絶望の彼方
あの人は死んだ。自殺だった。その事実を知らされたのは高校一年生の時でした。忘れたくて、逃げたくて書いた詩です。当時は、これを作曲して聴いて泣いて、やっと楽になれたという感じです。
遠く遠く 空の彼方で
私はなにをすればよかったの?
きれいな景色 飛び込んだ
鳥ではないけど 飛んでみた
私の心 冷えて呑まれて
コンクリートにとけ込んだ
「さようなら」と「死ねばいい」の
中間地点で
あの日受けた風は忘れるはずもなく
「ありがとう」と「ごめんなさい」は
心に秘めたまま
あの日見えた空がずいぶん近くなって
「散々人を苦しめて
それでもまだ生きてくつもり?
他人を孤独にしてまで手に入れた幸せを
きっと 分けあうんだと思う
運命に抗い 進んでいく
そこに
望む物がなくても」
「さようなら」と「死ねばいい」の
中間地点で
錆びて欠けた刃は吸収されたみたい
「ありがとう」と「ごめんなさい」は
心に秘めたまま
高く止まない声は あなたの物でしょう
「私が死んだらあなたは
泣いて喜ぶでしょうか
一番きれいな死にかたは
いったいなんだと思いますか
深呼吸して動かなくなった手足を眺め
薄れていく視界に目を細めました
そして
さいごに思うのです
皮肉にも あの子が幸せであるように」