。

そんな彼女から情報を引き出せるよう更に言葉を続ける。

 

「たとえ逃げ出せなくとも1週間や2週間もあれば警察がここを突き止める。」

 私の発言に垣間見える僅かな希望にすがる様を見て彼女が笑い出す。

 

「ハッハッハ!?何を言い出すのかと思えばそんなことあるわけ無いじゃん。」

 私に顔を近づけて彼女は語りだす。

 

「ねぇ知ってる?防犯カメラってどこにでもあるようで案外ない場所が多いんだよ。治安が悪くて人口の多いような都市には道端にも置いてあったりするけど、こんな田舎みたいなところじゃほとんどないのが現状なんだよ。」

 さらなる情報を得るために話しの腰をおらずに聞きに徹する。

 

「それに今まで何人も誘拐してきたけど結局一度もバレやしなかったもん。警察の能力なんてそんなもんなんだよ。犯罪を未然に防ぐどころか罰することもできてないのよ。」

 強い口調で彼女は突きつけてくる。

後ろに並ぶ人型キメラはその被害者だったのだろうか。


「じゃあそのどれかの事件の調査が解決に至ることを祈るよ。」

 うまく情報を引き出せないことに焦りを覚えた私はもう一度彼女を挑発する。

怒りに身を任せ様々な攻勢すら警戒していた私にとって彼女のとった泣くという行動は私を驚愕させた。

 

「なんでそんなこと言うの?なんで私のこと毛嫌いするの?なんで私の嫌がることばかりしようとするの?なんで?なんで?」

 これはもう情報を引き出すのは不可能だろう。

そう思わされるほど予想外の事態が起こった気がした。

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