五大王国の王
あっと言う間に5日経ち、今日は城で貴族を招いてのパーティーがある。
それは、私の初お披露目会でもあった。
「リン様もウィルフレッド様もお顔を隠してもらうことになっております」
水色のドレス、召喚獣のチョーカー、頭には顔の隠れるベールを身に付ける。
「いつウィルフレッド様にプレゼントを?」
「パーティーが終わってから、二人になったときに…」
頬を染めて言うリンに、アラーナはクスリと笑った。
「きっとウィルフレッド様に喜んでいただけますわ」
アラーナがドレスの裾を整えながら言った。
「うん。そうだと嬉しいな」
ウィルの喜ぶ顔を浮かべて微笑した。
ウィルと合流する部屋に向うと、そこには既にウィルが座っていた。
「…っ!綺麗…だ」
ウィルはそう言うとこちらに歩いてきて、リンの顔を隠すベールを上げ、キスをする。
「行くか」
「うん」
そう言って会場に向った。
ウィルのエスコートで会場に入ると、ざわついていた会場がシンと静まり返る。
「今日は我が生誕パーティーにお越しいただき、誠に嬉しく思う。このパーティーを機に、我が運命人を紹介しようと思う」
ウィルがそう言うと、リンに一斉に視線が集まる。
「リン・シノミヤです」
それだけ言って後ろに下がる。
ウィルには名前を言ったら下がれと言われていた。
「皆、パーティーを楽しんでくれ」
ウィルがそう言うと、皆一斉に会話を再会し、元のざわつきが戻った。
「今日は他国の王と王妃も来ている。挨拶回りに行かないと行かなければならないが、大丈夫か?」
パーティーに慣れていないリンを気遣ってくれての言葉だった。
「大丈夫。いつかはこういうことに慣れないといけないし、何事も経験だから」
ウィルの手に自分の手を重ね、人の群れの中に入っていった。
「やぁ、ウィルフレッド。連れの入学式以来だな」
濃い紫色の髪の、覆面をした男の人が話しかけてきた。
「シリル、来てくれたのか」
二人とも握手を交わす。
「初めまして、私はシリル・レヴァイン。レヴァイン王国の王だ。隣は私の運命人のアイリーンだ」
「アイリーン!?」
「もしかして…リンさん?」
シリルさんの隣に金髪の美女がいるな、とは思ったが、まさかアイリーンだとは…。
「なんだ、友達だったのかアイリーン」
「はい」
まさかこんなところでよく知った友達と会うことになろうとは思わなかった。
「リンがいつも世話になっている。俺はウィルフレッドだ」
「初めまして。アイリーンです。こちらこそリンさんにはお世話になっております」
「こんなところにいたのか、ウィルフレッド、シリル」
三人の男の人がこちらに向ってくる。
リンたちから周りが遠ざかって行った。
「初めまして、リンさん、アイリーンさん。私はバルド・カーライル。カーライル王国の王です」
バルドさんは水色の髪で、いかにも優男。
「俺はファウスト・アロイス。アロイス王国の王だ。」
右目に傷があって、ヤのつく怖い人っぽいファウストさん。
「俺はマルク・リウォール!リウォール王国の王。よろしくな」
熱血と言う感じのマルクさん。
「リンです」
「アイリーンです」
二人で挨拶をする。
「リンさん、アイリーン。二人で食事を楽しんでおいで」
正直、この五大王国の王たちの存在感に圧倒されていたため、シリルさんの言葉に従った。
「リン、パーティーが終わったら話がある」
離れ際にウィルがそう耳打ちした。
今回ラブ少なっ!
次回ラブラブさせます!