魔法学園入学
朝、起きたらウィルの膝の上でした。
これはもう慣れっこなのです。
ウィルが執務に私を連れて行くようになってから、朝早く起きれない私はアラーナに寝たまま着替えさせられ、起きたらウィルの膝の上という生活をほぼ毎日送っております。
先日召喚の儀も終わり、それに参加していたウルフの運命人のクリスティーナが家族に加わりました。
召喚の儀が終わったことで、これから世間は例の魔法学園の入学シーズンとなりまして…。
「リン…」
「んっ…」
いつでもどこでも会えないと寂しがるウィルが、引っ付いて離れないのだった。
「もう!ウィル!いい加減に…」
いつも無表情なウィルが眉を下げている…だとっ!?
顔を真っ赤にして固まるリンをここぞとばかりにキスしまくるという行動がもう一週間続いている。
その後、執事のシルフの声でやっと開放されたのだった。
リンがこれから通う魔法学校は、フォンテーンだけでなく、各国からも生徒が集まる。
身分制度は通学の間だけ取り消され、身分差別をすることは校則で禁止されている。
今回の入学式では襲撃防止のため覆面をしているが、フォンテーン王国、カーライル王国、アロイス王国、レヴァイン王国、リウォール王国の五大王国の国王が出席している。
入学式は三ヶ月に一回あり、三ヶ月で一学年である。
「あ」
睡魔に襲われ舟を漕いでいると、膝に置いていたプログラムが隣の女の子の下に落ちた。
「はい」
にこっと笑ってプログラムを渡してくれた女の子は超絶美人だった。
「あ、ありがとう」
「いいえ、あの、私ずっとお話する機会を伺っていたのです。お友達になりたくて…」
「え!本当!?嬉しい!私リン・シノミヤ。リンでいいよ」
「私はアイリーン・ローカーと申します」
いかにもお嬢様という感じのアイリーンは、ゆるいカーブの金髪の容姿端麗で女のリンも見惚れる美女だった。
異世界から召喚された運命人で、三ヶ月前にこの世界にやってきたのだそうだ。
その後も、アイリーンと色々と話しているといつの間にか入学式が終わり、その場解散のため式場前でアイリーンと別れた。
「初日はどうだった?」
夜、寝る前にアラーナの淹れた紅茶を飲みながら今日のことを報告する。
「友達ができたの!アイリーンっていう子なんだ!」
まるで子供のようにはしゃぐリンに対し、ウィルはムスッとしている。
「ああ、知ってる」
知ってるのに聞いたんかい!
というかストーカー!?
「アラーナ、今日はもう休んでいい」
そう言うウィルに、アラーナはクスリと笑い、礼をして部屋を出て行った。
「あ、あの、うぃ…っん!…はっ……ぁ……ふっ」
深い口付けのあと、ベットに横抱きで強制連行される。
「リンとの時間が減るのは辛いな…」
意識が朦朧としている中、耳元で囁かれ、リンは爆発寸前である。
「ウィルっ…!」
「何もしない…。このまま寝かせろ…」
リンを抱き枕状態にしたまま、ウィルは寝息をたてはじめる。
「ど、どうしよう…。寝れない…」
その後、ドキドキして眠れそうにないリンは、ちょうどきた変換の副作用の眠気によって運良く寝付くことができたのだった。
副作用ナイス!
甘いぜ!