黒豹さんと契約しよう
何このかわいい動物!
すりすり、さわさわ。
立っている私の手に無理やり頭を押し付けてなでなでさせる黒豹。
触れる毛並みはさらさら。
「君、どこから来たの?」
しゃがんで目線を合わせながら聞く。
「ひゃっ!」
寄られて顔をなめられる。
随分と懐いてくれいているようだ。
「あ、召喚獣」
無理やり撫でさせられながら召喚獣のことを思い出す。
果たしてこの黒豹は魔獣なのだろうか…?
「君は魔獣ですか?」
答えが帰ってくるわけ無いが、聞いてみる。
「…」
手にまた擦り寄ってくる。
これは魔獣であると受け取っていいのだろうか?
疑っていると、黒豹が少し離れ、足の下に魔方陣を出した。
「うぉ!」
その魔方陣から噴水のように水が飛び出る。
「………すごいね、君」
この黒豹が召喚獣なら、ウィルも心配いらないだろう。
もっとも、私の召喚獣に関しては珍しく全くもって興味が無いようだったが。
「あの…、えっと…、私の召喚獣になってくれませんかっ!?」
立ち上がって手を差し伸べる。
さわっ。
「!」
その手に擦り寄ってくる黒豹。
これはYESととってもいいんだよね。いいよね!?
「ありがとうっ!」
黒豹の首にぎゅっと抱きつく。
もう、恐怖なんかない。
………ここからどうすればいいんだろう…。
「え!?」
困っていると、下に魔方陣が現れる。
魔方陣から発せられる光りに包まれ、前が見えなくなった後、数秒後に視界が戻った。
「…なに?………あれ?」
その黒豹の首には銀で作られたチョーカーのようなものがあった。
自分の首にも触れてみると、何かある感触がある。
「…契約完了?」
そう言うと、再び顔をなめられた。
「でね、その召喚獣が黒豹なんだけど、毛並みがさらさらですっごく綺麗なの!」
夜、アラーナに召喚獣について報告する。
「そうですか。早く召喚獣が見つかってアラーナは安心です」
ニコッと微笑むアラーナ。
向かいに座っているウィルは無反応。だが、ちょっと機嫌がいい。
「ウィル、なんか良いことでもあった?」
「ああ」
ウィルが少し微笑んだように見えた。
「アラーナ、今日はもういい」
「はい」
アラーナは部屋を出て行く。
それと同時にウィルに抱えられ、ベットに降ろされる。
そしてチョーカーをはずされた。
取り外し可能なんだ…。
「あ、ウィルにも今度会わせて上げるね」
「…それは無理だ」
「何で?」
「………いい加減寝ろ」
腰を引き寄せられ、耳元で囁かれ、キスされた。
顔が真っ赤なのが自分でもわかる。
未だにウィルの免疫がついていない。
寝ないとひたすらキスの嵐が降ってくることは今までで十分学習済みだ。
「お、おやすみ!」
そう言って目を閉じ、ウィルの温もりにすぐさま意識を手放した。
あれ?なんかはぐらかされた気が…。