召喚される
運命を信じていないと言ったら嘘になる。
告白されることは多々あったが、全部断ってきた。
何故かこの人ではないと本能が告げ続けいてるから…。
好みの男性が現れないのも運命の人じゃないからと言い訳してきた。
それは突然起こった。
「…にゃ?」
え!?
にゃって何!?
私の名前は四之宮凛。今しがたベットに入り、就寝しようとしていたはずだ。
だが、突如私の下に変な魔方陣みたいな光の線が現れ、今私はどういう訳か大勢の巨人に囲まれている。
「さすがウィルフレッド様!異界から運命人を召喚するなんて!」
綺麗な女の人に絶賛された男の巨人は、西洋貴族のような格好をしており、黒い髪に青い目で、今まで診てきた男のなかで一番の美形であった。
何が起きているのだろうか?
ここはどこだろうか?
そもそもここは現実なのだろうか?
「にゃっ!?」
そういえば猫みたいな声しかでない。よくよく見てみると手は黒い毛で覆われている。そして極めつけは視界の端に写る黒く長い尻尾。
もしかして…。
「にゃぁぁああ!?」
『猫になっちゃったぁぁああ!?』
四足立ち上がり、その場をぐるぐる回ってなんとか自分の姿を確認しようとするが、やはり黒い尻尾と黒い背中が見える。
ぴかぴかの床を見ればそこに写るのは黒猫。それ以外に自分の姿が見つかるはずもなく、呆然と床を見つめる。
それは紛れもなく今の自分の姿。
その時、扉が開き、男が息を切らしながら入ってきた。
そのまま美形西洋貴族のもとまで走り寄り、耳打ちする。
「…そいつを部屋に通して色々説明しとけ」
そう言って、美形西洋貴族は立ち去った。
後に残った大勢の巨人(これは私が猫で目線が低いから巨人に見えるだけで、普通の人のサイズなのだが…)の一人が私に歩み寄り、目線を合わせてくる。
混乱している頭に、現状が掴みきれず、全てに恐怖を感じる。自分でも体が震えているのがわかる。立っているだけで精一杯だ。
「怖がらないでください。大丈夫です。あなたに危害は加えません。はじめまして、私はアラーナ・デイシルと申します。これからウィルフレッド様の運命人様の身の回りのお世話をさせていただく者でございます。よろしくおねがいします」
そう言って、そっと私を抱えて今までいた部屋を出た。
夢だよね?
夢だと言って?
ていうか夢しか考えられないでしょ。
というか誰か早く私を起こしてぇぇえええ!!!
短っ!?