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魔法剣士5話 日々前進





 【魔力剣】を使って素振りをするだけの日々に飽きていた。

 【強化魔法】を行使して剣を振るうだけの日常に嫌気をさしていた。

 ただ闇雲に必殺連携を繰り返す単調な生活にストレスを感じていた。

 現在転生してから221日目。ソリュンさんとの決闘の日から20日以上が過ぎ去っていた。


 いまだ<魔法戦士>習得の条件を満たすことが出来ず、身体が一向に発光しない。

 日々高まる魔力や身体能力、および職業ジョブスキルの熟練度。しかし、それでも<魔法戦士>の職業ジョブはボクの身体に馴染なじむことはなかった。


 その一方で、レティは一人のあわれな<信徒>を生みだし、ついに<神官>を習得していた。

 現在彼女は目標<聖女>となるに向けて、その前提条件を満たすために<賢者>をきわめる予定だそうだ。が、今はその一つ前の<博士>の職業ジョブに就いている。条件を満たすためにとある職業ジョブスキルを使用する日々を送っているようだ。

 そのあとに<盾士>に就いてから<司祭>を目指し、<司教>にならなくてはいけないから……まだまだ先は長い。


 それを聞いてはルーチンワークに飽きたと言って投げ出すことは到底出来ないこと。ボクは嘆息と共に『辞めたい』という言葉を飲み込んだ。

 現在は【強化魔法】を日常生活で使いながら過ごしている。魔法の維持をするのにほぼ無意識でいられるようになったからこその芸当だ。

 ここまで使いこなせているのに何故なぜ習得条件を満たせないのか。正直なところ、ボクの頭の中は悩みのあまり疑問符で決壊してしまったよ!


 そんなことをミサさんに膝枕をしてもらいつつ愚痴っていると、予想だにしない言葉を聞いてしまった。


「ミヅキさま……。もしかするとですが、気付いていないだけで……既に発光なされたのでは?」


「……は?」


「ですから、以前見せて貰った……おっと、これは言わないお約束でしたね。え……とですね。ううん、う~ん」


 習得時に発する光は、とにかく光る。もう、そりゃまばゆいくらいに。それに気付かないわけがないという思いで聞き返したボクに分かるような言葉をミサさんは探しているのだろう。いや、禁句を出さないでどう説明するかを考えているに違いない。「う~ん」とうなりながら何度も首をかしげていた。

 そして手をぽんとたたき遂に納得の表情を浮かべた。


「その、ワープでしたっけ? あれのタイミングで発光したか、フィジカルアーマーみたいにミヅキさまご自身が発光する状態だと、もしかすると気付かないのでは?」


「――っ!」


 その発想はなかった!

 ボクはガバッと上半身を起こし、ミサさんの肩を両手でつかむ。ううむ、魅惑的な唇に吸い付きたい……。おっと、今はそれどころじゃなかった。


「ボクには判断がつかないんだけど、その手の魔法と習得条件みたしたときの光ってどっちが強い?」


「……。そうですね、同じくらい? いえ、魔法によっては上回っていると思います」


「なる……ほど……ね」


 あの時・・・のワープは【強化魔法】を一度も使ってなかったので除くとしても、ミサさんの言葉が真実だとするなら、気付かなかったとしてもおかしくない。いや、うそつく必要なんてないし、一考の価値は十二分にあるとみていい。


「よし、『神殿』へ行ってみるか」



 で、行ってみた結果。

 ありましたよ、習得済みの文字が。もうなんて言うかね……。すごく時間を無駄にした気分です! まあ、才能を鍛えていたから無駄ではなかったものの、なんていうかね。気付かなかったというおバカな結果だと脱力ものですよ。


「<解体屋>でお願いします!」


 ボクは祭司さんにそう告げて銀貨1枚と銅貨10枚を手渡した。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 調理場に籠もること5日。ボクは光を放ち、<解体屋>を習得する。

 次に就いたのは<料理人>だった。調理場でひたすら肉を<解体>でさばいていたことによって条件を満たしていたようだ。


 以前<料理人>の【調理】がないと絶対に美味おいしい物を作れないと聞いたので、万が一自炊する羽目なった場合……というか、自立するには必要だと思ったのですよ。

 習得条件が『相手が心から美味うまいと思える料理を作ること』という何とも恐ろしい物であったため、ボクは一瞬戦々恐々としてしまう。が、よくよく考えてみると<呪い師>に比べると実に何のないことだった。

 何せ、感謝される必要がないのだ。食べた物が『美味い』って感じるだけでいいのだから、粗末な物しか食べたことの無い人、あるいは長く空腹を味わっている人にそれなりの物を食べさせればまず問題ないだろう。


 とはいえ、ボクが以前いた世界で使っていた食材や調理道具はこの世界には存在しない。いや、在るのかもしれないが、メインとして使われる物は根本からして違っている。なので、一から学ぶも同然だった。

 ま、【調理】の熟練度が低いからいきなり作るって訳にもいかないけどな! 鍛えている内にいずれ慣れるでしょ。

 そんな感じに調理場生活6日目がスタートした。


 そうはいってもただ<解体>するだけの作業とは違い、食材を無駄にするなど御法度ごはっと。ボクに任せて貰える仕事は材料の下ごしらえ(の触り)と、調理時間を計ること、そして後片付けくらいだった。

 それでも【調理】に関連する項目だったのか、ボクの職業ジョブスキルは少し成長の兆しを見せた。具体的には調理時間ではなく五感を通して『もう十分だ』と分かるようになった。

 それを料理長たる<オーナーシェフ>に告げると、今度は包丁の代わりとなる<調理ナイフ>の扱い方を教わり、野菜の処理を任されるようになった。


 当然と言えば当然なんだけど、<調理ナイフ>は刃物だ。武器って言っても良い。うん、つまりね。【武器習熟】の剣の項目に引っ掛かるらしく、材料を処理していくだけで、ボクは着実に強くなっているみたいなんだよね。まあ、微々たる物だけど。

 逆に剣の扱いがそれなりに至ってるから<調理ナイフ>の扱いも中々のレベルに達していた。同じ様に作業する<シェフ>の人よりも、正直上手じゃないかな? なんて感じたくらいに。


 で、それも問題無いと判断されると、今度は肉や魚の処理の仕方を教えて貰った。それは素材に入れる<調理ナイフ>の種類――ブーメランみたいなものやくしのような物もあった!――や特殊加工についての方法だった。

 この世界では血抜きや臭みを取るのに魔導具を扱う。発酵や熟成も同様だ。

 要は問屋でやるべき作業も全て調理場で行っている。これらの作業にも【調理】を使うので、商人職には任せておけないって状況なんだろう。大概の人が【ポケット】を使える事も分業しない理由の一つに感じられる。

 中には<料理人>を抱き込んで肉屋や魚屋を経営している店もあるが……。

 まあ、それはどうでもいいだろう。重要なのは美味しい物を食べられるか否かだし。


 ここまでで10日間。本来の職人として働くなら1年以上はこれに費やすらしい。見習い期間というものなのだろう。

 けどボクはお客様扱いだ。あとで自分一人でも修行出来る様にと、一通りを教えてくれているみたい。

 そして今日からは味付け練習。むろん王宮で出す食事を調理するわけもいかないので、ボクの作業は賄い食をつくることだ。それを更に10日間続けた。


 料理長に「基礎は全て教えた」とお墨付きを貰うと、ボクはぐさま商業区で材料をそろえ、久しぶりに孤児院へと向かった。生活支援施設でないのは、ぶっちゃけあそこの利用者が気にくわないって理由だ。

 この日、孤児院に行くと決めていたのでボクは最初お菓子を作ろうとした。――が、料理長によると、お菓子作りは<菓子職人>の領域で<料理人>だと不味まずい物しか作れないという。なので、ボクは甘い卵焼きを作ることに決めた。

 むろん、市場で買った卵は、異世界だけに、鶏じゃないことは確かだろう。名前は確か――<バルトーザの卵>といったかな。一応家畜だけど、品種改良する前の原種は魔物だったという話だ。実物を知ってるわけじゃないから、だからそれって何? って感じ。

 まあ、口にするのはボクじゃないしね。それに売られてたのだから食べられるでしょ。【調理】もあるし、ひどいことにはならないはず!

 当然味見などしなかった。


 こうしてボクは孤児院で卵焼きを作り、かつて出会った子供たちに食べさせていった。その瞬間に光がボクを包み込む。

 やはり子供はチョロいなぁ。今後も、何かしら『感謝をささげる』みたいな条件はここを使わせて貰う事にするか。

 ボクは思わず口端をゆがめてしまう。

 あ、悪い顔を出してしまった! ――と一瞬動揺したが、ボクの美しすぎる顔はそんな表情すら美しい物だった。

 まさに天使の微笑ほほえみ。しき顔も、そう言わんばかりの目映まばゆい笑顔に変換されてしまうほどだった。さすがはボクだね!






転生二四六日目

ミヅキ「魔導具の使用するためには、クズ魔石こと灰魔石を魔石投入口に入れることで燃料をチャージする感じかな。大規模な物だと灰魔石じゃ足らずに白魔石を使う羽目になる――そうだけど、ボクは見たことがないので知らないね」

カリス「ふっ、後宮の空調には白魔石が使用されているよ」

レティ「お風呂の湯沸かしなども白魔石でしたわね」

ミヅキ「へ~。それにしてもクズ魔石5000個で代わりにならないの? 同価値でしょ?」

カリス「なんでも『魔圧』という定格が違うから無理だとか……。気になるなら、その辺りのことは図書庫に研究記録が残ってるから見るといいよ」

ミヅキ「(電圧みたいなものか?)……うん。まあ、時間があったらそうしてみるよ」


※付録※

<魔法戦士>(複合派生職)

条件:魔法使い・戦士

技能スキル:【魔法剣】【強化魔法】

限定:『詠唱』

習得:魔法戦士の魔法を全て使いこなす。

備考:魔力は力の源だ。ただ下位魔法語を扱うだけならて三流でもできる。魔力を纏って漸く二流だ。


『詠唱』

効果:淀みなく詠唱出来る。

備考:早口言葉、正確な発音、なんでもござれ。


【魔力剣】

説明:武器に魔力を込める。属性を封じ込める為には精霊魔法が必要。

備考:剣と言いつつも武器なら何でもありさ。


【強化魔法】

説明:身体を高める魔法。

備考:ぬぅぅぅううううんっ! 見よっ、この力!

・パワーアシスト

・スピードアシスト

・マジックアシスト

・フィジカルガード

・メンタルガード


<解体屋>(共通特殊職)

条件:遊び人

技能スキル:【解体】

限定:『器用上昇』

習得:50匹【解体】する。

備考:無駄な所なんてありません。あるのは無駄にした所なんです。


『器用上昇』

効果:手先が器用になる。

備考:これで指をケガすることはなくなったね♪


【解体】

効果:獣・魔物を理に沿って切り分けていく技能スキル

備考:熟練と共に無駄がなくなるよ。

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