仕事姿に見とれて嫉妬されてキスされて
「リンちゃん、ちょっとここに入ってて」
そう言われて、入れられた場所はウルフの上着の下。
ウルフが支えてくれているが、ちゃんと頭が出るように前足をかける。
着いた部屋は本がずらりと並んだ大きい部屋だった。
『図書館かっ!?』
突っ込んだリンを、目をこれでもかっ!と開いたウィルが見る。
「リン!?」
がたっと立ち上がったウィル。
その隣に立っていた執事らしき人も驚いている。
ウィルは、まるで王子様が着るような白い制服に身を包み、仕事特有の硬い雰囲気を出していた。
か、かっこいい!
数時間離れていただけなのに、会えて満たされていく心を感じる。
「やっほー。頑張ってるウィルにご褒美持ってきたよ!」
ウルフはリンを上着から出し、近くにあったソファーに座らせ、ソファーの前の机にランディーパイを置いた。
「何のつもりだ、ウルフ」
わーわー!ウィルめっちゃ怒ってる!
「そう怒らないでよウィル。仕事しっぱなしで疲れてると思って癒しを持ってきたんだ」
そう言って、ウルフはパイを口に運ぶ。
「…まだやることが残っている。気が散る、リンを連れて部屋に戻れ」
そっけなく言われた言葉に、リンの耳が垂れ下がる。
「そんな言い方しなくてもいいじゃん。いいもん、見せ付けてやろうぜリンちゃん。ほらあーん」
リンの頭をなでなでし、パイを小さくしてリンにあーんする。
ダンッ!
『ぅわっ!』
いきなり大きな音がして、びくっと体が跳ねた。
「シルフ、ウルフを追い出せ。それが終わったら、後は俺一人でやる。帰っていい」
地の底から出ているような声でウィルが言う。
「はい」
シルフはウルフに「失礼します」と言って担いだ。
「うわっ!?ちょっ!シルフ!あぁっ!ランディパイがっ!!!」
ウルフが連れ去られていくのをぽかーんと見ていると、隣が沈んだ。
ウィルがソファーに腰掛けたのだ。
「リン」
呼ばれて振り返る。
『むぐっ!』
それと同時にパイを突っ込まれた。
必死にもぐもぐしてると、抱きかかえられ、ウィルの膝の上に乗せられた。
「お前は無防備すぎる…」
ウィルはため息を吐き、机の上に紅茶を出した。
ウィルが入れてくれた紅茶は冷めていて、猫舌なリンにも飲みやすい。
なめるように紅茶を飲んでいると、突然ウィルと向き合わされる。
「紅茶…、付いている」
ペロリと口をなめられる。
『え、えぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!』
にゃぁぁぁあああ!!!と自分の声がうるさいが、それどころではない。
キスされたのだ。
動物ではキスだが、人間でこれをしたら唇をなめるのと同じ。
ウィルは満足そうな顔をしている。
「ウルフにしたらいい仕事をしたな…。だが、ウルフは痛い目にあわないとわからないらしい…」
ウィルが危ない目をしている。
ウルフ!逃げて!!!
内心冷や汗タラタラなリンに構わず、ウィルはリンを抱きしめる。
「…リン、次はない」
耳元で色気たっぷりの声で囁かれる。
この後、リンはウィルの機嫌が完全に直るまで好き放題されるのであった。
…ウルフのぶぁかぁぁぁぁぁぁああああ!!!
初チューですよ!全員集合!