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王様に召喚されました  作者: くいな
魔法学園
22/33

転移先の不幸

朝起きると、ウィルの腕に包まれていた。


「起きたか…」


ふっと笑い、リンにキスするウィル。


二人とも裸で、お互いの熱が直に伝わり、リンは顔を赤く染める。


「お…はよ」


「ああ」


ウィルはもう一度キスすると、上半身を起こし、布団から出て仕事の仕度を始めた。


ふとこちらを見る。


「辛くないか?」


下半身が少し痛いが、立てないほどではない。


「大丈夫」


「そうか、よかった。…次は立てなくなるまで愛してやる」


耳元で囁いて洗面所に消えるウィル。


顔を真っ赤にしながら布団に埋まるが、アラーナが来るかもしれないと思い、床に放り出されている服をすばやく着る。


「おはようございます」


タイミングよくノックをして入ってきたアラーナ。

アラーナは、顔が真っ赤のリンに微笑み、朝食の準備を始めた。






今日から学園も再開する。


今日の授業は文字を学ぶ。

いくら、言葉が通じると言っても、読み書きができなくては不便であるからだ。


「リンちゃん、昨晩何かいいことでもありました?」


昨晩で、アイリーンのリンの呼び方がリンさんからリンちゃんに昇格した。


顔がにやけていたのだろうか、アイリーンが微笑みながら聞いてきた。


「え?あ、うん」


昨日のことをまた思い出し、顔が赤くなると同時に、勝手ににやける。


「幸せそうでなによりです」


そう言ってにっこり笑うアイリーン。

きっとこの二人の周りには、ピンクのオーラが発せられているだろう。


右手の指輪を見て、再び微笑んだ。






魔方陣相手にヌンヌンと魔力を注ぐアイリーン。

だが、うまくいかないようで、アイリーンは脱力した。


「難しいです。リンちゃんはできました?」


「今転移の魔方陣をやってるんだ」


魔方陣は、各々のペースで練習することになっている。


あれから、リンは大分力を扱えるようになり、魔方陣を使うのならば、ほとんどの防御魔法はマスターしたことになる。


「すごいです…。私なんてまだ盾の魔方陣で…。魔方陣無しの魔法なんてずっとずっと後です…」


魔方陣を扱えるようになったら、魔法陣なしで魔法を使えるようにならなければならない。


「向き不向きがあるからね。もしかしたらアイリーンは魔方陣なしのほうが向いてるのかもしれないでしょ?」


「そう…かな…」


二人は再び魔方陣に魔力を注ぎ始める。


リンの魔方陣は転移の魔方陣なので、足からの魔力の放出が必要となる。


「転移する場所は学園の中庭」


中庭に行って、戻ってくることを繰り返し行う練習。

これが中々難しい。


魔力を魔方陣に注ぎ、リンは光に包まれた。


「あれ?」


着いた先は中庭…ではなかった。


「あ゛ぁ?」






不良の溜まり場屋上。

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