表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
窓際の天才軍師 ~左遷先で楽しようとしたら救国の英雄に祭り上げられました~  作者: 風来山
第三章「王都の決戦」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/108

67.民衆の英雄

 十万を超える農民兵たちは、盛大なる歓呼を以ってラファイエットを迎える。


「ラファイエット様が行くぞ!」

「これで勝ったぞ! 長い戦いも終わりだ!」


 改革派貴族を率いて意気揚々と進むラファイエットは、まるで歴史絵巻の登場人物のような気分だった。

 プファルツ団長がミンチ伯爵を倒して退場してくれたので、後は姫将軍ルクレティアを倒すのみ。


 腰よりシャキンと音を立てて白剣を引き抜く。

 正義の剣によって、ラファイエットは新たな歴史を切り開くのだ。


 男として生まれた者の喜び、これに勝るものがあろうか。


「諸君、あそこに見えるのが敵の本陣だ。もはや小細工はいらない。全軍突撃せよ!」


 敵陣はもう目の前に見える、千騎を率いて颯爽と駆けるラファイエットが剣を振り上げたその時だった。


 ドオン、ドオンと激しい砲撃の音が響き渡り、あたり一面が紅蓮の炎に包まれた。

 この世の終わりかと思われるほどの爆発と衝撃に、ラファイエットの視界はぐらりと歪む。


 激しい地響きに、驚いた馬が不吉にいななく。

 ラファイエットの掲げた剣を持つ手がブルブルと震える。


「な、なにが起きた!」


 幸いなことに、ラファイエットたちはその爆発に巻き込まれてはいない。

 むしろその爆発は、ラファイエットたちを避けるように左右や後方で連鎖的に発生している。


 だが、先ほど歓呼の声でラファイエットたちを迎えてくれた雑兵たちが炎と煙に巻き込まれていくのを見て、動揺せずにはいられない。


「ラファイエット様! どうすればよいのですか!」

「そう言われても……」


 あの砲撃に自分たちが曝されたらと思えば、肝を冷やさざるを得ない。

 しかし、それどころではなかった。


「ラファイエット様、敵に囲まれております!」


 どこから現れたのか棒状の筒のようなものを持った軽装の兵士が、いつの間にかラファイエットたちを取り囲んでいた。

 パンパン! パンパン! と激しい銃撃が響き渡る。


 兵士が持つ筒が火を噴くと同時に、改革派貴族の騎士たちがバタバタと倒れていく。

 信じられない威力だ。


「な、なんだ」


 ラファイエットの脳裏にラスタンの言葉が蘇る。

 これは飛び道具、銃という武器だ。


「そうか、あれは銃か。こちらにもあっただろう、応戦しろ!」


 ラファイエットの軍の側からも銃声が響き渡る。

 同じ銃らしき武器の攻撃なので、ハルト大隊も警戒して一旦攻撃が止まったが……。


「なぜ撃ち負ける! 同じ銃ではないのか」


 ラスタンが用意したものは、あくまでも旧式の手銃ハンドガンであった。

 手銃ハンドガンは一発撃てれば幸いといった粗雑な銃器で、命中精度は最悪だった。


 手元で暴発している銃すらある。

 そして一発目はいいとしても、二発目以降の再装填にかかる時間が違いすぎる。


 兵士が全員、新式のマスケット銃を装備しているハルト大隊と撃ち合って勝てるわけがない。


「クソ! なぜ味方は誰も助けにこない!」


 ラファイエットの周りには十万を超える味方が取り囲んでいるはずだった。

 しかし、それらは砲撃の炎と煙によって遮られ、そうでなくても大混乱に陥っているので助けになどこれるわけがない。


「ラファイエット様、お下がりください! ぐぁ!」


 騎士たちが盾を持って前に出るが、激しい銃撃によって撃ち崩される。


「どこに下がれというのだ」


 完全に囲まれている。

 前も後ろも、全て敵だ。


 もはや逃げる場所などなく銃撃の雨に曝されるラファイエットは、情けなくも土にまみれ、味方の死体を盾にして伏せるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Amazon楽天などで1位を総なめ、50万部突破の話題作!

くわしくは↓のガンガンオンラインのサイトを見てね(๑•̀ㅂ•́)و✧

ランキングバナー

あと作者の別作品、ジェノサイド・リアリティー3年ぶりに2巻が出ました! 同じく別作品「神々の加護で生産革命」が書籍化しました! 発売はMノベルズ様からです。予約など始まってますので、ぜひよろしく! (特典SSも、専門店全般として1本と、とらのあなに1本あるそうです) 追伸:おかげさまでオリコン週間ライトノベル20位、ツタヤ週間文芸書14位の快挙! みんな買ってくださってありがとうございます! まだ見てない方はぜひチェックしてみてくださいね!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ