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戦士1話 ボクが手に取るべきモノ①





 皆さん、こんにちは。ボク、ミヅキです。

 ライラさんと別れてからボクは、<運び屋>を習得すべく筋トレに明け暮れる日々を過ごしています。いや、いました。

 筋肉がつかないで腕力があがるって良いことですよね。素晴らしいと思います。この柔らかながらも張りのあるスペシャルボディがガチムチにならないってのは『人類にとって宝が失われない』ってことですからね。ボクがマッシブボディになったら全人類が涙しちゃいます。


 確かにボクは女の身体なので、女性はその限りじゃないって声もあります。ですが、ボクはサキュバスなので女の子も気持ちよくさせることが出来るんですよ! そういう意味では常日頃から女の子は泣かせているのかな、はははっ。

 むろん、男はノーセンキュー! ボクは元男だからね。冗談じゃないよ、男と生肌を合わせるなんて。

 そんな感じでボクはいま女の子と仲良くさせて頂いております。


「ライラさん、ボクは吹っ切れたので心配しないでね、っと」


「あっ、あぁん。ミ、ミヅキさまぁ~ん♪」


 現在、ボクはベッドで<神官>ちゃんを組み敷いています。

 彼女はカリスさんの義妹にして、継承権は低いながらもれっきとしたこの国、レイヤノルド王国のお姫さまなんです! うーん、お人形さんのような顔が可愛かわいらしい! お姉さんとは違って胸も大きいし、抱き心地の良いこと良いこと。


 名前はレティッシャ・ジャスティン。姉妹ながらも母親が違うのでカリスさんとは少々容姿が異なっている。

 (けん)(こう)(こつ)まで掛かる金髪はふんわりとして、おっぱいはボクが鷲掴わしづかみに出来る程大きい! 腰もギュッとくびれ、強く抱きしめたら折れてしまいそう。けど、お尻は残念なことに肉付きがよろしくない。

 うーん、やはりボクの理想はボクしかいないのだろうか。とはいっても、レティも十分可愛いけどね!


「ここがええんか? ここがええんか?」


 何処どこのオヤジといわんばかりの攻めでレティを翻弄する! レティはおまたさんを泣かして哀願してくる。


「ミヅキさまぁ~ん、あっ、もっとぉ~ん♪」


 そしてボクはフィニッシュを決める。ここで【吸魔】だ!

 レティはボクのスキルに(魔力がないので)堪えきれず,ついには気をやってしまう。


「ふぅ。大分持つようになったかな」


 これは何も気持ちいいからやってることではない。現在ボクは<運び屋>を習得し、<戦士>となっている。つい昨日転職したばかり。つまり【体力向上】を鍛えている訳でして。

 いや、気持ちいいし、楽しいからやってるんだけどね。「体力を付けたければランニングでもしてろ!」なんて言われたら否定も出来ないし。まあ、いわば一石二鳥? 楽しく鍛えるのが長く続くコツだよね?


 ちなみに魔力がないレティだけど、彼女も実は魔法を使うことが出来る。<神官>が使う【癒しの光】という神聖魔法。それを彼女は使える。

 これは職業ジョブスキルだ。

 ライラさんが使っていた【下位魔法】とは違い、それその物が魔法なのだが、そう言った意味では少し特殊なのかもしれない。


 そもそも魔法とは――。

 【下位魔法】などを魔術、【癒しの光】などを神聖魔法、【暗黒魔法】などを暗黒魔法、【風魔法】などを精霊魔法と分類される。

 これを聞いたとき『暗黒魔法はそのものじゃないか』と思ったのだが、この他にもそれに類する魔法があるとのことなので、そういうものとボクは諦めることにした。


 もちろん神が使う魔法は別にあるし、その力を身に降ろし『神意魔法』『神殿設立』は神権代行と称されている。これは<法王><聖女>のみが仕える限定スキルなので、気にする必要はないかな?

 あ、でもレティは<聖女>を目指しているみたいだけど……。


 それはさておき、神聖魔法を使うのに魔力が必要ない――なんてことはない。【癒しの光】がいらないんだ。

 実は他の職業ジョブスキルと同じ様な物だけど、神聖魔法の素養がないと使えないことからそう分類されているんだ。うーん、なんだかねぇ。


「まあ、いっか」


 ボクはそばに置いてあった<始祖の服サキュバスクローク>を身にまとい、後宮から抜け出した。

 そう、そうなんだよ! ボクは王のみが入ることが可能な後宮に寝泊まりしてるんだよ。もちろん男に限定される話だけどね。だから身体・・が女のボクは別に問題無いってことになる。


 けどね、ボクの心は男なんだ。そんなボクにとって秘密の花園は天国エデンにも匹敵する場所であって――。

 純真無垢じゅんしんむく、脂ののったマダム、食べ頃な乙女、そして親娘丼! もうボクは――っ!

 ぶっちゃけレティ以外にも色々と食べちゃいました。むろん性的に。

 きっと主たる王様も現状を理解していないだろう、寝取られていると。ふふふ……。

 ボクとの行為に依存しきってる――とまではいかないけど、魅了されつつあるので、婦人が口を開く事はないとみている。


 カリスさんの他にも魔力持ちがおり、いまとなってはボクも彼女に匹敵するだけの魔力を有している。最近、種族能力アビリティの効果が増してきてるし、この調子だとすごいことになりそう!


 ――と、まあ、語りたいことはいっぱいあるんだけど、そろそろ約束の時間だからそろそろ行かなくちゃ。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「遅かったな」


 とある場所に駆けつけたボクを待っていたのは、いかつい顔だがヒョロッとした体つきの男だった。


「すみません。まだ体力なくて……」


 言い訳がましくボクは男――ソリュンさんにびを入れた。

 彼はこの城で指南役を務めている<師範(槍)>だ。カリスさんが取得している<師範(剣)>の【特殊歩法】はないけれど、実に強力なスキルを有している職業ジョブに就いている。


「それもそうだな。昨日<戦士>になったばかりだし、そういうこともあるかもしれん」


 もっと早く来い! って言わないところが彼のクオリティ。うん、ぶっちゃけ頭に血が巡らない人なんだよね。


「まあ、いい。それより決めて来たか?」


 先日指導をお願いしたときに「どういう武器を使うか決めているか?」と尋ねられてたので、それについてのことだろう。

 ボクは腰につるしている物に触れ、ソリュンさんに言う。


むちに愛着があるので、これを使う……というのは――」


「ダメだな。というよりお勧めできない」


 基本となる武器には上級職が存在しているが、鞭にはない。

 <戦士>の伸びがよくない才能スキルで頑張り続けなければならないので忌避される傾向がこの世界にはあった。まったくロマンも掛けもない世界だ! ボクが天界に登ったら是非ともその辺りを追求してやりたいね。


「どうしても使いたいなら……そうだな、鞭は補助として使うと良い。【ポケット】に複数の武器を収納しても良いのだが、瞬時に使える軽い物を身につけているのは悪くないぞ」


 メインで使いたいボクはその言葉に渋る。

 その時ソリュンさんが耳に痛い事を追求してきた。


「ミヅキは強くなりたいんだったよな? なら、鞭は諦めろ! 使うな、とは言わん! だが、強くなるには職業ジョブに頼ることが一番だぞ。そもそも特殊武器など、受注生産で高すぎる!」


「むっ」


 お金は――ライラさんから【ポケット】を得たときに引き取っていた――かなり持っているので心配ない。けど、転職費用を考えるとそう無駄にしていい物じゃない。

 <運び屋>に転職したときは、外出が不可能と言うことで王家付きの<司教>さんにやってもらっていたけど、いまはそういった理由もないので不可能だ。なので、ボクは『神殿』にお金を貢がないといけない。

 ちなみにカリスさんも<勇者>転職の時は利用しなかったらしい。なんでも契約で最上位職はNGだとか……。


「……。わかりました……」


 名残惜しい気持ちはある。でも、ボクは誓ったんだ! ライラさんに強くなると。

 ボクは鞭からソッと手を離す。


「宿題のつもりだったんだが、考えてきてないのがよく分かった。仕方ない。一緒に考えて行くことにしよう」


「はい、お願いします!」


 叱らずに優しい言葉を掛けてくるソリュンさん。けど、顔と体格のアンバランスさでそんな感じが全くしない!

 ソウフさんの様にもやしってほどじゃないので、<遊び人>をえて子供の内に取らなかった、――なんてことはないだろう。たぶん、遺伝子の掛け合わせが悪かったんだろう。そう思いたい!

 そんなことをボクが考えているとも知らず、ソリュンさんは実に真摯な態度でボクを指導する。ホントありがたいことです!


「ミヅキの目的からして、特殊武器を除いた説明をするぞ。いいな?」


 ボクはうなずくことで肯定する。

 ソリュンさんはボクに手のひらを向け、話し始める。


「基本となるのは5つだ。剣、(おの)、弓――」


 一つ言うごとに指を折り曲げていく。

 意外に格好つけらしい。『チョー似合わねぇ』と思っているのはボクだけの秘密だ!


「盾、そしてオレの持つやりだ! オレはコイツを勧めたい」


「はっ?」


 おいっ! いま、何かおかしな物が混じってなかったか?


「た、盾? なんで武器に盾が!?」


「盾はれっきとした武器だ。もちろん防具としての重みが強いがな」


 ボクの疑問に力強い笑みでソリュンさんは答え、続ける。


「見ろ! オレの拳を」


 視線をやる。

 ソリュンさんは何もない空間を殴りつける。一体何がしたいんだ?


「わかるか?」


 むろん、分かるわけない。ちゃんとした説明が欲しい。出来れば感覚派でありませんように!


「見ての通り、拳は打撃だ! 急所に入れればこれだけで敵を倒せるんだ。だがな、拳は柔らかい。いや、もろい! そう何度も使える武器じゃないんだ」


 ――っ。そうか! そういうことか!


「つまり、盾で殴れば十分脅威だと?」


「その通りだ! こう、ここに一撃くれれば、人間だったらまず堪えられんだろうな」


 そう言って顎の下を殴打する動作を見せつけてくる。

 ……。確かに痛そうだ!

 それを見た瞬間、ボクの中で盾は既に武器となっていた。






転生一二七日目

ミヅキ「むぅ、何にするべきか。剣は格好かっこいいし、槍も捨てがたい」

レティ「ミヅキさま。お茶をお持ちしましたわ」

ミヅキ「ありがとう、レティ」


※付録※

<運び屋>(共通1次職)

条件:遊び人

技能スキル:【ポケット】【腕力向上】

限定:『体力上昇(小)』『走力上昇(小)』

習得:自分の体重と同じだけ【ポケット】に収納できるようになる。

備考:何をするにもまずは荷運び。移動するとき荷物邪魔じゃありません?


『体力上昇(小)』

効果:普段より疲れなくなる。

備考:いざというときのために体力は必要です。


『走力上昇(小)』

効果:駆け足が早くなる。

備考:走って逃げましょう。


【ポケット】

効果:物を収納する空間を作る。自分が持てる重さと同じだけしか入らない。

備考:入り口が小さいからあまり大きい物は入りませんよ?


【腕力向上】

効果:腕力が向上するようになる。

備考:これがないと訓練しても腕力は増えませんよ?


<神官>(共通3次職)

条件:神学者

技能スキル:【癒しの光】【聖水生成】

限定:『頑な』『勧誘』

習得:信徒を5人作り出す。

備考:アナタハカミヲシンジマスカ。


『頑な』

効果:他者の言動に惑わされない。

備考:もっと柔軟な考えを持とうよ。


『勧誘』

効果:信徒を作り出す技能スキル

備考:神は私たちの傍にいつもいらっしゃいます。


【癒しの光】

効果:傷を癒す光を放つ技能スキル

備考:痛いの痛いのとんでいけ~♪


【聖水生成】

効果:浄化の力を秘めた水を作り出す技能スキル

備考:さて、お手元の水が……なななんと! 毒やカビを落とす水に早変わり! 除菌剤じゃないよ!


レティ「このお茶、わたくしの【聖水生成】で作った聖水で作りましたの」

ミヅキ「ブフゥーーーーッ!」

カリス「やあ、ミヅキ。暇が出来たから遊びに……って、どういう状況、これ?」

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