第7話
「と、いうことがありまして。どうしたらよいでしょうか」
立浪くんと話をした日の放課後、私は優衣ちゃんと楓ちゃんにこれからの対応について相談していた。
立浪くんに謝り、それを機にお近づきになって籠絡して魔性の女への偉大なる第一歩を踏み出す計画を放課後まで考えていたのだが、これまでの恋愛経験の乏しさから恋の駆け引きなんて分かるはずもなく今日のほとんどの時間を無駄にしてしまっていた。いや。これからの時間を有意義に過ごせたらそれでいいのさ!なんて意気込みで私は可愛い可愛い二人のお友達に相談をしたのだった。もちろん魔性の女計画あたりのことは話していないけれど。
「う〜ん、流石に何の理由があって分からないかなぁ」
「私もです。立浪くんと話したことないですし。」
もそもそとハンバーガーを咀嚼する優衣ちゃんとバニラシェイクを飲む楓ちゃんはそう答えた。可愛い。超可愛い。ってそうじゃないんだよ。いや2人はめっちゃ可愛いんだけど。
「やっぱりそうかー。そういえば私たちってあんまり男の子と話さないからねえ」
どうやら私の奢りでやって来たファストフード店での収穫は無かったようだ。あえて挙げるのなら2人の食べる姿が可愛かったことかなあ。うん、そう考えると満足かも。
そこからは適当な雑談を少しして優衣ちゃんと楓ちゃんと別れた。そのまま真っ直ぐ家に帰ろうとしたのだけれど、変な男2人組に捕まってしまった。大学生のようの雰囲気で頭が悪そうにチャラチャラした連中だ。誘いを断ると「いいじゃ〜ん、ちょっとだけ〜」とヘラヘラするだけ。
「いやー、今日は予定がありまして…あっはっは」
「いいじゃ〜ん。ちょっとだけだから〜」
何度目だよこのやり取り。ファービーと話してた方がマシだよ。
「やっほー。遅かったじゃーん」
「へ?」
止まない男達からの誘いに「あー、もうやだなー」なんて思っているといきなり肩を叩かれた。声から推測すると女の人のようだ。
振り向くとそこには何というか、うん。ガラの悪そうなそれでいて綺麗な女の人だった。身長は私よりも少し高い女性だ。少し癖のある髪で長さは肩甲骨あたりまでかな?所々に赤のメッシュを入れている。イエローゴールドのチェーンの林檎のネックレスは人々の視線を胸元に集めて、胸の谷間をより強調している。ふむ美乳タイプと見た。極限まで気崩された制服を見るところ、同じ高校のしかも同じ1年生のようだ。それにしてもこの女子生徒、めっちゃエロい。
「えっと、誰...」
「ごめんねー。この子あたしとの先約あっから。今度は私も含めて誘ってくれるー?2人でイイコトしてあげるからさー」
「誰なんですか?」と言い終わらぬうちにちゅーと男達に投げキッスを飛ばしつつ私の腰に手を回して撫で回してからそう言い放った。
「って待って!何で私までヤることなってんの!?」
男達はギャルっぽいお姉ちゃんの胸元を見ながら「そういうことなら...」と納得して去って行った。どうやらグイグイくる女の子には苦手そうである。見た目だけチャラくして大学デビューしたはいいが中身が追い付いていないパターンなのだろう。というか話を聞いて!
ギャルっぽいお姉ちゃんはにこにこと男達に手を振り私の尻を撫で回しながら私を見てこう言ったのだ。
「キミ、良いお尻してるね。ちょっとイイコトしようか」