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番外編 ギル

今日は本編1話、番外編1話の2話投稿です。

「へっへ~♪」

「ギルなんか機嫌いいな。そんなにテストの点が良かったのか?」

 返却されたテスト用紙を見ながらにやけるギル。学院を出るまで目立たないようにしていたが、平民街まで来ると隠すことなく嬉しそうにする。

「おう! たぶん上位一桁入れる点数だぜ!」

「ええ!? あの剣バカのギルが!? てか、剣も滅茶苦茶強くなってたし何があったんだよ?」

「ふふーん。実はとーちゃんの知り合いに教えてもらってんだー」

「えー?」

 俺の名前はギル。両親は冒険者。(母さんは元、だけど)俺も将来は冒険者になろうと思ってる。だから正直学院には通いたくない。

 偶々、魔法の適正があったからって無理矢理勉強させられて、6年もプライドばかり高いお貴族様の中で生活しなきゃいけないとか……そんな暇があるなら剣の練習でもしていた方がよっぽど有意義だ。

 今日は父さんの知り合いだという綺麗なお姉さんとお兄さんがうちに来た。ヒメカさんとユウトさんだ。

 そしてヒメカさんはあの“聖女様”だった!

 二軒先のおじさんなんかは、どうせタダなんだから行けばいいのに、と言われても、よほどの怪我じゃない限り治療院に行きたがらなかったのに、最近は誰に言われなくても行くようになったらしい。長時間待たされるのも嫌だし、治療院の雰囲気が苦手だったんだって。聖女様がいる日は列の進みが早いからすぐわかるって言ってたっけ。

 ヒメカさんとユウトさんは王都の人間じゃないから学院へは通ってないと言っていた。だから学院でどんなことを教えているのか教えて欲しい、と。だから俺はこの一年で習ったことを、教科書を見直しながら一生懸命話す。教えるのがこんなに難しいとは思わなかったけど……

 そのかわり、俺はヒメカさんとユウトさんに剣と魔法を教わることになった。

 2人は独学だと言っていたけど、学院の教師なんか目じゃない位教えるのが上手い。しかも、実戦的というか、学院ではどうやってより難しい魔法を使えるようになるか、みたいなことに力を入れるけど、実戦ではそんなことよりも、いかに効率的に短時間で有効な魔法を発動できるかを重視する。状況判断は経験がものを言うが、その点、俺は両親が冒険者だから恵まれていると言ってくれた。

 学院の奴らは父さんと母さんをバカにする。平民だから、野蛮な冒険者だから、と。だから、何だか凄く嬉しかった。

 まあ、実戦的な魔法(学校の奴らは小手先の魔法と言っている)ばかりだと馬鹿にされるかもしれないから、と、学院が好きそうな複雑な起動式のド派手な魔法も教えてくれた。覚えるのに苦労したけど、噛み砕いて説明してくれたし、これ一個覚えとけば卒業試験でも余裕で受かるってくらい凄い魔法だった。

 そうそう。ユウトさんは剣と魔法の同時併用の技を教えてくれた。ユウトさんもヒメカさん程じゃないけど魔法が使えるからって。俺が剣の練習もしていると言ったから。

 ユウトさんはもの凄く速い一撃なのにとても重い。体術が得意だといっていたからか、足さばきが独特で、充分な間合いをとっていると思っていても一瞬で距離を詰められる。これで魔法と剣の合わせ技まで使われるとどうしようもないので、俺だけ魔法剣で稽古をつけてもらっている。

「ギルは筋が良いな」

「本当ですか!?」

「普通はどちらかに気を取られて発動出来ない(……はず)。だから今日の感覚を忘れないように頑張れ。その中で新しい使い方を編み出すこともある」

「はい!!」

 剣技を鍛えれば魔法に対抗することも出来ると教えてもらった。火属性の攻撃魔法『火球』を叩き斬るのを見せられた時の父ちゃんの顔はちょっと笑えた。

 俺はこんな凄い人達は知らない。父ちゃん、本当にありがとう!

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