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銀色の翼  作者: 市ノ川 梓
第零章 プロローグ
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第十六翼 復讐の翼

先の見えない闇の中でズキッと鋭い激痛が腹部に伝わる…。佑助は痛みに耐えながら眼を開いた。眩しくて開けづらい。

目を開くとそこには星の数ほどの機械兵とZと書かれているお面を被った人型の生物…。はっとなって横を見るとそこには無惨な姿の暗殺部隊の面々があった。みんな手首と足首を巨大な釘で十字架に止められている。頭から紅い液体が次々へと流れ、腹の辺りが血だらけだ。俺以外には人工呼吸器がついていて敢えて生かしているような感じだ。自分の手足と腹を見るとそれは同じ状況だった。手足はすでに感覚がない。まだ腹の激痛は止まることを知らない。

佑助が状況確認をしていると、お面を被った生物が前にでて喋りだした。

「いやはやっ!これはこれは…。特別暗殺部隊SuperNovaの広瀬佑助さん。手荒な真似をして申し訳ない…。それにしてもすごい姿ですね…。くくっ」

叫ぼうとしたが声がでない。どうやら声帯を潰されたようだ。喉がやけに熱い。

「おっと…声が出ないようですね。どうしたのでしょう…大丈夫ですか?」

お面を被っているため表情が読めない。それにしても随分バカにしたデザインである。奥の機械兵達はピクリとも動かず整列している。こんな時に眠気が…。

…やっと状況が読み込めた。ここは多分ゼアールだ…。周りに機械的な建物しか立っていない所をみて間違いないだろう。奴が…ゴードン…。奥の兵の数…勝ち目はない。

「その通り。私がゼアール最高司令官、ゴードンです。」

読心術習得か…。ゴードンは機械兵ではない可能性が高くなった。機械兵に読心術なんて出来る感情はないはず。すると…奴は何者だ?

「さぁ…何者でしょう?」

ゴードンはお面を外した。中からは機械兵の顔でなく人間の顔が見えた。宇宙空間で息をしている…まるで自分を見ているようだった。年齢はまだ若く髪は黒髪…アジア人系の顔立ち…。体格は平均的な体つき。

暫くすると視界が霞んできた。あまりの大量出血によって意識が朦朧としてきたのだ。もう長くはもたない…。

「おっと、貴方の命も風前の灯ですねぇ。」

逃げ場がない…例え逃げる事ができてもこの傷ではとても太刀打ちできない。佑助以外のメンバーはまだ気を失ったままだ。誰か…っ目を覚ましてくれ…!

ゴードンは冷たく言い放った。

「もういいや。片付けてくれ、グロー。」

そこに突然現れたのはこれまた若い銀髪の青年だった。それと対比するように瞳が真っ赤である。そのグローと呼ばれた青年は巨大な斧を取り出した。ギラリと光る刃は血で染まっている。いままでその斧で何人の人々を葬ってきたのだろうか…。

グローは佑助の張り付く十字架に近付いた。まずは俺か…。グローは斧を振り上げたが佑助は(まなこ)を閉じることをしなかった。よく見ると斧の刃が細かく震えている。殺しに躊躇しているのか?しかし佑助には動く事は愚か声を発することすら出来ない。自由は完全にない。

グローは顔を伏せて殺す瞬間を見ないようにしていた。銀髪に血が垂れていく…。

するとグローは決意した様にその瞳を佑助と合わせた。さっきまで赤かった瞳がいつの間にか真っ黒になっていた。その瞳は殺意そのものだった。グローは斧を振りかぶった。

佑助は生まれて初めて死を悟った。もう逃げることは出来ない。いくら今まで幾度となく修羅場を越えてきた兵と言えど死の恐怖から逃げることは出来なかった。ついに佑助はついに瞳を閉じて死を仰いだ。死ぐらい楽に迎えたかったな…。

「終わりだ。」

グローは冷たく呟いた。辺りに紅い鮮血が飛び散って佑助は意識を失った。

俺の人生はここで終わった――。

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