魔法学園
魔法の学園…ですか?
「リン、調子はどうだ」
アラーナを連れて城内を散歩していると、ルシアに会った。
ルシアは白衣に似た白い服を着ている。この世界での白衣のようなものらしい。
「大分調子はいいよ」
あれから2週間経ち、体調も幾分回復した。
「でも、たまにプツンと意識が途切れて眠りこけることがたまにあるけどね」
「この世界に体が馴染むには睡眠が一番手っ取り早い。眠気に襲われたときは身を任せろ」
ルシアは人見知りなだけで、根は優しい。
ウィリアムの、否、フォンテーンの近づきがたいオーラを出しているところを濃く受け継いでいるだけなのだ。
「しかし、入浴の際に寝てしまわれた時はとても驚きましたわ」
アラーナが苦笑しながら言う。
実はこの間、お風呂に浸かっている最中に眠気に襲われ、眠ってしまったがために溺れてしまいそうになるという事件が起こった。
「それは…危険だな。ならばウィルと共に入ればいいではないか」
ルシアが真面目な顔で言う。
「な、ななな、る、ルシア!?」
顔を真っ赤にして驚く。
「まさか…、まだ…」
「あぁあぁぁあぁぁ!!!ちょ、ちょちょちょ、ちょっと部屋で一緒にお茶しない!?」
リンはルシアを引っ張り、強引に部屋に連れ込んだ。
「ほぅ、あのウィルがな…。まあ、今はまだリンの体がこの世界に馴染みきってないから夜あまり励むのはお勧めしない」
「い、いや、だから!なんでルシアはそう言うことを真顔で言うの!?」
ていうかあのウィルってなにさ!
「大事にされているってことに変わりはないからいいのではないか?」
ルシアの言葉に頬を染める。
「それに、これからは少しずつ魔法の勉強をしなければならないから今はこの世界に馴染むことを優先するように」
「魔法の勉強!?」
「?聞いてないのか?魔力をウィルと共有しているんだ。自分の身を守る魔力はある。それどころか、この国吹っ飛ばしてもまだ残るくらいの魔力をウィルは持っている」
国吹っ飛ばすですって!?
最強かっ!?
「その力を有効に自己防衛に生かすために魔法を学ぶ義務が王妃にはある。要するに早くウィルを安心させろってことだ」
ウィルはあの事件以来、より強い防御魔法と探査魔法をかけている。
その魔力の減りは魔力を共有しているリンにもわかる。
その上、魔法をかけているウィルには負担がかかるのだ。
魔力は共有しているが、使う方にしか負担が掛からないらしく、リンにはどれ程ウィルが疲れているかわからないのだ。
「まあ、ウィルは体力があるから、リンにいくら強い魔術を施しても微塵も疲れないだろうがな」
「えっ!?そうなの?」
「私が言っているのは気疲れのほうだ。お前はチョロチョロと城を動き回るからな。まるで昔の…いや、今もそうか、…お母様のようだ」
サラさんには悪いが、あんなに動いてウィルを困らしているつもりはない。
「まあ、あの学園は私もウィルも通った学校だ。警備は万全だし、教授も王族の関係者で心配は何一つ無い。唯一心配があるとしたら、ウィルが素直にリンを学園に通わせるかだがな」
「が、学園!?」
てっきり家庭教師みたいな人が来て、教えるのかと思っていた。
「あぁ、あそこは身分関係無しに教えるから、リンは普通に友達もできると思う。私もウィルも王族ということを隠して通ったからな。まぁ、別にばれたらどうにかなるって訳ではないから、本当に危なくなったら正体を明かせ」
あ、危なくなったらって…なにがあるのでしょうか…。
「まあ、通うのは次の召喚の儀の後だからもう少し後だな。異世界からきた者は少数だが、三ヶ月で一学年だから、それなりに人数はいる。変な奴も多いから気をつけろ。たまに戦場から召喚されてきた奴とかいるから」
わー、不安要素いっぱいだわぁ。
リンちゃんがこんなにしゃべるの久しぶりw