心の波
療養を始めて1週間が経過した。
「ルイーゼ様、ご機嫌はいかがですか?」
「お医者様、こんにちは。 今日は気分が良いんです」
今日は初めてのお医者様の診察だ。
「この1週間はどうでしたか?」
「最初は慣れなくて戸惑っていたんですが3日目からはなんとなくですが自分のペースが掴めてきたような気がします。 でも翌日は体が重くてベッドから動けなくて……、次の日は何ともなかったのですが……」
「この病気はこういう症状が出るんです。 前の日出来た事が次の日には出来なくなっている、これを繰り返すんです」
お医者様の話を聞いてちょっとホッとした、でもこんなに体調に出てくるとは思わなかった。
「ご家族とはお話出来ていますか?」
「はい、毎日お父様かお兄様、どちらかが顔を見せに来てくれます」
「もし不安な気持ちになったら素直に口に出す事が大事です。 口に出す事が難しいのであれば日記に書くのも良いでしょう、自分の気持ちに蓋をせずに表に出す、これも治療の1つです」
なるほど、と納得した。
ミッシェルに頼んで日記帳を用意してもらおう。
そして、私が気になるのは1つあった。
「あの、私に関する噂とか出てないですか?」
貴族というのは噂話が大好きだ、特に失敗や失態の話は盛り上がる。
「心配は無用です、ルイーゼ嬢の悪い噂は出ていませんよ」
「そうですか……」
「今は余計な事は考えなくて大丈夫です、ご自身の事だけを考えれば大丈夫です」
「そうですね……、その様にします」
口ではそう言ったけど内心貴族社会に復帰出来るかどうか不安だった。
もし、このまま復帰する事も出来ずにいたら世間から忘れられた存在になってしまうのではないか、と。
まだまだ治療は始まったばかり、出口は見えていないし光も見えない。
暗闇を彷徨っていた。




