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王様に召喚されました  作者: くいな
王城生活
3/33

朝起きるとそこには美形

わー、これどういう状況?





夢であってほしいという願望は見事に打ち砕かれ、現在私は美形で視界をいっぱいにしております。

体は美形に抱き枕のごとく抱きかかえられ、身動きがとれない。


『どうしよう…』


相変わらずにゃーしか言わない自分。普通にしゃべれるようになるまで最低三ヶ月。


『はぁ…』


思わずため息が出る。


とりあえず、この状況から脱しないと死ぬ。恥ずかしすぎて。


起こさないように身を捩ったりもがいたりしたが、ウィルフレッドの腕はびくともしない。


『つ、疲れた』


朝から何故こんなにも疲れなくてはいけないのだろうか。


起こそうと猫パンチを食らわすが、起きる気配がない。


仕方が無いのでウィルフレッドを見つめてみる。


『まつげ長っ!本当に美形だなぁ』


そういえば案外優しかったなぁ…。と昨日のことを思い出す。

最初は無口で怖い人だと思っていたが、そうでもなく、涙の止まらない私を優しく撫でて添い寝してくれた。


そこまで思い出して顔を熱くする。


『恥ずかしい…』


なでなでされて抱き枕にされながら一緒に寝るなど…。


「ん…」


ウィルフレッドの呻きにびくっと体が跳ねる。


閉ざされていたウィルフレッドのまぶたが開かれ、宝石のような碧眼が現れる。


「起きたのか…」


そう言って、私の頬に手を滑らせる。


私の心臓はバクバク言っている。


何ですかこの無駄な色気は!?死ねと言ってるんですか?そうなんですか?そうなんですね!?


そこに、ナイスなタイミングでアラーナがノックをして入ってきた。


私は今の状況に耐え切れず、体を先ほど以上にじたばた動かし、ウィルフレッドの腕から抜け出す。そのままドアに向い走り、部屋を飛び出した。

後ろでアラーナの声が聞こえるが、今の私はそれどころじゃない。私はとにかく走った。






『はぁはぁ、死ぬ』


着いた場所は庭らしき場所。色々な花が咲き、風に揺られている。


「あれ?黒猫。どっかから迷い込んできたのかな?」


声が聞こえたと思ったらいきなり持ち上げられて、声の主と目線を合わせられる。


『わー』


これまた美形である。金髪を風になびかせて、ウィルフレッドと良く似た青い瞳で私の顔を覗き込んでくる。


「あ、黒猫って…。もしかして君ウィルの運命人じゃない?」


彼の友達だろうか?ウィルフレッドのことをウィルと呼ぶ人に出会ったのは初めてだ。


「にゃー」


「やっぱりそうか。俺はウルフガング・シーザ・フォンテーン。ウィルの従兄弟なんだ。ウルフでいいよ」


そう言われてみれば、何となくウィルフレッドと似ている。


「…ウルフ」


いきなり後ろから聞こえてきた声は、ウィルフレッドの声。


「あ、ウィル。おはよ。今ねウィルの運命人を捕まえたんだ。ねえねえ、紹介してよ」


そう言って、私をウィルフレッドに渡す。


「………こいつの名前はリン。捕まえてくれたことに感謝する。あとで褒美にカーライル産のランディパイを部屋に送る」


ウィルはそのまま踵をかえし、建物の中に足を向ける。


「マジ!?カーライルのランディパイうまいんだよなぁ…じゃなくて!え?ちょっ!それだけ!?あ、ちょっ、まっ、ウィル!」


呼び止めるウルフに目もくれず、黙々と歩くウィルフレッド。どこかしら怒っているように見えなくも無い。


『あ、あの…ウィルフレッド…さん?』


「ウィルだ」


声のトーンが低い。間違いなく怒っている。


『ウィ、ウィル、あの…ごめん…なさい?』


恐る恐る謝ってみるが、ウィルは私を抱えたまま無言で部屋まで歩き、部屋に入った途端私をベットに放り投げた。






お母さん、早くも貞操の危機を感じます。

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