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銀色の翼  作者: 市ノ川 梓
第零章 プロローグ
6/43

第五翼 魔性の翼

4月21日AM7:10

佑助が起床する頃には他の二人は起きていた。ここは宇宙空間。朝だろうが夜だろうが外は真っ暗だ。時刻を知らせるのは時計のみ。佑助は軽い朝食をとって出撃準備を始めた。

暫くすると目の前のモニターに巨大で真っ黒な星が見えてきた。あれがゼアール星…。これだけ遠くから見ても高層ビル群を大量に確認できる。人工の星なのだ。大きさは地球の約150倍。自然はなく、当然空気も存在していない。それは住んでいる者達が人間で無いことを示している。佑助の肺は人工肺で補われているため問題はない…

次の瞬間、機体に重い衝撃が走った。それと同時に機体内が赤いランプで染まる。鳴り響くサイレンの音―――

「どうやら敵の襲撃を受けているようだな。」

そう冷静に呟いたのはこの船のパイロット、羽鳥 守。第4番隊隊長である。その巨大な身体を操縦席に持っていき、大袈裟に座り込んだ。

「ぐひゃひゃひゃひゃあ!!人間なめてんじゃねーぞぉ!?ぶっ殺してやるぅ~!!」

…羽鳥はSuperNovaの中で最も操縦に長けているのだ。その操縦の腕を武器にここまでのしあがってきたほどである。

ここまで宇宙船を上手く操れる人間を佑助は見たことがない。

が、コイツは戦場となると頭がイカれてしまう魔性野郎なのだ。敵味方関係無くマシンガンをぶちまける、ちょっとアブナイだった。大和と佑助は嫌な予感がしていた。長いこと一緒にいる経験からである。

…やはり二人の予感は的中した。機体が右から左へ大きく揺れる。守は完全に逝ってしまったようだ。こうなるともう誰にも止められない。目の前の敵があっという間に消えて行く。だんだんスピードも上がってきているようだ。―ついにスピードが光速に達した。光速は一秒間に地球を七周半できる程早い。もうゼアール星は目と鼻の先である。それでもお構いなしにつき進んで行く。すると羽鳥が言った。

「ぶっつかりまーす!!ご注意くーださーい!!」

「おい、ちょっとまっ…

佑助が注意した頃にはもう手遅れ。もの凄い爆音と共にゼアール星に着いた。


――AM9:12 ゼアール星第4区画にて――

佑助達は大量の機械兵に追われていた。隠密作戦のはずが守が派手に正面から侵入したためゼアールの現存戦力が全てこちらに向かってきたのだ。

通常兵のパーソナルレベルは2++~3程度。佑助達なら充分倒せる範囲だがあまりの数にこれでは太刀打ちできない。

今はとにかくこの戦力をなるだけ減らすのが最優先だ。佑助は意味もなく酸素ボンベを着けながら大和に聞いた。

「おい、大和。あとどれくらいかかりそうだ?」

大和は例によってボロボロな白衣からこれまた危険そうな薬品同士を組み合わせている。走りながらなので大変そうだ。

「はぁ…はぁ…あと、250歩くらいか…な?」

後方では守が簡易シールドを張っている。一気に何万という銃弾を受けているため、エネルギーの減りも早かった。

「おい!!もうシールド持たねぇぞ!!ヤバくないか!?」

羽鳥も息が上がってきている。佑助はさらりと答えた。

「元と言えばお前の責任だ。後はお前自身が盾になれ。」

「えぇ!!…無茶言うなよ…。」

佑助は冷静だった。いままでこんな修羅場は何百と経験してきているのだ。今更焦る必要などない。

「ユウ…出来た!!なんとか…いけそう!!」

大和から合図があった。佑助は突然立ち止まる。後ろから守の声が聞こえてきた。

「やっとか…。頼むぜ、大和兄」

クルリと振り返り佑助は叫んだ。

「発射っ!!」

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