4/10
事故
夏に書いた詩なので、少しだけ季節はずれです。
新品の自転車で
よろよろと走ります
交通ルールを守れば待っているのは死
そんなわけで 歩道を走っているのです
今日は日曜日だから
図書館の席は空いていなかったね
今日は日曜日だけど
バイトのシフトはまだ空白だったね
あてもなく 彷徨っていたよ
鳴くのを諦めたミンミンゼミが
私の元へ飛んできて
私の頬を叩いていった
バシバシとあがいて
私が自転車を止めて振り返った頃には
そこに息をしていた生き物はいなかったんだ
死の香り
私は泣いた
人間は鳴かないから
わずかに残ったセミの鳴き声に紛れて
泣いた
殺してしまった
事故に遭ったと
圏外の携帯電話に叫んだ