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エピローグ





 仔細しさいはこうだ。

 まずボクがみんなと別れ悪人どもを連れ回している間に、全員で冒険者組合に行き手に入れた杜撰ずさんな計画書を提出する。次にレティが護衛としてアインさんを引き連れて、城へと向かう。そこで逃がさないように取り押さえる人員を確保する。

 で、その人たちにボクが襲われる様子を見せつければいい。それで現行犯だ。

 その際に上手に逃げたからといって無実になる訳じゃないしね。


 要するにボクが逃げ回っていたのは時間稼ぎと合流地点へのおよび寄せ。ワープを使えるボクがおとりになるのが一番適した人材だった。

 苦心したのは詠唱のタイミングだ。早すぎても遅すぎてもいけない。

 まあ、口さえ塞がれなければよかったので逃走できる余裕はたっぷりとあったが。


 さて、あの後ティーチたちは王家親衛隊の<近衛兵>たちに囲まれて、アッサリと縄についていた。レティを狙ったのだから当然だ。

 それに遅れて冒険者組合からも人員がやって来て、彼らは現在調査の元に監禁されている。むろん、牢屋ろうやで。


 それから数日が経過する。

 前回の探索は熾烈しれつきわめた。それで色々と精神に負担が掛かっていたので、中休みを5日設けることにした。

 その間、みなそれぞれ思い思い行動していた。

 ミーズリさんは念願の馬車を買って、マーレンさんは独り一層で励んでいるとか。アインさんは家族サービス。そしてボクとレティはまったりと過ごすことにした。ベッドで体力を消耗することもなしだ。そんな気力は湧かなかったし。


 休みが明けて再び出会ったときは、皆随分と風変わりしていた。

 ミーズリさんは<運送>を極めて<商人>に。マーレンさんは<冒険者>を習得して<考古学者>になっていた。

 ミーズリさんの将来は予想できないが、マーレンさんはアインと同じ<遺跡探索者>になるつもりなのだろう。憧れるにも程があるよ。最初は「<近衛兵>になりたいです!」って言ってたから、次は<兵士>になるものばかりと思ってたのに……。

 そのマーレンさんの憧憬を一身に受けているアインさんは、前回の襲撃に何かしらを感じたのか盾を新調していた。ミスリルの盾だ。奥さんのためめてたんじゃないのかね? と突っ込みたい所だったが、金なら今日稼げるし問題無いのだろう。

 ちなみに上手うまく城兵を誘導したのか、レティはアインさんにお姫さまだってバレてなかった。女って怖いねよね。



 それから月日は流れ、契約の三ヶ月が過ぎ去った。

 その間の出来事と言えば――。

 ボクが二歳になったこと。レティが<盾士>をマスターして<司祭>に転職したこと。アインさんの奥さんのおなかが大きくなったこと。そして、ティーチ一味が死刑となったこと。

 大きなものと言えばこのくらいだろうか。

 それと六層に足を運ぶようになったことかな?

 レティが<司祭>となったことで多少無理が利くようになり、より凶悪な魔物に挑めるようになっていた。


 <マルス>六層はレッサージャイアントが出没する。ソイツからは高価な素材が採取できるが、残念ながら徘徊はいかい数が少ない。

 時間効率で見れば五層の方が稼げるだろう。しかしお金だけが全てじゃない。ロマンがあるから先に進むのだ。渋ったのはミーズリさんだけだし。

 多数決で六層に常駐することに決まった。


 そして今日、最初に交わした契約が切れる。

 最初に皆で集まった宿屋の一室。そこにボクらはやって来ていた。

 現在この宿は誰も利用していない。以前ボクが払った宿賃が切れるなり2人はもっと格安の宿に移動していた。出来ればそのまま使って欲しかったが、倹約したい気持ちは分かるので特に文句はない。


「今日で『欲望を貪るものデザイア』は解散したいと思います」


 ボクは単刀直入に告げた。

 これまでに個別で今後どうするかを確認しており、皆それぞれに新しい道を進む意志を持っていたのだ。


「今日まで色々とありました。つらいことも、辛いことも、辛いことも! って、辛いことしか思い浮かばないや」


 もっとまともなことを言うつもりだったが、ボクの本心がそれを拒絶して真実を告げてしまう。


「ふふふ、ミヅキさまったら……」


「ははっ、確かにね」


「みんな集まったときはダンジョンにしか潜らなかったからね。そりゃそうよ」


「そう言われてみれば……集まって遊んだりはしませんでしたね」


 それにレティ、アインさん、ミーズリさん、マーレンさんは思い当たる節があるのか苦笑を浮かべる。

 血まみれになって臭くなったり、変な男共に狙われたり、ジャイアントの汚物が降りかかったりとろくな事がなかった。とても素敵な思い出などとは口が裂けても言えるわけ無い。馬鹿やって楽しかったなどとも認めることも出来ない。

 うん、やはりさっきの言葉が真理だな。


「まあ、それはいいや。そんなことより――。これからはみんなそれぞれ別の道を行くことになります。これが今生の別れとなる人がいるかもしれません。ですが、ボクたちは同じ経験を血肉とした仲間であることには変わりません。これを糧として本懐を遂げるべく頑張って欲しいところです。ボクからは以上です。何か言いたいことがある人は?」


 少し早口言葉になってしまった。こういうの恥ずかしいしね。


「ちょっといいか?」


「どうぞ」


 手をスイっと上げて声を出したアインさんにボクは続きを促す。


「私はあと二ヶ月後まではここ、王都にいるが、その先は隣国にある<試練の洞窟>に向かうつもりだ。もし何か困ったときがあれば近くの冒険者組合に連絡してくれ。私に出来る事があるなら喜んで協力しよう」


 うん、なんていうかね。イケメン死ね。何が『喜んで協力しよう(キリ』だ! 似合いすぎて逆にキモいわ!

 おっと、最後くらいはアインさんのイケメン度を認めて上げるべきだったな。

 皆それぞれアインさんに『ありがとう。その時は頼む』みたいなことを言っている。ホント素直だよ、みんな。


「他に何かある人は?」


 …………。

 周囲を確認する。しかし動く者は誰もいない。


「無いみたいだね。それじゃみんな! 今日までお疲れさま!」


「「「「お疲れさま」」」」


 ボクらは互いに抱き合い、別れを惜しみつつも新たな道を歩き出した。

 ちなみにボクに抱きつかれたというのにアインさんは興奮することなく、普段通りのイケメンでした、まる。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ――10年後。

 いまだボクは、<エコノミックワーカー>の後宮に一室を借り受けている。

 といってもすねかじりじゃない。ボクはこの王宮で仕事に就かせてもらっている。むしろ請われてここにやって来ていた。

 現在のボクの職業ジョブは<バトルメイド>。そう、ボクはジャスティン家に使える侍女メイドさんとなっていたのだ!


 一度旅に出たこともあった。その時レティも一緒に着いてきてくれた。

 その旅路の果てにボクは<魔道王>――魔術を極めたのだけど、それはそれは長い冒険があった……なんてことはなく、パアッと光って終わりだった。その前の<魔導師>はそれなりに時間が掛かったけど、上級二次職たる<魔道王>なんて即卒業だった。

 そこに至るまでの<剣士>や<師範(剣)>、<軽戦士>などの方が聞くも涙の修行生活だった。

 むろんボクだけではなくレティも<聖女>の前提条件たる<司教>以外にも、様々な職業ジョブを習得していた。けど、<司教>に就いてからは定職に就いた形だ。

 ボクは彼女の『転職業務』には散々お世話になっていた。


 しかし、彼女とは2年前に別れている。

 そろそろ当代の<聖女>がいい年齢なのだ。いつポックリ逝ってもおかしくない。

 <聖女>はいつの時代でも一人。それ以外は許されない選ばれた職業ジョブなのだ。

 そこで早急に<聖女>の条件を満たすべく本気になる必要があったのだが、実は<司教>を極めるためには教団で徳を積んで、ある職業ジョブ階級に就かないといけなかったそうな。それでレティは<司教>を習得すべく教団に所属する――信仰はなくても良く、所属するだけらしいけど――ことを決意し、僕との別れを惜しみつつも独り旅立っていった。


 ボクは彼女の夢を応援しているので喜んで見送った。その前夜、かつて無い程激しい情事にふけってしまったが、あれは仕方なかったと言い張りたい。

 ちなみに10年っても彼女は美しいまま。いな可愛かわいらしさが抜け、より美しくなっていた。とはいえ、やはりお尻の肉付きは良くならなかったが……。ゴホンッ。


 ――と、懐かしい思い出が他にもいっぱいあるのですが、今はそれは置いておきましょう。

 さて、先程仕事に就いているといいましたよね?

 そうです、ちゃんとした仕事をボクは受け持っているのです! <バトルメイド>たるボクの役割は――。カリスさんの子供、次代の王様の教育係だったのです。

 ボクは今日も利かん坊にむちを打つ!



           第二章 END





転生一二年目

『俺たちの求職の道はまだ始まったばかりだ!』

ミヅキ「ん? 何か聞こえたような……まあ、いいか。それより、今日はどの鞭にしましょうか」

カリス「やあ、ミヅキ」

ミヅキ「これはこれは……。陛下ではありませんか」

カリス「いやだなあ、ミヅキったら。そんな堅苦しい言葉使いなんて止めてよね」

ミヅキ「……そうですか。わかったよ、カリス。それにしても王位継承権は高いっていってたけど、まさか王位につくとは思わなかったよ」

カリス「うん……。まさか兄様が逝ってしまうなんてね。私にも思いもよらなかったよ」

ミヅキ「――復讐するつもりなら手伝うよ? 今のボクはカリスくんより強いと思うし」

カリス「ははは、そうかな? でも魔法抜きならまだ負ける気はしないね。やっぱり『直感』の有無はでかいよ」

ミヅキ「ま、タイマン最強の<勇者>じゃなくなった時点でカリスくんはかなり弱体しているから……」


※付録※

<国王>

条件:太子

技能スキル:【性欲増大】

限定:『後継者』『叙勲』『叙爵』『任命』

習得:なし

備考:勇者よ……。よくぞ参った。


『後継者』

効果:職業<太子>を選定する。

備考:王族の中から好みで選んでください。その方でよろしいですか? 本当によろしいのですか? ……ふぅ、この国も次代で終わりかぁ……。


『叙勲』

効果:一代貴族の身分を授ける。

備考:金と身分、どちらか選べ。


『叙爵』

効果:一代貴族の身分から貴族の身分に繰り上げる。

備考:むぅ、王族の権威が落ちてしまうな……。


『任命』

効果:在位中に将軍5人と宰相1人を選び出す。提督に転職された場合は席が空く。

備考:そなたたちが国防の要じゃ。


【性欲増大】

効果:子供が出来やすくなる。

備考:そこまで解放気分にならなくても……。


ミヅキ「王宮魔術師でも良かったんだけどね。それでも<バトルメイド>の習得条件は満たせそうだし」

カリス「うーん、でも私のクソガキを躾けて欲しいんだよね。ミヅキ、期待してるよ」

ミヅキ「追加報酬はベッドの上でよろ」

カリス「ホントミヅキはソレばっかりだな。私より凄い女好きに目覚めちゃったね……」

 ぴろろろ~~~ん。次章は少し時を巻き戻してから始まるよ。

カリス「うん、何かこの音久しぶりだなぁ」

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