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王様に召喚されました  作者: くいな
魔法学園
25/33

魔病の流行

あれから三日が経った。


「ウィル、そっちはどうだ?」


ルシアは一旦魔法を中断し、肩を回しながらウィルの花を覗き込んだ。

あれから三日間三人は徹夜で魔力を注ぎ、使っている。


「花に魔力を注ぎながら、時限操作の魔術を掛けるのは中々骨が折れる…」


そうは言うものの、ウィルの花は大分萎れてきており、もうすぐ種を作るであろうところまで進んだ。


「リンを治療し終わってもシュラビータの種を作り続けなければならない…。早急にコツを掴まなければな」


リンドグレーンは、学園内、町中に魔病をばら撒いたらしい。町中から何人もの病人が現れ、ついには死者も出た。


流行した魔病は、疲れていたり、ストレスや心配事が溜まっている人にかかりやすい。


「ウィルの生誕祭の後だったことが唯一の救いだな」


生誕祭で大いにはしゃぎ、ストレスを解消した者達が多々いるため、被害も最小限に抑えられた。


「明日には、ありったけの時限魔術師と研究者達が来る。それまでにカラシフをできるだけ多く回収しなければな」


大流行した魔病の薬を作るため、明日には時限魔術師と研究者達が多く訪れる。


「今日中にリンの薬を完成させなければな…」


ルシアは、明日からはきっとあまり寝れないだろうとため息を吐いた。






「やっとだな…。他の材料は既に用意してある。すぐに調合する」


「…悪いな」


ルシアは、ウィルが逸早く完成させたシュラビータを持ち、研究机に向った。


「綺麗な花ね、シュラビータって」


サラがウィルを労わるように話しかける。


シュラビータは白く、美しく、まるで女神の纏う衣のようであった。


「ウィル君、休んできて。明日からきっと忙しくなるわ」


サラの言葉に甘え、ウィルは研究室を後にした。






「リン…」


未だにはぁはぁと荒い呼吸を繰り返し、高熱にうなされ続けているリンの頭を撫でる。


「ウィル、できた」


ルシアが薬を手に部屋に転移してきた。

ウィルはそれを受け取ると、すぐさまリンの傍に寄る。


「リン、薬だ…。これで楽になる…」


リンの手がピクリと動くが、目を開ける気配はない。

三日間、魔病と戦ったリンの体力は既に限界に達しており、目を開けることも儘ならない。必死に生にしがみついている状態だ。


ウィルは見かねて薬を口に含み、リンに口付ける。


リンが少し反応する。


薬は甘苦く、決して美味いと言える物ではない。


「…完全に治るまでもう少し時間が掛かるだろうな。シリルからも薬を頼まれた。レヴァインでも流行し始めたらしくてな。アイリーンもかかってしまったようだ」


これから他国でも流行し始めるかもしれない…、とルシアは拳を握る。


「しばらく忙しくなりそうだ…」






「うぃ…る?」


「リン!」


薬を飲ませてしばらく経つと、リンが目を開けた。


「まだ辛いだろうが、薬を飲ませたからもう大丈夫だ」


そう言って口付ける。


「ん………うつっちゃう」


「すまない、リン…。俺が医学の知恵が無かったばかりに魔病の防御魔術をかけることができなかった」


「うぃ…のせ…じゃ…な」


ウィルのせいじゃないと言いたかったが、眠気がまた襲ってきて意識を手放した。






リン…、すまない…。

シリアスー&ウィルが気弱にー

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