おネガさんにこんにちは
「そのくらいで」
わたしは
崩れてしまった
絶望の海に
堕ちてしまった
沈んだら
もう誰もわからない
自分の声しか聞こえない
苦しい
苦しいと
のどを通る声はそれだけ
きみがいない
「そのくらいで」
わたしは
周りが見えなくなってしまう
沈めば沈むほど
息が苦しくなる
景色は真っ暗になっていく
きみは
今どこにいるの
わからないよ
こんな暗い海の中じゃ
耳鳴り
音が重なって
揺れる
ふと
きみのこえがきこえたの
【………ごめんね】
【ごめんね】
わたしは
きみの声を書き取っていく
「ごめんね」と
狂ったように続く不協和音を
五線譜に殴り書きして生きている
【しあわせに】
【しあわせにね】
きみのやまない声を
わたしは殴り書きして生きている
五線譜に書き続ける
きみの声が優しくなるまで
揺れる視界
ゆがむ音階
きみの歌は
止まらない
不協和音と
きみの姿を
捜し求めて
追いかけて
そう、今は
たった一人
きみの声を
聞いている
しらないよ
きみなんて
きらいだよ
きらい
【……しあわせに】
「しあわせにね」
私は歌い続ける
きみの代わりに
きみの歌を
五線譜に書き続ける
スポットライトの真下
目を固く閉じて
叫ぶように歌い続ける
きみの声が優しくなるまで
きみという
おネガさんにこんにちは
ありがとうございました。この連載はこれで終わりです。
暗い気持ちになる詩を好き勝手に書いてしまいました。これで気持ちが沈んでしまったらすみません。
立ち直る力や勇気を、(私は明るい詩が書けないので)この詩に込めたつもりなのですが、遠まわしが苦手なのでここに書いてしまいました。